小説むすび | 秋

国民投票でEU離脱が決まったことも知らず、101歳のダニエルは、イギリスのとある村の療養施設で眠りつづけている。足しげく彼を見舞い、語りかけ、本を読んできかせるエリサベスは32歳の非常勤講師。少女時代を過ごした家の隣人がダニエルだった。当時すでに老人だった彼は、エリサベスに詩や小説、舞台や音楽、絵画の魅力を折りにふれ伝え、いつもこう訊ねた。「何を読んでいるのかな?」-エリサベスと母との確執、60年代に早世した女性ポップアーティストとダニエルのかなわなかった恋、ナチの手にわたったらしい彼の妹…。かつてない分断にさらされるイギリスと、時代の変転を越えてつづいてゆく人々の人生を描いたブッカー賞最終候補作。

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