幻想展覧会(2)
今まで現実だと信じていたものが突然得体の知れないものへと変じ、日常生活に亀裂が生じたとき人は恐怖のどん底へ突き落される。本書を読む者は、割れ鏡に映じた己れの姿を前にして目まいを憶えるように、不気味な幻想の世界へと誘われていくであろう。ハリウッドの老女優にまつわる奇妙な物語「影の商人」、日記に残されたサイコ・スリラー「焔の湖での自己洞察」、ボードレールへの猥雑なオマージュ「J」、グロテスクな御伽噺「お妃の死」他、短篇全10篇を収録。
関連小説
幻想展覧会(1)幻想展覧会(1)
19世紀に華々しく開花したゴシック小説。その死と恐怖に満ちた暗黒の世界は、われわれ現代人の心の中にも巣くっている。本書は現代作家によるゴシック小説を甦らせようという試みであり、新たな世紀末を飾るに相応しい異色のアンソロジーである。呪われた画家の生涯を描いた幻想譚「展覧会のカタログ」(スティーヴン・ミルハウザー)、プラスチックに覆われた奇妙な街の世界「ニュートン」(ジャネット・ウィンターソン)、平和な日常生活へのグロテスクなファルス「オヴァンドー」(ジャマイカ・キンケイド)、ポオを思わせる不気味な死の物語「におい」(パトリック・マグラア)他、短篇全9篇を収録。 1992/06/01 発売