終わりなき探求
『大地』の著者の失われた作品、40年の時を経て…。主人公の天才児、ランドルフ(ラン)・コルファックスの成長物語。ランは人生の真実と意味を追い求めて、ニューヨーク、イギリス、パリに旅する。DMZ(非武装地帯)の警備に就いた韓国では、人生を一変する出来事に遭遇ーついに愛に辿りつく。ランは才気煥発なステファニー・コンに恋をする。彼女は中国人の父親とパリで暮らし、アメリカ人の母は彼女が六歳のときに家を出たまま音信不通であった。ふたりの若者は、真のアイデンティティーを模索する。ランは貪欲な知的好奇心に悩まされ、世の中で経験することを頭のなかに組み込もうと懸命になる。ステファニーは混血の生まれゆえに疎外感を抱き、自身の二つの文化のせめぎあいを解消しようともがく。しばらくぶりに再会を果たした二人を待ち受けていたものは、ランの英知をもってしても想像を絶する結末であった。『終わりなき探求』はパール・バックが生涯大切にしていたテーマの数々が織りなされ、読者を魅了する。最晩年の著者が情熱を傾けた、著者自身に最も近い作品として、パール・バックを長年愛読してきた何百万もの読者の心に響くだろう。