出版社 : ベネッセコーポレーション
モリー・ベアポウ。28歳。チェロキー族。アメリカ先住民擁護連盟調査員。ミステリー小説は大好きだけど、仕事で人の“死”に関係したことはなかった。ところが、ある老人ホームで先住民の男性が謎の死をとげ、モリーは調査を頼まれる。チェロキー族がもっともおそれる悪魔レイヴンモッカーの呪いだろうか?それとも殺人なのか?以前つき合っていた保安官助手D・J・ケネディとともに進める調査の果てに見たものは…。
ブルックリンのユダヤ人コミュニティに秘蔵されてきた一つの財宝が紛失した。「見者の石」と呼ばれる72カラットの巨大なダイヤモンド。元NY市警刑事のドヴ・テイラーはその石の探索を心ならずも引き受ける羽目になった。アルコール依存症と苦闘しながら調査を進めるうち、ドヴは19世紀初頭の東欧に端を発する凄惨な抗争の陰謀の渦に巻き込まれていく。
ひとりぼっちでは幸せになれないけれど、皆で一緒に幸せになるのもとても難しい。親の決めた結婚ゆえに自分の人生を歩むことができず、夢見がちに恋に恋することでしか自分を支えられない母。猫を溺愛して寂しさと痛みを紛らそうとする父。そんな両親に反発し、家を出てしまった兄。そして今度は姉までも。家族の再生を願う末っ子シューコの思いを綴ったノスタルジックでせつない長篇小説。
厳冬のシカゴの公園で、氷と雪に閉じ込められた男性の射殺死体が発見された。シカゴ市警の警部補ノラ・カラムは、被害者の指輪と腕時計に彫られた文字を手がかりに捜査を開始したが、事件の背後には、旧ソ連の宇宙探査機打ち上げ計画にまつわる驚くべき秘密が隠されていた。そして、捜査陣をあざ笑うかのように、同じ場所で第二の殺人が起きた。
仁明帝、東宮、在原業平、僧正遍照などとの様々な恋に懊悩し、情熱的な和歌の才能を発揮した六歌仙の一人、小野小町。絶世の美女とも謳われた華のごときその生涯を通して、平安時代の豊かな男女の関係のありようを浮かびあがらせた物語。
ー恋する者はたえず心の中で走り回っており、新たな奔走を企て、自身に対する策謀をめぐらしつづけてやまない(R・バルト)-“あちらこちらを走り回る”という意を表しもする“ディスクール”本来の「野性的な」実践を通して、“恋愛”をもっともピュアーなかたちで描き出した刺激的快作。
人間の飽くなき想像力が生み出した“ホラー”という暗黒の迷路。『フランケンシュタイン』『サイコ』『ゾンビ』『キャリー』『エイリアン』…古典・現代を問わず、あらゆるメディアにまたがって数多くの作品を一挙紹介。豊富な知識で語る案内人は、巨匠スティーヴン・キング。戦慄と恐怖の調べの中「死の舞踏」が今始まる。
南太平洋上を漂うヨットの中で、米上院議員の娘が誘拐された。敵は麻薬王として知られるタイの将軍。その軍隊の規模は。人質は無事に救出できるのか。しかも次期大統領の椅子を狙う上院議員がこの機会を逆手にとって、現職大統領の失墜をもくろんでいる。第二次大戦中、空軍パイロットとしてめざましい活躍をした現米大統領の決断を迫られる場面だった。
ローデシア生まれの英生物学者ダニエルは、野生象保護の実態を撮るため、故郷のチウェウェ国立公園を訪れる。しかしそこには、象牙の密売を裏で操る台湾大使、チェンの魔の手が伸びていた。公園管理主任ジョニーの一家も、チェン一味に惨殺される。無二の親友を奪い、自然を破壊する悪の組織に復讐を誓うダニエル。彼の長い長い闘いが今始まった…。
「あなたはあなたでいいんだから。あなたは長い時間をかけて、よりあなた自身になっていけばいいんだから」中学3年の途中から不登校になった少女の一年。普通に登校している生徒たちの文集。少年院からの声。農村で共同生活する子供たちの手記ー揺れ動く現代社会の中で、様々な危機を抱える子供たちの発する光と影のメッセージと、それを受けとめる大人たちの姿をモザイク的手法で写しとった長篇小説。
おムコを捜しに来たの。だって、こっちには日本のエリートが沢山いるでしょーそういって幼稚園以来のくされ縁の仲、憎たらしくもほれぼれするほど美しいヒカルが、留学先のアメリカにまでおしかけてきた。男の所有物になるのはご免、女も男と対等にならなきゃ、と常々思っていたマユキだけれど…。本当はどうすれば幸せになれるのか、鋭く問いかけるビタースィートストーリー。
瞳の色、唇の形、耳のひだに至るまで、ひとつひとつ詳細に思い描くことによって造り上げた幻影の女性、オリヴィア。彼女がもたらす甘美な呪いを描く「ロバート・ヘレンディーンの発明」『不思議の国のアリス』のパロディ「アリスは落ちながら」他、現代アメリカ文学の新鋭ミルハウザーによる10の煌めく短篇を収録。
バニング・ジェーンライト。アドルフ・ヒトラーのために、ポルノグラフィーを書く男。「ふたつの」世界を旅する男。彼の口から、果てしない迷路のような物語、呪われた愛をめぐる“もうひとつの二十世紀”の物語が、いま語りだされる…。数多の絶賛を浴びながら、現代アメリカ文学界に慧星のごとく登場したスティーヴ・エリクソンの傑作長篇。
「高貴な血筋の方を次々と手玉にとる遊び女」そんな噂をも心の隅で楽しみながら、あくまでも誇り高く、男を愛し、愛されて奔放に生きた情熱の歌人和泉式部。今なお輝きを持つ恋の数々と、鮮やかな生き方を魅力的に描く歴史物語。
彼女の悲しみを、分かちあうことはできない。私の悲しみも理解されないだろう。でも、寄り添わずにはいられないー。無機質な新構想大学のキャンパスで出会ったエキセントリックなルームメイト。互いの孤独に気付くとき、何かが変わる予感がした。第106回芥川賞受賞の表題作ほか、「星の指定席」併録。