白夜(2)
国家試験に合格した高村伸夫は、母校の整形外科の医局に入局し医師としての道をあゆみ始める。その直後、派遣医師として赴任した道東の炭鉱病院で直面する落盤による死傷事故の連続。一方、子宮破裂で血圧がゼロになるほどの出血をしながら、伸夫の手で命をとりとめた女体の逞しさに目を開かされる。生と死のはざまで揺れる新米医師の驚きと感動にみちた体験を迫真の筆で描く第二作。
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札幌の大学二年生、高村伸夫は専門課程の選択に悩み、雪に閉ざされた暗鬱なものからの脱出も夢見て、京都の大学の文学部に編入を試みる。が、それに失敗した伸夫は人間へのやみがたい興味から、同じ札幌の別の大学の医学部に進むことを決意する。解剖実習、お産見学の宿直、インターンのための上京など、とまどいにみちた清新な日々の心の軌跡を刻む自伝的長編五部作の第一作。 1993/12/20 発売
臨床医として腕を磨きながら大学院に進んだ高村伸夫は、アイソトープを使った骨移植の動物実験に打ち込み学位論文にいどむ。初めて大きな手術の執刀者に指名された日の興奮と緊張。そして死と常に隣合わせている病院で患者達が示す、ほかでは決して表に出すことのない様々な態度に接し人間への理解を深めるとともに、看護婦・土屋和子との愛を育む。希望にみちた日々を描く第三作。 1994/01/25 発売
助手として医局で順調な歩みを続ける高村伸夫は、他方で、自分が医師として体験し目撃した事柄を小説に書き表したいと思うようになる。そうして診療の合い間に書いた作品が思いがけなく同人雑誌新人賞を受賞し、続いて芥川賞の候補作となる。周囲の驚きの中で、その直後、伸夫は同期や先輩を飛びこえて母校の講師に任じられる。医学か文学か、再び訪れた戸惑いの季節を描く第四作。 1994/01/25 発売
芥川賞候補となった翌年、高村伸夫は、今度は直木賞候補に選ばれる。上京の折に出会った高名な作家やライバルたちから刺激を受ける一方、日進月歩の医療の最前線に達れをとるのではないかという不安。そんな中、母校で行われた日本で最初の心臓移植手術は、それに批判的な伸夫を学内にいづらくさせ、医学を捨て作家となるべく上京を決意する。青春の彷徨を描く自伝的長編の完結作。 1994/02/25 発売