裏切りのXPD(上)
1979年5月、英国首相のもとに1通の文書がとどけられた。そこには1枚の映画広告文が添えられており、コピーには“カイゼローダ塩坑の決定的秘密とはなにか?”と大書されていた。一見して、首相は事の重大さに気づき、M16部長のシドニー・ライデン卿と会見した。塩坑の秘密が明るみにでると、大英帝国の威信は失墜し、ひいては自由主義世界をゆるがすことにもなりかねないのだ。アメリカにさえ知られてはならない。ライデン卿の密命をうけて、ボイド・スチュアートがロサンジェルスへ乗り込んだ。白日のもとにさらしてはならない秘密なのだ。〔XPD(Expedient Demise)とは、「好都合な死亡事故」という意味である〕
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はたして“カイゼローダ塩坑の秘密”とはなにか?ときをおなじくして、ソヴェトKGB、米国家安全保障局もイギリスの動きを察知し、行動を起こしていた。スチュアートがおぼろげに、その秘密の正体を知ったとき、事態はすでに急をつげていた。アメリカもソ連も目前に迫っている。どうやらチャーチルとヒットラーの関係に、重大な謎が隠されているらしい。スチュアートはライデン卿に確認を求めるが、卿は言を左右して煮えきらない態度の終始している。おそるべきことに、イギリスは秘密を知ったスチュアートをXPDしようとしたのだった。現代史の裏にひそむ大陰謀を描くデイトン会心の長編野心作!〔XPD(Expedient Demise)とは、「好都合な死亡事故」という意味である。〕 1988/01/01 発売