夢と幽霊の書
ルイス・キャロル、コナン・ドイルらが所属した心霊現象研究協会の会長による幽霊譚の古典、ロンドン留学中の夏目漱石が愛読し短篇小説の着想を得た名著、120年の時を越えて、待望の本邦初訳!
はじめに
第一章 夢
犬のファンティ/マーク・トゥエインの話/食堂に入りこんだ豚/モクセイソウ/なくした小切手/アヒルの卵/なくした鍵/古い証券/十分の一税の滞納金/ふたりのクルマ/アッシリアの神官/よろい戸の節目
第二章 夢と幻視
メアリー・スチュアートの宝石/死の床/パーシバル首相暗殺の夢/ガラガラヘビ/赤いランプ/口ひげの下の傷/サンゴ模様のクラバット/サテンの上靴/死んだ店主
第三章 水晶玉による幻視
ある外交官の話/ランプの下にいた人/ベルをつけた牛/ルイ一四世の臨終
第四章 幻覚
二頭立ての馬車/食事会から帰ってきた幽霊/赤い傷跡/幽霊と肖像画/抑えこむ手/修道士の聞いた声/エレベーター前に立つ男
第五章 生き霊
エカテリーナ二世の生き霊/幽体離脱/タビストック通りで/ウィンヤード氏の幽霊/ブルーアム卿の物語/死にゆく母親の話/花嫁の幻影
第六章 死者の幽霊
デヴォン州スプレイトンの幽霊、一六八二年/ジョージ・ヴィリヤーズ卿の幽霊/ある王党員の記述/ウィンダムの手紙/リトルトン卿のもとに現れた幽霊
第七章 目的を持って現れた幽霊
デイヴィーズ軍曹の殺害/デイヴィーズ軍曹殺害事件について/庭師の幽霊/モーズの犬/ピーターの幽霊
第八章 幽霊
タイコンデロガ/ティローン伯爵の幽霊/午前一時半のできごと/常夜灯を消す幽霊
第九章 幽霊と幽霊屋敷
きしむ階段/食料品屋の咳/ガイドの父親の話/夢でノックしたドア/ピンク色の服の娘/幽霊部屋の犬/黒い服の婦人/踊る悪魔
第一〇章 近世の幽霊屋敷
ウェスリー家の幽霊/セント・ヴィンセント卿の身内の幽霊譚
第一一章 さらなる幽霊屋敷
霊に憑かれたチャン夫人/アマーストの大いなる謎/ドナルド・バンとボカン/ヒャルタスタッドの悪魔/ガルプスダルの幽霊
第一二章 大昔の幽霊
グラームの物語/〈ファウルフォーズ〉またはロングフォーマカスの蹄鉄工
第一三章 アイスランドの幽霊
フローザーの怪異
第一四章 さまざまなおばけ
出現する手/冷たい手/黒い犬と親指のない手/指を嚙む幽霊
原註/訳註/訳者あとがき
一二〇年の時を経てあらわれた幻の本 吉田篤弘