赤毛のアン
美しいプリンス・エドワード島で愛されて成長していく少女アン。幸福感あふれる名作の日本初の全文訳。
訳文は、お茶会のラズベリー水とカシス酒、アンの民族衣裳、スコットランドから来たマシューの母など、モンゴメリの原作に忠実に、全文を、みずみずしく夢のある文章で訳した真実の物語。
巻末の訳註では、作中に多数引用されるシェイクスピア劇など英文学と聖書の句、スコットランド系アンとアイルランド系ダイアナなど登場人物の民族、19世紀カナダの衣食住、キリスト教、草花とハーブをくわしく解説。
口絵には、リンド夫人が棒針で編むキルト、アンとマシューが初めて出逢う駅のモデル、マシューが愛するスコットランドの薔薇など、物語に描かれる品々や場所の写真を11点掲載。
松本訳の旧訳『赤毛のアン』の訳文と訳註を、全面的に改稿した新訳!
児童書でも、少女小説でもない、大人の心豊かな文学『赤毛のアン』。
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「『アン・シャーリー』は生まれ落ちるとまもなく両親を失った孤児。それに、恐ろしいばかり真っ赤な髪の毛で、そばかすだらけの顔に眼ばかりぎょろつかせている、やせっこけのへんな女の子でしたから、幼いアンは、誰からも可愛がってもらえません。貧乏人の家で育てられて、早くから子守などにこき使われ、それから孤児院へやられます。 でもそんな哀れな育ちの中で、少しもゆがめられぬ敢然としたチビの魂を持っています。天使のように純粋で、また小鬼のように鋭くはしこい、宝石の輝きを持つ魂です。暇さえあればロマンティックな光まばゆい空想に陥ちていって、現実の自分の惨めさを忘れていられます。その代わりしばしば夢と現実が一緒になってしまうので、アンのやらかす失敗というのは、また無類のものです。 十一で引き取られた先が、プリンス・エドワード島の『エヴォンリー』という片田舎。年寄った兄妹二人暮らしの『グリーン・ゲイブルズ』(緑の屋根の家)と呼ばれる農家でした。美しい大自然に恵まれた平和な村の生活です。それでも、夢想家の激情的なアンは、そのおだやかな日常生活の中で、次々と『死ぬか生きるかの大騒動』を引き起こしてしまいます。まわりの人々は、アンの突飛な言動に面くらったりはらはらしたり、また憤ったりおなかを抱えて笑ったりさせられます。そうしながら誰も彼もが、アンに激しくひきつけられ、愛さずにいられなくなるのですが、それはまた私たちの気持ちーーこの本を読む者誰もが、みんなアンを愛さずにはいられなくなるでしょう。」(訳者あとがきより) 多くの作家、女性の生き方に影響を与えた不朽の名作を、「文体が美しい!」とかねてより定評のある、中村佐喜子訳で。Netflix (ネットフリックス)のドラマ「アンという名の少女」でも改めて話題を集めた、大ヒット映画『赤毛のアン 初恋』、『赤毛のアン 卒業』(2018年カナダ・アカデミー賞監督賞・演技賞受賞)につながる、すべての物語はここから始まる。 第1章 レイチェル・リンド夫人の驚き 第2章 マシュー・カスバァトの驚き 第3章 マリラ・カスバァトの驚き 第4章 グリーン・ゲイブルズの朝 第5章 アンの生い立ち 第6章 マリラの決心 第7章 アンのお祈り 第8章 アンの養育はじまる 第9章 リンド夫人、恐れをなす 第10章 アンのお詫び 第11章 アンの日曜学校の印象 第12章 おごそかな誓いと約束 第13章 期待と喜び 第14章 アンの告白 ……(中略)…… 第36章 栄光と夢 第37章 死の訪れ 第38章 道の曲がり角 2000/04/04 発売
孤児のアンは、プリンスエドワード島の美しい自然の中で、グリーン・ゲイブルズのマシュー、マリラの愛情に包まれ、すこやかに成長する。そして笑いと涙の感動の名作は、意外な文学作品を秘めていた。シェイクスピア劇・英米詩・聖書からの引用をときあかす驚きの訳註、みずみずしく夢のある日本語で読む、新完訳の決定版!楽しく、知的で、味わい深い…、今までにない新しい本格的なアンの世界。 2000/05/24 発売
ふとした手違いで、老兄妹に引き取られることになった、やせっぽちの孤児アン。想像力豊かで明るい性格は、いつしか周囲をあたたかく変えていく。グリーン・ゲーブルズの美しい自然の中で繰り広げられるさまざまな事件と、成長していくアンを綴った永遠の名作。講談社だけの完訳版シリーズ、刊行開始。 2005/04/15 発売