小説むすび | 五輪の薔薇(上)

五輪の薔薇(上)

五輪の薔薇(上)

すべての発端は、四枚の花弁を持つ薔薇を中央と四隅とに一輪ずつ並べた“五輪の薔薇”の意匠だった。少年ジョンは、母メアリーとの散歩の途中で目にした豪華な四輪馬車を飾る紋章に、なぜか自宅の銀器類と同じその薔薇の意匠がほどこされていることを知る。ほとんど屋敷から出ずに母と二人で暮らすジョンにとっては、そもそも、半幽閉的な自分の生活そのものが謎だった。そして、自分に父親がいないことも。ジョンの問いかけにたいし、かたくなに返答を避けてきたメアリーだったが、ある日、自分たちには邪悪な敵がいて、ジョンの身の安全のために、今こそ重大な選択を迫られているのだと告白する-。出生の秘密、莫大な遺産の行方、幾多の裏切り、そして未解決の殺人事件と、物語文学のあらゆる要素をそなえ、読者を心地好い迷宮へと誘う、波瀾万丈かつ複雑に入り組んだプロット。文豪チャールズ・ディケンズ、ウィルキー・コリンズの作品世界をも凌駕する超弩級の大作が、ついにそのヴェールを脱ぐ。

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