結婚代理人
私の結婚はどうなってしまうの?
花婿がすり替えられていたなんて!
結婚式の日、誓いのキスのために絹のヴェールが持ち上げられ、
20歳の花嫁ケイトは花婿の顔を見て、驚きのあまり声を失った。
婚約者ではなく、見ず知らずの男性だったのだ! 誰なの、この人は?
口づけの間際にケイトが発した叫び声は、オルガンの音にかき消された。
長身の花婿が深みのある妖艶な声で囁く。「静かに、ケイト」
そして巧みに唇を奪い、正式にケイトの夫となったその花婿の正体は、
婚約者から“結婚代理人”を頼まれた、彼のいとこのシャルルだった。
大した身分でもないケイトとの結婚を母に反対されてこうなったらしい。
だからって、私はどうしたら……? 戸惑うケイトに、シャルルが告げた。
「僕は手つかずのままで、花嫁をいとこに引き渡したいと思っている」
それなのに、共に過ごすうち、ケイトはシャルルを愛してしまい……。
姑になるはずだった婚約者の高慢で独善的な母、つまりシャルルの伯母は、ケイトを毛嫌い。けれども、いびられっぱなしではいない芯の強さを快く思ってくれるシャルルに、ケイトは惹かれていくのでしたーーただの“一時預かりの花嫁”なのに。紙書籍限定再版!