オルガンのあった場所
悲しみではなく美しさを、拘束ではなく自由であることを
冷笑ではなく憐れみであることを、倒れることではなく起き上がることを
恋人との逃避行を前に故郷の村に帰った「私」が、幼い頃家族に起きた出来事や揺れる思いを彼に綴った書簡形式の表題作をはじめ、百編余りの短編からシン・ギョンスク自身が「胸の内をすべて見せるように」選んだ七編を収録。
ここに登場するのは、さまざまな傷を負い、あるいは困難な状況に直面する人たちだ。
彼らの悲しみ、苦しみに寄り添い、人を愛することの切なさを情感豊かに描く美しい物語が静かに、熱く、胸を打つ。
庭に関する短い話
草原の空き家
鳥よ、鳥よ
オルガンのあった場所
彼がいま草むらの中で
ジャガイモを食べる人たち
暗くなったあとに
作家のことば
訳者あとがき