出版社 : ポプラ社
たくさんのユニークな人々が暮らし、日々大小さまざまな事件が起きる花咲小路商店街。 新米カメラマンの樹里が働くのは、商店街に昔からある<久坂寫眞館>。 店主の重はカメラマンの腕がいいはずなのに、写真を撮ろうとしない。それもそのはず、重が撮影をすると、<奇妙なもの>が写真に写り込んでしまうというのだ。 写り込んでいるのが「過去」のものだとわかったことがきっかけで、昔の花咲小路商店街にタイムスリップしてしまった二人。 若かれしセイさんの力を借りて、謎に包まれたままの火事の真相を探ろうとするが、そこには大きな秘密が隠されていてーー 累計15万部突破の大人気「花咲小路」シリーズ第7弾!
不遇の人生を送ってきた男が、偶然盗みに入った場所は「あずかりや」だったー(「金魚」)。上等そうなスーツに身を包んだ紳士が預けたものは、なぜか焼きそばパンでー(「太郎パン」)。ママは、可愛がっていた愛犬を「ある事情」からあずかりやへ預けることにー(「ルイの涙」)。激しく雨の降る夜、女性は10万円という大金で「ある物」を預けたのだがー(「シンデレラ」)。
最後に届けたかったのはーー。 隠された幻の家訓、ある一族の謎めいた掟、読まれるはずのなかった遺言…… さまざまな形で残された<ラスト・メッセージ>とは? 秘められた思いが届くとき、驚きの結末に心揺さぶられる…… 各ジャンルで活躍する実力派女性作家11名による、豪華アンソロジー! 大崎梢/近藤史恵/篠田真由美/柴田よしき/永嶋恵美/新津きよみ/ 福田和代/松尾由美/松村比呂美/光原百合/矢崎存美
<内容紹介> 就職活動がうまくいかず自分を見失っていた大学生の砂羽。 またもや面接で失敗し、落ち込みながら訪れた「ペンフェア」で見つけたのは奇妙な看板だった。 それは、「あなたの人生が変わります 万年筆よろず相談」というもの。 「人生が変わる」という言葉に興味を持った砂羽は、看板のお店「メディコ・ペンナ」を訪れることにした。 店主はぶっきらぼうだが万年筆の補修を任せたら随一で、万年筆の買い付けや修理のためにいろんなお客がやってくる店らしい。そして、それだけではなく、「とある事情」を抱えたお客もやってくるのだとか。 使っているうちにその人の癖が馴染む文具<万年筆>。 そこからにじみ出る使い手の悩みや苦しみを、店主は静かに掬い上げて答えを導いてくれるのだという。 何かに引き寄せられるかのように、砂羽は「メディコ・ペンナ」でアルバイトを始めることにしたのだがーー <著者プロフィール> 1965(昭和40)年、大阪府堺市生れ。大阪芸術大学美術学科卒業。2010(平成22)年、『女騎手』で第30回横溝正史ミステリ大賞の優秀賞を受賞し、デビュー。主な著書に「国際犯罪捜査官・蛭川タニア」シリーズ、『ガールズ空手 セブンティーン』『襷を、君に。』など。『たこ焼きの岸本』が第8回大阪ほんま本大賞を受賞
世の中のすべての悲しみを避けて歩くのも、 なんだか気持ちの悪いことのような気がした。 『いなくなれ、群青』、『昨日星を探した言い訳』の著者が描く、 血の繋がらない家族と名前をめぐる物語。 夫を亡くし、小学生の息子・冬明を一人で育てるシングルマザーの愛。父親の死後、義母の愛と弟の冬明を見守りながらも、家族という関係に違和感を持つ大学生の楓。 「世界の一部を盗む」想像上の怪物・ジャバウォックを怖れ、学校に行きたがらない冬明に二人は寄り添おうとするが、「紫色の絵具がなくなったんだ。ジャバウォックが盗っちゃったんだよ」と冬明が告げた日から、現実が変容していく。 ジャバウォックの真実を知ったとき、あなたもきっと、その怪物を探し始めるーー。 家族とは、常識とは何かを問い直す、壮大でまったく新しい傑作小説。
息苦しい日常から逃げ出した 僕が出会ったのは 亡き父の愛した景色と、君だった。 『流星コーリング』で広島本大賞を受賞した著者による、 自分の居場所を求める若者たちの葛藤と足掻き、その先にある確かな一歩を描いた、 瑞々しい傑作青春小説。 (あらすじ) 何者にもなれていない自分を、恥ずかしがらなくていい。 小さな地方都市で写真館を営んでいた父の影響で、カメラマンを目指すようになった匠海。父の死後、母との関係性が悪くなった匠海は、逃げるように東京の大学へ入学し、写真を学び始める。 しかし、待っていたのは、学費と生活費を稼ぐだけで精一杯の毎日。これを乗り越えれば、きっと夢に近づけるーー。そう信じ込み、なんとか自分を奮い立たせていた匠海だが、ある出来事をきっかけに、大学を休学することに決める。 実家にも帰れず、衝動的に向かった先は長野県・辰野町ーーかつて父が蛍の写真を撮影した場所だった。なんの計画もなく訪れた匠海を出迎えてくれたのは、父が愛した美しい景色。そして、それぞれの事情で辰野に移住してきた人や訳あって辰野を離れられない人との出会いが、彼の心を変えていくーー。
児童養護施設で暮らす花は、夏を迎えて18歳になった。翌春には施設を出るきまりだが、将来のことや遠く離れた母親のことで葛藤を抱えている。母親は花が8歳のとき、ある事件を起こした罪で逮捕・勾留され、そのことが花の心で大きなわだかまりとなっていた。そんなある日、ぬいぐるみを抱えた女の子・晴海が施設にやってくる。複雑な事情を抱えながらも日々を懸命に歩む晴海の姿に、花はかつての自分を重ね合わせていた……。
人ならざるものを見てしまう高校生の美和は、雪の中道に迷い、見知らぬ街に迷い込む。その一角で、割られた窓ガラス越しに、じっとこちらを見ている男がいた。男は死体だった。一方刑事の浩明は、死体発見の報を受け、現場に駆け付ける。被害者の斗南は、数日間体の自由を奪われ、食事も与えられないという残虐な方法で殺されていた。浩明は同僚の絵美とともに斗南の過去を探るのだが、予想外の事実が浮かび上がりー。
あなたがいるから、私は小説を書こうと思います。 ーー著者が、自身に、読者に問い掛ける衝撃の問題作! 全国に熱狂的なファンを持つ、謎に包まれた小説家・ミマサカリオリ。だが、人気シリーズ完結を目前に訃報が告げられた。奇しくもミマサカの作品は厳しい批判にさらされ、さらにはミマサカに心酔していた16歳の少女・純恋が後追い自殺をしてしまう。純恋の自殺は未遂に終わるものの、彼女は「完結編が読めないなら生きていても意味がない」と語った。 やがて、とある山中の廃校に純恋を含む七人の男女が集まった。いずれもミマサカのファンで小説をなぞり廃校で生活することで、未完となった作品の結末を探ろうとしたのだ。だが、そこで絶対に起こるはずのない事件が起きてーー。 著者自身の根源的な問いを内包する、痛切な青春ミステリ! ■著者プロフィール 綾崎 隼(あやさき・しゅん) 1981年新潟県生まれ。2009年、第16回電撃小説大賞<選考委員奨励賞>を受賞し、『蒼空時雨』(メディアワークス文庫)でデビュー。受賞作を含む「花鳥風月」シリーズ、「君と時計」シリーズ(講談社)、『盤上に君はもういない』(KADOKAWA)など著作多数。本作は著者にとって40冊目の刊行となる。
ただ、ただ、彼女たちがたまらなく愛おしい。 こんなにも苛酷なこの世界で、 生きのびてくれて、ありがとう。 ーー中脇初枝氏 「人を依存症にするのは、快楽じゃないよ。 心身の痛みや、それぞれが感じている生きづらさが原因で依存症になっていくの」 アルコール依存症の母親をもつ柳岡千明は、退院後の母親が入所する施設「セゾン・サンカンシオン」へ見学に行く。そこは、様々な依存症に苦しむ女性たちが共同生活を行いながら、回復に向けて歩んでいくための場所だった。迷惑を掛けられてきた母親に嫌悪感を抱く千明だが、施設で同じくアルコール依存症を患っているパピコとの出会いから、母親との関係を見つめなおしていくーー。 人間の孤独と再生にやさしく寄り添う感動作!
「私は事件には一切関係していません。真犯人は、別にいます」そう言い残して絞首台を登っていった男。時はめぐり、小学生が学校の屋上から落ちて亡くなるという事故が発生する。いじめによる自殺を疑って取材を進めていたテレビ局社会部の女性記者は、少年の母親が、冤罪が疑われる事件の加害者として極刑となった男の娘だと知る。果たして二つの事件と事故に関連はあるのか!?警察権力との暗闘の果てに、女性記者がたどりついた驚愕の真実とは…。
「あいつはな、誰よりも悠然と歩くんや」時代の大きな曲がり角となった70年代の京都に「河原町のジュリー」と呼ばれる有名なホームレスがいた。無数の視線に晒されてもいつも目抜き通りの真ん中を歩き、商店街の一等地で眠る男。ガラス玉のような目で空を見上げる彼は、いったい何者なのか。なぜこの街にやってきたのか。交番に赴任したばかりの新人巡査・木戸が最初にその名を聞いたのは、ひったくりにあったと交番に駆け込んできた女性からだった。彼女は自分のネックレスを「河原町のジュリー」がひったくっていったと言うのだがーー。京都国体の開催を機に、街から「異物」が排除されようとしていく中で、彼の伝説は生きていた。かつてこの街で彼と人生を交錯させた人々は、やがてその「真相」を知る。人間の自由と尊厳を昭和の時代と令和の現代に浮かび上がらせ、人が「物語る」ことの意味を問うた感動作。 目 次 プロローグ 第一話 花の首飾り 第二話 坂の向こう 第三話 夜の猫たち 第四話 鳥の名前 第五話 熱い胸さわぎ 第六話 ジュリーと百恵 第七話 黒と白の季節 第八話 四十年後 第九話 真珠貝 第十話 再会 エピローグ あとがき
独身の阿紗は、ひょんなことから、隣に住む謎の老婆・八重の部屋の片づけを手伝うことになる。 過去の経験から得た掃除テクニックを八重に教えながら片づけを進める中で、明らかになる八重の過去。そして阿紗も、母子家庭で荒れ果てた部屋に閉じ込められていた幼少期の記憶が蘇ってきてーー。 人生で背負いこんだ荷物と厄介ごと。一つ一つ片をつける中で、八重と阿紗が選んだ道とは。切なくも心温まる感動傑作。
突然会社の倒産を告げられ、いきなり無職になってしまったデザイナーの遠山健一。安定した転職先を求めたはずが、飛び込んだ職場はコピーライター・天津功明の個人事務所ーまさかのフリーランスだった。「じゃあまずは、フリーでばんばん仕事してさ、そのうち法人化も考えていこうよ。晴れて法人化したら、Youは“遠山副社長”ってことで」「えええ?」変わり者の天津とコンビを組む事になった健一。そしてやってきた仕事は、大企業とカタログのデザインをかけた“出来レース”のコンペで…!?不安を勇気に変える、爽快お仕事エンタメ。
ランチの煮魚を食べながら、その作り方を科学的に検証してしまうほどの理系大学生・涼太。ちょっと変わり者と言われる彼が出会ったのは、あまりに美しい「和菓子」だった。その「美味しさ」にも魅せられてしまい、すっかり和菓子の世界の虜に。勢いのあまり大学院に進まずに和菓子職人になることを決意し、製菓専門学校に入学してしまった。個性豊かな学生たちとともに和菓子作りに精を出すが、和菓子はとにかく答えがない。なんとか自分の和菓子を作ろうと苦心するも、全てを1か0かで考えてしまう理系的思考が、数値だけでは測りにくい和菓子作りの邪魔をしてー。
<内容紹介> 二階建てのレトロな洋館に、ステンドグラスの嵌め込まれた観音開きの扉。ドアの両側には二つずつ背の高い格子窓。そこから見える満月のような照明と、おいしそうな香りが漂ってきたら間違いなし。そこが「うしろむき夕食店」だ。 “うしろむき”なんて名前だけど、出てくる料理とお酒は絶品揃い。きりりと白髪をまとめた女将の志満さんと、不幸体質の希乃香さんが元気に迎えてくれる。 お店の名物は「料理おみくじ」。 今宵の食事も人生も。いろいろ迷ってしまうお客さんに、意外な出会いを与えてくれると評判だがーー。 プロフィール 冬森灯(ふゆもり・とも) 第1回おいしい文学賞にて最終候補。『縁結びカツサンド』にてデビュー。
結婚を控えた地下鉄の運転士、酔って駅のホームに立つDV男、仕事を辞め恋人も失った無職の若者……狙いをつけた人間の行動に絶妙なタイミングで介入し、運命の調整をはかる天使と悪魔。関りがないように見えていた登場人物たちを背後で接近させ、より合わせ、人間たちが気づいていないもうひとつのドラマを浮かび上がらせていくーー。怖いのにちょっと笑ってしまう運命の舞台裏、天使と悪魔がつむぐ「ふつうの人たち」の物語。 「うまいことを言ってるが、君は悪魔なんだろう?」 望まぬ未来を告げられた人間は驚き、ささやかな抵抗を試みるが、運命からは逃れられない。彼は数秒後に死ぬ。だが、ちょっとした余地がないわけではない。結果には幅があり、その余地をついて仕事をするのが天使と悪魔だ。誰かが左に踏み出そうとする足を右へちょっとずらす、それくらいのことをする。狙いをさだめ、タイミングさえ間違えなければ、それなりに効果がある。かといって天使も悪魔もさほど華々しくはない。天使はフリーターと区別がつかないこともあるし、悪魔だって時々しくじる。 この物語にはいろんな人物が登場する。みんな明日があると思って生きているが、天使や悪魔から見ればそうではない。運命の岐路に立っているとも知らず、彼らが次の一歩を歩みだすとき、天使と悪魔は現場に急行するのだ。 独立した読み心地をそなえる10話からなるこの小説は、進むにつれ、遠くにいた人間が近づき、裏が表になって、物語は新たな相貌をあらわす。なぜなら、これは天使と悪魔がつむぐ物語だから。日常なのに異界、温かいのに容赦ない。2019年本屋大賞2位のベストセラー『ひと』とはまた違った味わい、小野寺史宜の新たな傑作エンタテインメント小説。 目次 レイトショーのケイト・ショウ 天使と一宮定男 悪魔と園田深 今宵守宮くんと カフェ霜鳥 ほよん LOOKER おれ、降臨 宇宙人来訪 中津巧の余生
大阪の北部に位置する蛍石市にある老舗遊園地「ほたるいしマジカルランド」。「うちはテーマパークではなく遊園地」と言い切る名物社長を筆頭に、たくさんの人々が働いている。アトラクションやインフォメーションの担当者、清掃スタッフ、花や植物の管理……。お客様に笑顔になってもらうため、従業員は日々奮闘中。自分たちの悩みを裡に押し隠しながら……。そんなある日社長が入院したという知らせが入り、従業員に動揺が走る。
慢性的な人数不足に悩む離島・大島の渚台高校陸上部に、奇跡的に男子4人のスプリンターが揃った。インターハイ予選を目前に控え、100×4リレー(四継)に挑むことになるが、メンバーの人間関係はサイアク……。 天才的な兄の存在から屈折してリレーをやりたがらない1走、自信がなくスランプを抱えたエースの2走、強豪校から逃げてきた転校生の3走、リレーへの思い入れが強いばかりに保守的で頭でっかちな部長の4走アンカー。 はじめはリレーで重要なバトンの繋ぎもまったくうまくいかなかった4人だが、お互いが本音でぶつかり合ううちに、しだいにチームに変化がーー。 4人のバトンが繋がるとき、感動に胸が熱くなる。最高の青春スポーツ小説!