小説むすび | サイラス・サイラス(上)

サイラス・サイラス(上)

サイラス・サイラス(上)

本書は、欧米で絶賛を浴びた傑作長篇小説。愛児殺害等の罪で英国市民を震憾させた主人公サイラス・サイラスは超自然的な脱獄をし、後には「自伝」が残されていた。上巻では、インドの賤民としてレイプされた母親から生を受けた幼年期から、バングラデッシュの内戦、フリーセックスを奨励するアメリカのカルト宗教での修行。英国でのフェミニズムの左翼活動と官憲による弾圧までが語られる。愛と悽惨な離別、さすらいと、神秘体験と、性の記録。唯一者への信仰と、東洋的なアニミズムのせめぎ合う坩堝のような哲学、痛烈な社会批判、卓越したブラック・ユーモアとストーリー・テリングが重層的に読む者を眩惑する。

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