長靴をはいた猫
「赤頭巾ちゃん」にしても「眠れる森の美女」にしても、本来は血なまぐさくて荒々しく、セクシャルで残酷な民話だった。ペローの童話はその味わいを残しながら、一方では皮肉な人間観察や教訓にみち、童話文学の先駆的作品となった…この残酷で異様なメルヘンの世界を、渋沢龍彦はしなやかな日本語で甦らせた。独特の魅力あふれる片山健の装画をそえておくる決定版ペロー童話集。
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刑事弁護士となったホープのもとへ、初めて殺人事件の弁護の依頼が飛び込んできた。依頼人は、妻の女流映画監督をナイフで惨殺したとして逮捕された夫のカールトンで、犯行に用いられたナイフが、血染めの彼の衣服と一緒に自宅の庭に埋められているのが発見されていた。ナイフと衣服はどちらも事件の十日前に家から盗まれたものだとカールトンは主張していたが、自宅に押し入るところや庭に何かを埋めているところを隣近所の者に目撃されており、ホープは、映画を見ていたという彼のアリバイの立証に全力を注いだ。だが、ホープにはひとつ気にかかることがあった。被害者の女流監督が秘密主義で撮影していたという映画のフィルムがどこにも見当らないのだ。その頃、ホープの知らないところでは、フィルムを求めて、さまざまな思惑を持った男たちが行動を開始していた…!新たなる展開で巨匠が放つ、殺人童話シリーズ最新作。 1989/07/01 発売