すばらしい旅人
パリに住む写真家アドリアンは『世界のはじまり』に強くひかれ、『はじまりの地への旅』を企画していた。出発をひかえたある日、パリの映画館で、ひとりの娘、ミレナと出会った。ふたりはいっしょに暮らしはじめた。ミレナはチェーホフの舞台に立ち、アドリアンは旅立ちの用意を整える。アドリアンが『はじまりの地』として選んだのはチュルカナ湖、ケープケネディ、そしてヒロシマ。彼が旅立つ日、ミレナは「あなたの子供がほしい」とささやく。ふたりの歯車がすこしずつ違う方向にまわりはじれる。フランス書店賞受賞作品。