小説むすび | アラビアンナイトの誘惑

アラビアンナイトの誘惑

アラビアンナイトの誘惑

恋人の浮気の現場を見てしまい、打ちひしがれたマギーは、降りしきる雨の中をずぶ濡れで歩いていた。気分が悪くなり、思わずかがみ込んだとき、長身で引き締まった体つきの男性に声をかけられる。砂漠の国シャジェハールの要人で、カリードと名乗った彼は、マギーを高級車に乗せ、滞在している屋敷まで連れていった。冷たくなった体を抱き上げられ、バスルームに下ろされると、カリードの魅惑的な低い声が囁いた。「さあ、服を脱いで」マギーは恥じらいながらもその言葉に従った。氷雨の夜の熱いひとときが、悲しい千一夜の幕開けとは知らずに。

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