謎解き「嵐が丘」
エミリ・ブロンテ『嵐が丘』が蔵する謎を手がかりに、この小説の核心に迫る。
『嵐が丘』の読者は数多の謎に遭遇する。謎を解くためにテクストから証拠を拾い上げてゆくと、また新たな謎が出現し、これまで見えなかった作品の一断面が、鮮やかに浮かび上がってくる……
好評を博した旧版『「嵐が丘」の謎を解く』(創元社、2001)に3つの新章を加え、全面的に改稿した増補決定版。
第1章 序説ーー『嵐が丘』の謎はどこから生じてくるのかーー
第2章 「許されざる者」とは誰かーー『嵐が丘』の神学的解釈ーー
第3章 ヒースクリフは何者かーー「分身」のテーマの変容ーー
第4章 時間の秘密ーー年代記を解読するーー
第5章 空間に埋め込まれた秘密ーーイメジャリーを解読するーー
第6章 隠された会話ーーある劇的瞬間ーー
第7章 第二世代物語論(一)--鏡の世界ーー
第8章 第二世代物語論(二)--ファンタジーとしての『嵐が丘』--
第9章 『嵐が丘』の起源ーー新・旧「伝説」をめぐってーー
第10章 『嵐が丘』のトポスーー「荒野」物語についての比較文学的考察ーー
おわりにーー『嵐が丘』の謎の性質とはどのようなものかーー
(付録)『嵐が丘』年代記とその推定方法