出版社 : 中央公論新社
竜の被害に悩む隣国の要請を受け、伝統ある竜退治の騎士がグラールを発った。あかがね色の髪の乙女フィリエルは騎士を守ろうと心に誓い、ひそかに後を追う。しかし胸の奥には消えた幼なじみルーンへの想いが秘められていた。-母国のはるかに南の土地で、竜騎士団とフィリエルが出会ったものとは!?長篇ファンタジー、南方冒険篇。
ひとり旅で訪れたベトナムで、私は恋に落ちた。この男と寝たい、という狂おしい思いを恋と呼ぶならば。サイゴン川のほとりで、ホテルの部屋で、互いを求め合う淋しい男女の物語。選考委員の圧倒的な支持を得て、第二回婦人公論文芸賞を受賞した話題の意欲作。
フェズ河以北の一帯、カムセンの地がデルフィニア領となって半年。タンガの元領主らがゾラタス王の制止すら振り切り、失地回復を叫んで挙兵した。早期鎮圧を目指し最前線で大剣を揮う戦女神リィに、再びファロットは暗殺の魔手を伸ばすのだった。
幼なじみルーンと自分の身を守るため、フィリエルは女王候補アデイルと共に王宮へ上がる。光り輝く宮殿に渦巻くのは、派閥のかけひき、冷酷な謀りごと。持ち前の勇気と伯爵家の協力で、フィリエルは王宮の光あたる場所を得ようと奮闘するが、ルーンは彼女に背を向けて闇へと姿を消してしまうー胸躍る長篇ファンタジー、波乱の第3巻。
長期の薬物中毒治療から戻った北見貴秋は、幼馴染みの作家・今川出流が謎の死を遂げたことを知る。「業火」と題された遺作は何を物語るのか。ドラッグによって失われた記憶の中、真実を探す心の旅がはじまる。哀切の書き下ろし長篇サスペンス。
獅子の紋章で封じた招待状を受け、各国の使者達が大陸全土からコーラルに集う。白亜の城では盛大な和平式典が催されるが、その陰でタンガ・パラスト両大国は飽くことなき権力への執念を燃やしていた。偽りの宴と知りつつ、デルフィニアの国王夫妻は敢然と顔を上げ、互いの手を取り広間へと踏みだした。
かつて忽然と消息を絶った旅客機が、今、還ってきた。しかし68名の乗員乗客にとって、時計の針は10年前を指したまま。歳月を超えて実現した奇跡の再会、そして旅立ちの物語。
生きる意味を見いだせない僕が選んだ“意志のない旅”。迷いこんだ国で待ちうけていたものは-パワフルでナイーヴ、スリリングでセンチメンタル。息をもつがせぬ冒険と哲学の物語。アカデミー賞受賞映画『グラディエーター』の脚本家が贈る、新しい時代の青春小説。
幼なじみのルーンの安全を守るため、フィリエルは、伯爵と女王候補アデイルに力を貸すことを約束。貴族の娘としてふるまうのに必要な教育を受けるべく、修道院附属学校に入学する。しかし平和に見えた学園は、乙女たちの陰謀が渦巻く場所。フィリエルは初日から生徒会の手荒い歓迎を受けることに…。胸躍る長篇ファンタジー第二巻。
会津藩滅亡に立ち会い、亡国の遺臣となった男は、逆風の時代をどう生きたのか。会津藩士・秋月悌次郎。そのサムライを、ラフカディオ・ハーンは「神のような人」と評した。朝敵となった会津のため、悌次郎は奔走する…。誠実に生きた文官の物語、完結。
あの夏の日、少女たちは川のほとりにある「船着場のある家」で合宿を始めた。夏の終わりの演劇祭に向けて、舞台背景の絵を仕上げるために。それは、楽しく充実した高校生活の最高の思い出になるはずだった。ひとりの美しい少年の言葉が、この世界のすべてを灰色に変えるまでは…。そして、運命の歯車は回り始めた。あの遠い夏の日と同じように-。運命の岸辺に佇む少女たちの物語。
君を想えば、別れすら愛しくなる。痛みと哀しみが去りゆくとき、永遠に消せないぬくもりが胸に灯る。『パイロットフィッシュ』『孤独か、それに等しいもの』の作者が贈る、“別れとはじまり”を描いた待望の恋愛小説集。
舞踏会の日に渡された、亡き母の首飾り。その青い宝石は少女を女王の後継争いのまっただ中へと放り込む。自分の出生の謎に戸惑いながら父の待つ荒野の天文台に戻った彼女を、さらなる衝撃が襲う。-突然の変転にもくじけず自分の力で未来を切りひらく少女フィリエルの冒険がはじまった。胸躍る長篇ファンタジー、堂々開幕。