幻想展覧会(1)
19世紀に華々しく開花したゴシック小説。その死と恐怖に満ちた暗黒の世界は、われわれ現代人の心の中にも巣くっている。本書は現代作家によるゴシック小説を甦らせようという試みであり、新たな世紀末を飾るに相応しい異色のアンソロジーである。呪われた画家の生涯を描いた幻想譚「展覧会のカタログ」(スティーヴン・ミルハウザー)、プラスチックに覆われた奇妙な街の世界「ニュートン」(ジャネット・ウィンターソン)、平和な日常生活へのグロテスクなファルス「オヴァンドー」(ジャマイカ・キンケイド)、ポオを思わせる不気味な死の物語「におい」(パトリック・マグラア)他、短篇全9篇を収録。