カルヴィーノの実験はこの小説で完成したのだろうか。この小説は縦だけでなく横にも読めることを読者は気づくだろう。カルヴィーノ最後の小説。
中年男性、職業不詳、家族は妻と娘一人、パリとローマにアパートを所有ーこれがパロマー氏だ。彼は世界にじっと目を疑らす。浜辺で、テラスで、沈黙のなかでー。「ひとりの男が一歩一歩、知恵に到達しようと歩みはじめる。まだたどりついてはいない。」三種の主題領域が交錯し重層して響きあう、不連続な連作小説27篇。 2001/11/16 発売