イリアム(下)
数千年後の未来の地球では、わずかに残った人類が、仕事も学問もせず、衣食住の保証された享楽的な生活を送っていた。そんな中、何世紀もの時を生きてきた“さまよえるユダヤ人”サヴィと出会ったハーマンは、定められた寿命の百歳を目前にして世界の成り立ちを解き明かすべく旅に出た…。一方、イリアム平原の戦局は、転換点を迎えていた。大神ゼウスの雷撃に対し、アキレウスら英雄たちは…。波瀾万丈のSF叙事詩。
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イリアムイリアム
はるか数千年もの未来、地球化された火星のオリュンポス山のふもとに住む学者ホッケンベリーは、イリアムの平原でギリシア神話の神々や英雄たちがホメーロスの『イーリアス』さながらに戦うトロイア戦争を観察していた。神々にナノテクで復活させられたホッケンベリーは、この戦争の記録をとらされていたのだ。だが、彼は思いもよらぬ使命をある女神からさずかる。地球でわずかに生き残っている人類は、仕事も学問もせず、衣食住のあらゆることを自動機械の下僕たちに任せ、享楽的な生活を送っている。この世界の仕組みに疑問をもった男ハーマンやその友人アーダとディーマンは、世界の謎をつきとめるべく旅に出た。木星の衛星エウロパに住む半生物機械モラヴェックのマーンムートは、イオのオルフらとともに、火星探検隊の一員として、火星へと向かった。地球化された火星で起こっている異常な量子擾乱の原因を調査しようというのだが…。「ハイペリオン」四部作で人気のシモンズが、ギリシア神話とSFをみごとに融合させた二部作の第一弾。ローカス賞受賞作。 2006/07/31 発売