出版社 : ビクターエンタテイメント
四年間の英国留学を終え、帰国してきた桜沢慎三郎を待っていたのは東京の街を騒がす“竜馬の亡霊事件”と、いまでは評判の高い探偵となった更紗(さらさ)こと真沙姫だった。伊藤博文ら、明治政府高官襲撃事件にからむ竜馬の亡霊の謎を解明するため、更紗は助手に指名した慎三郎とともに調査を始める。しかし、手がかりはいっこうに掴めず、逆に亡霊騒ぎは過熱するばかりだった。そんなある日、更紗は佐々岡男爵から海援隊の記録誌『海援隊史談録』を入手する。それには、これまで誰も知らなかった意外な事実が記されていた…。
1936年、北京。劇団員と荷物を山積みにした馬車隊が、古びた劇場の到着する。その場所はかつて壮麗なオペラハウスだったが10年前火事によって廃墟となり果て、当時大人気だったスター、ソン・タンピンも焼死したと噂されていた。その夜、タンピンに憧れる若き劇団員ウェイチンは不思議な歌声を耳にする。そして暗い劇場を走る去る女の姿。すべては幻影なのか、それとも…?管理人のマー老人はその歌声の秘密を静かに語り始めた…。
1934年カンザス・シティ。大恐慌でアメリカ全土が不況にあえぐ中、ギャングが幅を利かすこの街だけは異様な活気に満ちていた。民主党の悪徳政治家ペンダーガストが裏で操作する、不正はびこる選挙の前日。強盗を働いて黒人ギャングに捕まった夫を取り戻したい一心で、ブロンディは、ルーズヴェルト大統領の顧問、ヘンリー・スティルトンの妻を誘拐する。誘拐犯と人質として行動を共にするうち、二人の女性の間には奇妙な信頼関係が生まれるが…。
異なるふたつの世界が、突然の次元衝突によって接触…それぞれの世界のそれぞれの国のバランスが崩れてしまった。精霊の加護を受け繁栄してきた国、トレニティーアも例外ではなかった。精霊との約束が封じられている四つの香炉のうち“風の香炉”が、隣国ダライアンデの傭兵部隊に盗まれ、異世界に持ち出されてしまう。ダライアンデに脅威を抱くトレニティーアは、炎の精霊騎士・レイガハルを香炉奪還の使者として異世界-日本へ送る。が、彼を待ち受けていたのは、ダライアンデが放った凶悪な刺客・三色竜騎兵だった…愛とロマン溢れる感動のアクション・ファンタジー巨編がいま始まる。
内閣調査室の結城浩司とともに、死闘の末ダライアンデの刺客、三色竜騎兵をなんとか退けたレイガハルだったが、盗まれた“風の香炉”の行方は依然として掴めなかった。レイガハルの精霊の力も何故か通じず、香炉探索は難航。悩んだあげく、手がかりを求めるためにいったんトレニティーアへ戻ることにした。レイガハルは結城をともない、再び次元を越える…しかし、彼らを出迎えたのはダライアンデの騎士達だった。日本との次元を繋ぐ“精霊門”のあるマグス王国は、すでにダライアンデに占拠されていたのである。
1969年、ニューヨーク市クィーンズ。そろそろ初老にさしかかる年令のパールは、こともあろうに夫の葬式の日に、長年に及ぶ片想いを告白される。相手は夫の友人ジョー。悪い気はしないが、彼を受け入れるにはあまりにも問題がありすぎる。とりわけ離婚経験をもつ2人の娘、年老いた母は心配の種だ。そうした状況の中で、パールの心は揺れ動く…。そして、彼女は生きている限り、新たなステップを踏み出すことの大切さを学んでゆく。