出版社 : 光文社
フリーライター・笹村克哉のもとに、義理の姉と名乗る女がやってきた。笹村は北関東の奥地に佇む「六つ首村」の名家・白兼家の後継者候補であり、30年前の連続殺人事件を生き延びた張本人だという。村を訪れた笹村は白兼家の秘密を探りはじめ、並行して恐るべき殺人計画が進行する。連続殺人事件の再現ドラマをめぐって、さまざまな人間たちの思惑が絡み合いーー。奇才・折原一が横溝正史に捧ぐ、渾身のダーク・サスペンス。
8人もの男性を性行為ののちに殺した浅井美奈。その特異性はロープと手斧を使用した極めて残虐な殺害方法にも顕著だった。壮絶な逮捕劇の果てに身柄を拘束され、そして2020年、世間を震撼させた彼女の死刑が執行される。将来を嘱望される水泳選手だった浅井はなぜ凶行に至ったのか。過去の深淵を窺くほどに浮かび上がるのは、凄絶な怨嗟の叫びだった。話題作『号泣』の著者が描く、数奇な運命に翻弄された者の慟哭のサスペンス。
大学生 YouTuber の「俺」。再生回数を稼ぐため、知り合いの配信者が消息を絶った曰くつきの廃墟に向かい、予想だにしない恐怖に直面する(「廃墟で○○してみた」)。不倫相手から情事をキャンセルされ、やむなく帰宅した男は、何者かに殺された妻の遺体を発見する。現場にいたのは息子だけで......(「目撃者」)。踏み込んだら戻れないホラー&ミステリ6編収録。織守きょうやのダークサイドが渦巻く、禍々しい短編集。
小型核爆弾による世界同時多発テロ《ヴァージン・スーサイズ》から27年。 平凡なサラリーマン・堤下与太郎は、突如世界の命運を託される。 与太郎だけがプレイできる格闘ゲーム《アトミック・ブレイバー5》の海賊版に、 世界を揺るがすシステムに関わる鍵があるというーー
小学三年生のあきらは最近学校に行くのが憂鬱だし恥ずかしい。お母さんが登下校時の通学路で児童の安全を見届ける「見守り隊」隊長になり張り切っているからだ。しかしある朝、お母さんの目の前で同級生が自転車に轢かれ……。自分の気持ちをうまく言葉に出来ずあがく子供たち。そんな彼らの姿は思わず抱きしめたくなること必至。要注目作家・真下みことの傑作感涙小説、誕生。
座敷童、河童、雪女、鬼、神隠しーー誰もが知る伝承にまつわる五つの怪異譚。 それは、常識を遥かに超えた、おぞましい現実だった。一度でもそれに関わってしまったが最後、決して逃れることはできない。 本書で語られる体験談は、あなたを民俗伝承の底知れぬ闇へと引きずり込む。 知ってはいけない、見てはいけない。だが、もう読む前のあなたには戻れないーー。 伝承は警告する。決して深入りしてはならない領域があると。
長年ひきこもっていた19歳の僚太と44歳の大知。双方の家族が縋ったのは、新宿にある自立支援センター。 強引に自宅から引き出された二人は、ほかの三人とともに、元警察官が営む熊本の研修施設で囚人のような生活を強いられる。 施設長は巨体の大女だ。悪魔のような彼女に監視され、辛い日々が続く中、監獄のような扱いに抗い五人は施設長を殺めてしまう。 必死にもがき、社会に怯えるように生きてきた彼らの終わりが始まるーー。
糞ったれな世界に、刃をーー。戦国時代。戦に敗れ捕らえられた少年武士・真鍋八弥。南蛮商人に売られ海を渡り、奴隷兵士となった彼は、世界中から富を吸い上げ繁栄を謳歌するイスパニア(スペイン)海軍の一員として各地を転戦し名を上げていく。しかし、彼が植民地で目にしたのは、残酷で無慈悲な現実だった。 苛烈なる流転。若きサムライの苦悩と激情を描く、滾る歴史冒険譚、爆誕!
労働を禁止する。生活は保障する。誰も、取りこぼさないために。 HIPS。それは、経済が停滞した日本に生まれた、前代未聞の扶助団体。すべての会員を監視下に置き、経済活動と財産の所有を禁止するかわり、健康で文化的な最低限度の生活を保障するというHIPSは、あらゆる会則をAIに委ねている。人々を惑わせるHIPSの周囲では、数々の不穏な事件が巻き起こる。完璧に見えるAIの管理。待つのは成功か、それとも破滅かーー。
横浜のアパートに住む鈴原咲玖良と娘の女子高生・優璃が、同じアパートの住人・緑川に襲われ、母親は死亡、娘も負傷した。すぐ逮捕された緑川は死刑になりたかった、と動機を供述。ニュースサイト記者・千弦は、犯人の供述に疑問を抱き、優璃と共に事件を取材する。不審な行動をとる緑川の弁護人や思惑を秘めた関係者の証言に振り廻される千弦たち。犠牲者が犠牲者を生んでゆく! SNSの闇を抉る傑作長編ミステリー。
30年前の国民的刑事ドラマ『左右田警部補』。最終回目前に、主演俳優・雪宗衛が妻殺しの容疑で逮捕され、打ち切りとなる。「日本で最も有名な刑事」の逮捕劇に日本中が熱狂する中、雪宗は緊急記者会見を開き、役柄さながらに真犯人の正体を暴く“推理”を披露する。雪宗は無罪を勝ち取るも、世間の目は厳しく疑惑は完全には晴れなかった。時を経て、同様の手口の殺人が確認された今、関係者の時間が再び動き出す──。
夫も仕事も失い、生きる気力をなくした美紀。最後の旅のつもりで訪れた鎌倉の片隅で、台湾茶カフェ「鎌倉茶藝館」を見つけ、魅入られ、働き始める。お茶や着物、古都の穏やかな日常に触れ、明るさを取り戻す美紀。そんな彼女に、年齢も性格も違う二人の男性が好意を持ち始めた。 今の私に必要なのは、安らぎ? それとも、灼けるような想い? --苦みを知るから、決められない。 名手が描く、大人の恋。
不浄な首斬人と蔑まれる生業を祖父、父から継いだ別所龍玄は、まだ若侍ながら恐ろしい使い手。親子三代のなかで一番の腕利きとなった彼は、武士が切腹するときの介添え役を依頼されるようになる。金貸し業で別所家を守ってきた母、静江、五つ年上の妻、百合子と幼子の娘、杏子。厳かに命と向き合い、慈愛に満ちた日々を家族と過ごす、若き介錯人の矜持。生と死のはざまで凛とした世界が大絶賛された「別所龍玄」シリーズ最新刊。
噂の犯罪者御用達ホテル、それがアミュレット・ホテルだ。2つのルールさえ守れば、どんな違法なサービスも受けられるし、警察の介入も一切ない。しかし、そのルールが破られたときはホテル探偵が犯人を追い詰める! ホテルの部屋で生配信中に殺されたShinTuber、バーの落とし物を巡る奪い合い、バトル・ロワイヤルが開催される殺し屋コンペ、爆弾魔ボマーとの対決…前作より大きくスケールアップしたエンタメ度MAX本格ミステリ。
金沢のひがし茶屋街で人気を誇った芸妓・なつ江が殺された。事件現場近くで目撃された水引細工店の女性や被害者と仲のよかった老舗料亭の料理人、贔屓にしていた和菓子店の店主、老人施設の経営者……聞き込みを続ける金沢東署の小豆沢玲子は、誰もが抱える家族や後継者の問題、悩みにも寄り添いつつ、徐々に事件の核心に近づいていく。
2025年7月、エリック・サティの没後100年を迎える。21世紀によみがえる古今並ぶ者なき偉大なる作曲家の代表曲を冠した、全十九景の現実的幻想劇。『船に乗れ!』『世界でいちばん美しい』など、音楽小説に定評のある作家が綴る、エリック・サティへのレクイエム&オマージュ作品がここに誕生。各篇にサティの曲名を付した短編を織り重ねた連作。 今が不安なあなたに贈る、シュールで奇想天外、ちょっとお洒落なストーリー。
高校時代からの友人4人組。卒業後、10年経った今もつるんでバカをする仲間だが、彼らが秘密裡にハマっているのが〈リゼル13〉という未知のドラッグだった。その後、販売にも手を出してしまう4人。国分町を牛耳るヤクザに目をつけられた彼らは、次第にアウトローの世界に引きずり込まれていく。非情なヤクザと非情になれない素人たち、その対立は予想もしない展開に……。〈リゼル13〉に翻弄される男たちの末路を描く仙台ノワール。
ドラマ「相棒」などの脚本家としても活躍し、『未明の砦』で大藪春彦賞を受賞。骨太の社会派サスペンスの書き手として独自の存在感を発揮する太田愛のもう一つの顔。日本推理作家協会賞候補となった「夏を刈る」、半自伝的小説「給水塔」を含む待望の第一短編集。