小説むすび | ささやかな背徳

ささやかな背徳

ささやかな背徳

カロラインは亡き父の借金を清算して生計を立てるべく、自宅を売りに出し、書店員として働きに出ていた。そんな彼女のもとに、ある日、結婚話が舞い込む。傲慢で悪名高きラザフォード伯爵が、花嫁を探しているというのだ。聞けば、彼は余命幾ばくもなく、すぐに跡継ぎが欲しいらしい。たとえ相手が稀代の放蕩者であっても、結核に苦しむ幼い弟のために、どんなひどい扱いも我慢するつもりで、カロラインは面接の場に赴いた。初めて会う伯爵の見事な美貌と、心の奥底に悪魔を隠した雰囲気、そしてあからさまな視線と質問に、彼女は思わず頬を赤らめた。「立ち入ったことに触れるが…きみは安産型の腰をしているか?」

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