小説むすび | 書かずにいられない味がある

書かずにいられない味がある

書かずにいられない味がある

出版社

クオン

発売日

2025年10月10日 発売

ジャンル

〈食〉は暮らしと文化の生命線

プルコギや冷麺がソウルで日常的に食べられるようになったのは、
今からたった約百年前のこと。
地方や海外の味が流入し、外食店が増え、
朝鮮半島の食文化が大きく変貌していった時代でもある。

当時の人々のいのちをつなぎ、生活を彩った〈食〉の数々が、
作家や記者らの筆によって臨場感をもって描かれるーー。

どこから読んでも味のある、小説、エッセイ、ルポルタージュ40選。

●訳者解説より

すべての作品に共通する内容として、人々の食にかけるひたむきな姿勢があげられる。植民地下の厳しく、貧しかった時代、食べることは生きることと同義であった。大衆居酒屋でマッコリをあおる姿も、水っぽく薄い粟粥を懸命にすする姿も、病気の妻にソルロンタンを買って帰るため必死に働く姿も、日々を懸命に生きる人たちのリアルな日常である。そこには飽食の時代にあって、ついつい忘れがちな食への原初的な情熱が込められており、読めば読むほどに調理技術を超えた「味わい」が伝わってくる。
 訳者としての立場ではあるが、一読者としても満腹度の高い一冊であった。

ーーコリアン・フード・コラムニスト 八田靖史
はじめに

第1部  春は明月館の交子料理にあり
 カレイ、ロバ/白石
 柳京食譜/李孝石
 明太/蔡萬植
 エジョチム/蔡萬植
 夏の味覚/桂鎔黙
 スイカ/崔曙海
 マクワウリ/薄田斬雲
 青ブドウの思想/李孝石
 山菜/蔡萬植
 幽霊の鍾路/李泰俊
 春を待つ気持ち/金尚鎔
 愛酒記/金岸曙
 店頭の牛頭骨/薄田斬雲
 外国で思い出した朝鮮のもの/李晶燮
 麵/白石
 海苔/具本雄

第2部  食は小説になる
 サンジョク/蔡萬植
 冷麵/金浪雲
 カルビをかじる犬/尹白南
 餅/金裕貞
 十月に咲くリンゴの花/李孝石
 運のよい日/玄鎮健

第3部  チュタン店の下働きとして
 チュタン店の下働きとして二日間の住み込み/B記者
 冷麵配達夫に扮した記者 秘密家庭探訪記/夜光生
 朝鮮料理店の始祖明月館
 明月館と食道園の料理戦争
 富豪の食事と極貧者の食事
 菓子屋の人気がある理由 男女の恋愛のおかげ/京城探報軍
 ピンス/方定煥

第4部  八道名物飲食礼賛
 珍品中の珍品 神仙炉/牛歩生
 全州名物 タッぺギクッ/多佳亭人
 忠清道名物 鎮川メミルムク/朴瓚煕
 慶尚道名物 晋州ビビンバ/飛鳳山人
 無視するべからず ソウルのソルロンタン/牛耳生
 天下の珍味 開城ピョンス/秦学圃
 愛の餅、風流の餅 延白インジョルミ/長寿山人
 四季の名物 平壌冷麵/金昭姐
 大邱の自慢 大邱湯飯/達城人
 京城名物料理
 京城名物 野菜と果物

筆者紹介
訳者解説

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