出版社 : 中央公論新社
話があるんですー父の葬儀の翌日、一人の若者が訪ねてきた。新潟県警鬼の一課長と呼ばれた父にとって唯一の未解決案件を再捜査しろというのだ。奇しくも時効は葬儀の当日であった。遺品の備忘録に綴られる捜査への飽くなき執念、不審な元同僚、犯人と名指しされた男、そして謎の記号ー父が遺した事件を追って雪の新潟を鳴沢、疾る。
再会を誓い、ルーンは世界の果ての壁を目指して南へ、フィリエルは北極の塔へ。吟遊詩人に導かれ、それぞれの危険すぎる旅がはじまったー「氷の都」で彼らを待ち受けるのは、「真昼の星」を目とする賢者。女王の血を引く少女の勇気が、今、世界を変える!傑作長篇ファンタジー、ついに完結。
稀にみる醜い容姿のエピファーヌは、聖女のように優しく美しい女優エテルと知り合い、恋に落ちる。「引き立て役モデル」として世界的スターになった彼の心を、エテルの告白が刺し貫いた。「私、恋をしているの。あなたの知らない人よ」文学史上最醜の男は、運命の美女に愛されるのか。
奥州糠部の地でのびのびと育った馬の巧みな十六歳の少女相馬由衣は、従弟の八郎丸が元服するのに付き添い、平泉に赴く。しかし平泉は衣川館で義経が誅殺されたという報に震撼していた。由衣らが人目を避けて飛び帰った村も、義経を襲った藤原泰衡勢に焼き討ちにあい、身内は無惨にも息絶えていた。この混乱の中で由衣は伯父から八郎丸が義経の落胤である事実を聞かされるが、頼朝の奥州征討軍に平泉は炎上、頼朝の軍勢に抵抗した由衣は運命の大渦に翻弄されていく。
放浪の戦士と異世界の少女の出逢いーすべてはここから始まった。盟約という固い絆で結ばれた二人は、いくたの危地を乗り越え、あまたの戦に勝ち抜いて、戦士は大国の王に、少女は王と国の守護神となった。獅子王と妃将軍が紡ぐデルフィニアの伝説が、ここに完結する。
もうすぐ八歳になる少女フィリエルの「家族」は、天文台に住む父親のディー博士と、お隣りのホーリー夫妻。住民四人のセラフィールドに、ある日おかしな子どもがやってきた。自分の殻に閉じこもり数列を唱え続ける少年ルーン。とまどいながらも徐々に心を通わせていく二人…運命の出逢いを描く、四つの季節の物語。
リィを次期タンガ国王ナジェックの妻となすー勝利の女神を辱め、戦意を削がんとするゾラタスの卑劣な策謀。ウォルは国王という枷を従弟に押しつけ、国境に向け馬を駆る。随伴するは二騎。リィの異世界での相棒ルウと人間として生きることを決めたシェラ。ここに、最後の戦いが始まろうとしていた。
「世界の果ての壁」の謎を追うルーンとフィリエル、ユニコーンを駆り竜退治に赴くユーシス。彼らが辿り着いた南の地には、東の帝国の侵略軍がーグラールの危機に、フィリエルは女王と対峙するため聖神殿へ乗り込む。賢者とは?吟遊詩人とは?わらべ歌や童話に隠された「世界」の秘密がついに明かされる。
生きて戻れーリィの言葉に送られて、ファロット一族との血塗られた関係を清算すべく、シェラは北を目指す。一方、別行動を取ったリィは、タンガが仕掛けた罠により、騎士団員千人の命と交換に虜囚となった。意識を奪われた戦女神に必殺の針を手にしたレティシアが迫るー。
掏摸や詐欺師を追うなんて俺の仕事じゃないと思ってきた。だが奴等は老人のささやかな欲望と不安につけ込み金を奪うだけじゃない。被害者の生活も家庭も壊していく。この事件、仕掛け人を捕まえなければ意味がない。被害者が加害者でもあるマルチ商法の捜査は困難を極めた。そして、事件の背後にNYの中国系マフィアの存在が浮かび上がるー。
敵の首級を洗い清める美女の様子にみせられた少年。それは、武勇と残虐な行状とで世にきこえた武州公の幼き日の姿であり、その心の奥底には「被虐性的変態性慾」の妄想と恐るべき奸計の萌芽がー。戦国時代に題材をとり、奔放な着想をもりこんで描かれた伝奇ロマン。雑誌『新青年』連載時に掲載された木村荘八の挿画を完全収載。