小説むすび | 緑の瞳(上)

緑の瞳(上)

緑の瞳(上)

1830年、「川の魔女号」はミシシッピ川をナチェズに向かって処女航海をしていた。船主アシュトンと結婚したばかりのリアリンは、深いエメラルド・グリーンの瞳に溢れるばかりの幸福感をたたえ、夫を見つめるのだった。これから二人は、リアリンの父と姉に結婚の報告に行くところだった。そんな静寂をうち破るように船首が騒がしくなった。海賊の急襲だ。激しい応酬のなか、アシュトンはライフルで撃たれてくず折れ、リアリンも船べりに追いつめられ川に転落していく。水面に浮かび、意識が遠のくなか、リアリンは夫の死を覚悟するのだった。

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