カラスの審判(上)
元駐米英国大使館員サイモン・ガーニーは、フリーの人質救出業を始め、誘拐事件解決のプロフェッショナルとしてとみにその名を知られていた。孤独を愛する彼は、ふだんはイングランドの森の一軒家で、瞑想とランニングを生活の一部に取り入れて、愛犬とともにひっそりと暮らしていた。そんな彼のもとへ、イタリアの大富豪チェーザレ・パスキーニが仕事を依頼してきた。誘拐された息子のデイヴィッドを救出してくれという。デイビィッドは超能力を持った十七歳の少年で、しかも犯人側は一千万ドルという巨額の身代金を要求してきていた…。