勝海舟 2
開国か攘夷か。黒船の威嚇を背景に条約締結を迫る列国を前に、国論は真二つに分断された。折しもオランダから到着した新造艦咸臨丸。この日本初の遣米使節艦艦長として、勝は安政7年、福沢諭吉、中浜万次郎らを率い渡洋の壮途につく。しかし、数知れぬ困難を乗り越え、異国の風土を目のあたりにして帰国した時、大老井伊直弼は暗殺され、物情は騒然、幕府の権威は地に堕ちていた。
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御家人の勝家は、世に容れられない当主・小吉の放蕩のゆえに貧の極みにあったが、長子・麟太郎は直心影流剣客・島田虎之助の内弟子として剣の道に打ちこみ、激変する世情のなか、やがて蘭学を志していた。他人の厚情にも助けられながら学問に没頭する麟太郎の姿は、いつか幕閣の目にもとまり、蓄所翻訳方に抜擢、そして講武所砲術師範、海軍伝習生師範と昇進していった。歴史長篇。 1991/01/01 発売