いくつもの鋭い破片 上
『レス・ザン・ゼロ』の頽廃と青春。
『アメリカン・サイコ』の不穏と冷血。
アメリカ文学の鬼才、畢生の大作。
1981年秋に起きたこと。それを僕はついに書くことにした。
あの恐ろしい出来事を。
ハイスクールの最終学年。裕福な子女ばかりが通うバックリー校で、僕は人気者の子たちと調子を合わせながら、男子たちとセックスに耽り、家では『レス・ザン・ゼロ』という小説を書き進めていた。僕らが享楽の日々を過ごす一方、周囲には奇怪な出来事が頻々として起きていたーー
不法侵入事件の多発。カルト集団の出没。校内のグリフィン像は何者かによって鯉の死骸で冒瀆され、〈曳き網使い〉なるシリアル・キラーが静かに徘徊していた。それがどんな恐ろしいことを引き起こすのか、あのときの僕はまだ知らなかった……。
享楽。虚無。無感覚。何か取り返しのつかないことが起こる予感。
80年代の頽廃をエリスの不穏な声がじわりじわりと綴ってゆく。
13年の沈黙を破って放たれた、米文学の鬼才の集大成的傑作。
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80sの頽廃に彩られ、 饒舌な語りがたどりつく病みの奥。 私小説に擬態した 恐るべき畢生の代表作。 この語り手、信じていいのか? 『レス・ザン・ゼロ』の頽廃と、『アメリカン・サイコ』の冷血。 恐ろしい出来事が、ついに起きる。 突如転入してきた美少年ロバート。彼は何かを隠している。彼にはきっと忌まわしい秘密がある。彼こそが〈曳き網使い〉という殺人鬼なのではないか? そんな疑念が僕にとり憑いて離れない。それなのにロバートは、僕の友人たちにどんどん近づいてゆく。やがて僕のセフレだったマットが姿を消し、〈曳き網使い〉に殺された無残な姿で発見される。 パーティー、ドラッグ、ハリウッドの頽廃。夜の闇に蠢く影。恐怖に満ちた録音テープ。音楽、文学、映画。薄っぺらくも快楽的な80sの空気のなかから、恐ろしい出来事がうっそりと頭をもたげはじめるーー 語りは徐々に変調し、転轍し、後戻りのできない闇=病みへと滑り込んでゆく。 ブレット・イーストン・エリスにしか書けない冷たい不安に満ちた、畢生の代表作。 2026/01/13 発売