緑の天幕
陽気で如才なく、やがて地下出版に携わるイリヤ、繊細な詩人の感性を持つユダヤ人のミーハ、ピアニストを目指すサーニャ。三人の幼なじみを軸に、そこに三人の少女たち、正義感に溢れる優等生オーリャ、苦学の末に役人の妻となるガーリャ、ユダヤ人のタマーラが加わり、六人の人生が時に交錯して時にはなれる。1953年のスターリンの死から1991年のソ連崩壊へ。激動の時代を背景に、人を愛し、結婚し、子どもを産み、互いに影響し合いながら困難な時代を生き抜いた市井の人びとのドラマを、ノーベル文学賞候補にも目される女性作家が複雑な光沢と色合いで織りあげていく。人間への深い愛情に満ちた大河長篇。