女子大で美術を講ずる母は、女性の完璧な自立を目指している。おまけに“恋多き女”。が、その生き方にはどこか危うさがつきまとい、私の心はしばしば、別れた版画家の父の方に傾く。母親の新たな愛と挫折。初恋に似た同級生との心の交流。父森にかかった国際的な盗作の疑い。会話主体の野心的手法で描く少女と家族の日常。 1989/03/01 発売