出版社 : ディーエイチシー
人気作家、リザ・スコットラインが選んだ、マイクル・コナリー、クラーク・ハワード、ジョイス・キャロル・オーツ…。世界最高レベルのミステリ20編を収録。
愛についてずっと考えてきた。母の恋愛はあまりにも不可解だった。それでもよく考えてみようと思う。いや、考えなくてはならないのだ。カナダの文学賞を多数受賞したネオ純文学。次世代を担う新鋭作家が実験的手法で描く不可思議な愛の世界。
MITからカリフォルニアの農事試験所に移ったクレアが最初に訪れた果樹園の名は、豊かな地下水系を持つ肥沃な土地を意味していた。しかしそのアグアドゥルセ果樹園の桃は、無残にもモニリア菌におかされ、耐性菌の可能性も…。果樹園の息子は現代の環境問題の犠牲者なのか?植物学者がえがく、植物環境ミステリー。アガサ賞、アンソニー賞候補作。
信仰ゆえに孤独に身をおくイギリス人牧師オスカー。遺産でシドニーのガラス工場を買いとり経営する孤児ルシンダ。それぞれにギャンブルと出合い、のめりこんでいった2人の出会いと数奇な運命を、19世紀のイギリスとオーストラリアを舞台に描く長編。13カ国語に翻訳、ブッカー賞受賞作、待望の翻訳。
楽園を与えられながらもすべてに満足できなかった男-それが一連の事件を引き起こした白骨死体の生前の姿だった。男は11年間、ナヴァホ族の霊山シップロックの山頂に横たわっていた。訪問者はカラスだけ。死体はついばまれ白骨となり、登山用具があたりに散らばっていた。奇妙な事件が相次いで発生しはじめたのは、その男が地上に降りた直後だった。静かな長い年月は突如として終わりを告げる。リープホーン元警部補は白骨死体と狙撃事件の関連性、古い記憶…白人失踪事件が絡んでいるはずだと、捜査内情をチーから聞きだそうとする。相次ぐ事件に関連性など、単なるこじつけだと疑心を消せないチー警部補代理は、婚約者のジャネットが必要以上に事件に関心を示すことに気づき、捜査に身を投げだしていく-が、そこに待ち構えていたのは遺産相続、鉱山開発などの裏に潜む人間の欲望、愛欲、そして最も信じたくはなかった白人化したジャネットの姿だった。Vita brevis「人生は短い」-そんな警句を残して男は自ら落ちゆく道を歩んでいった…。