小説むすび | 月狂ひ

月狂ひ

月狂ひ

出版社

新潮社

発売日

2000年10月20日 発売

冴え冴えとした月光の射し込む夜半の診察室。消毒薬の匂いがたちこめるベッド。視線を上げた幼い私が眼にした二つの影。母の倫ならぬ恋の目撃者は、自らもその人生の秋に狂おしい恋に堕ちていった-。縊死という悲しい手段で不倫にピリオドを打った母の最期の姿を眼に焼きつけたまま私は身悶えする。月の狂気を纏ったこの恋を、一体どうしたらいい。

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