偽りの婚約者
17歳の純白の心に、
キスの烙印を残した人ーー。
ケルシーは勤務先の社長の息子に言い寄られ困っていたが、
恋愛経験のない彼女には、うまく断ることができない。
そんなある日、カードを添えた一輪の赤い薔薇が届く。
〈今夜、夕食をともにしたい。マーシャル・ヘンダーソン〉
マーシャルですって? ケルシーの全身がかっと熱くなった。
4年前、わたしの唇を奪い、そのまま姿を消した実業家……。
しつこい相手に諦めてもらう口実よ、と自分に言い聞かせ、
彼女はマーシャルのもとへ向かった。彼があのとき言い残した、
「いずれ君は危険な女になる」という言葉を思い出しながら。
相手が若すぎたゆえに当時は身を引き、成長をずっと見守っていたマーシャル。ケルシーもあのキスをずっと忘れられずにいて……。切ない初恋と再会のロマンスです。