出版社 : 光文社
三重県の四日市で江戸時代から続く老舗造り酒屋・加賀屋酒造の創業者一家に、殺人事件が起こった。生首が酒蔵で見つかり、胴体は屋敷で布団に寝かされていたという。加屋賀酒造には、門外不出の酒米・間歩守とその米を材料にした地域を代表する銘酒・間歩錦がある。繁盛を妬んだ同業者の仕業なのか?一方で、この酒造には奇妙な言い伝えがあった。創業者は妖怪・抜け首の血を引く一族だというのだ。酒造を訪れていた人形師・巽藤子は、頼まれもしないのに事件に首を突っ込む。まるで、因果の歪みに魅せられているように。欲望と因習、秘められた悪事と捻れた殺意。謎が謎を呼ぶ長編ミステリ!
塞がれた窓、防音壁、追加錠…監禁目的の改築が施された民家で男性死体が発見された。警視庁捜査一課殺人班十一係主任、姫川玲子が特捜に入るも、現場は証拠が隠滅されていて糸口はない。犯人はなんの目的で死体を放置したのか?玲子の天性の勘と閃き、そして久江の心に寄り添う聞き込みで捜査が進展すると、思いもよらない人物が浮かび上がってきてー誉田ワールド、もう一人の重要人物・魚住久江が合流し、姫川班が鮮烈な進化を遂げるシリーズ第10作!
資格なし。学歴なし。得意なのは食べることと笑うこと。アンちゃんが選ぶ未来は…?「みつ屋」以外にも目が届くようになってきた今日このごろ。別れと出会いと「なんで?」を乗り越えて、アンちゃんも新しい扉を開きます。東京デパートの食品売り場から、たくさんのはじめての場所へ…。甘酸っぱい謎と和菓子の世界が、あなたをお待ちしています。
ひりつく男と男。ニヒルな同心・木暮信次郎×元刺客の商人・遠野屋清之介。尋常ならざる者たちの本性に迫る。『遠野屋』を次々と襲う不穏な動き、血の臭い、底なしの闇。炙り出される真実とは?
悪質なプロ経営者に潰された父の仇を討つ。彼らが再び暗躍を始めたことを知った投資ファンド女性副社長・樋熊令は、信頼する仲間と共に、世界経済のトレンドと矛盾を利用した一世一代の経済ゲリラ戦を仕掛ける。リンクし膨張を続ける各国のマーケットで、何が起こるのか?
本を焼くのが最上の娯楽であるように、人を焼くことも至上の愉悦であった。その国では、物語を語る者が「本」と呼ばれる。一冊につき、一つの物語。ところが稀に同じ本に異同が生じる。そこで開かれるのが市井の人々の娯楽、「版重ね」だった。どちらかの「誤植」を見つけるために各々の正当性をぶつけ合う本と本。互いに目を血走らせるほど必死なのはなぜか。誤植と断じられた者は「焚書」、すなわち業火に焼べられ骨しか残らないからである。(表題作) 他「痛妃婚姻譚」「金魚姫の物語」「本は背骨が最初に形成る」など7編収録。
紀州の山間の小さな町に紅滝という美しい滝がある。その滝には運命の恋と信じた相手に裏切られた姫の、哀しい伝説が残されていた。だが、伝説が語らない恋の歴史があった。それは逃れることのできないさだめの螺旋。現代から過去ー大正、江戸、安土桃山、そして南北朝へと逆巻きに、二人は出会いを繰り返す。恋に呪いをかけた二人の誓いとは。紅滝に奇跡は起きるのか。
大友宗麟の家臣で西国最強の将、戸次道雪のひとり娘、立花ギン千代は、幼い頃から男勝りで武芸に秀でていた。父の跡を継いで女城主となり、目指すは最強の女武将だったが、幼馴染の高橋紹運の嫡男、統虎に懇願され、妻として生きる覚悟を決める。だが、立花家を継いだ統虎とは子を生さぬゆえ、不仲がささやかれていた。実は統虎は、愛しても無駄だと知りながら、それでも妻をひたむきに愛し、ギン千代も必死にそれに応えようとしたのだー。自分が女であることに揺らぐ、西国一強く美しい女城主の生涯を描く、歴史小説の新境地。
ホラー作家・最東対地は、大阪の夜凪を舞台にしたホラー小説を書こうとしていた。夜凪とは大阪の五つある色街のこと。編集者とともに取材に訪れた夜凪のひとつ、椿夜凪で最東は梅丸という遊女の噂を耳にする。梅丸はなぜか複数の夜凪に出没する美貌の女で、血なまぐさい噂がつきまとう。これは小説の素材になりそうだ…。最東は梅丸の謎と夜凪に潜む怪談を集めはじめる。だが、梅丸の話を新たに収集するたびに、不思議な感慨を覚えるのだった。自分は彼女と会ったことがあるのではないかー。怪異に蝕まれていく。作家が。物語が。現実が。気鋭のホラー作家が全存在を賭して描いた、虚実錯乱の恐怖小説最終形態。
すべてが反転した“あべこべ”の密室。雨中、全裸で庭に放置された被害者。森に佇む悠久の殺人現場。-シリーズ史上最高の論理的推理で、南美希風が奇跡の不可能犯罪に挑む!心臓移植経験者である南美希風は、その移植手術を執刀した恩人の娘であるエリザベス・キッドリッジの長期休暇に合わせて日本中を旅していた。行く先々で不可能犯罪に巻き込まれる二人だったが、奈良の芸術大学で起こった密室殺人、そして紀伊半島の“スペイン岬”で出合った過去の未解決事件とリアルタイムで進行する奇禍の数々を経て、ついに旅ヘ終焉を迎える。美希風の胸中に去来する様々な葛藤…狡猾な企みと神の悪戯で作られた奇跡の犯罪が解き明かされる時、鮮やかな論理は自らの宿命を打ち破る。
不妊治療クリニックで胚培養士として働く長谷川幸。子供の頃から虫メガネにはまり、小さな世界、そこに息づく命に魅了されてきた。受精卵と向き合い、命の誕生を願うこの仕事を天職だと思っているが、実は幸自身も出生に秘密を抱えていてー。報われない挑戦、人生の選択、それぞれの幸せ。生殖医療にかかわる人間たちの葛藤と希望を描く書下ろし長編。
刑務所に一般市民を招くオープンデイ。盛況に沸く中、元受刑者の首吊り死体が発見され、会場は瞬く間に騒然となった。路頭に迷っての自殺を有力視する刑務官たち。しかし、現場に居合わせた警視庁の花房らは疑問を抱く。死んだのは弱者を食い物にしてきた男なのだ。自ら命を絶つとは考えにくい。捜査陣の介入に刑務官たちは頑なな拒絶を貫こうとする。彼らは何を守ろうとしているのかー?花房の目は事件の綻びを見逃さない。正統派倒叙ミステリーの精華!
この世は地獄だ。だが、このマンションで未来を変えてやる。老朽化により修繕不能となったタワーマンション、通称・トウキョウマンション。かつての高級マンションも、資産価値が大暴落を続け、空室も目立ち始める。その果てに不法滞在の外国人や犯罪者など、いわくつきの人間が住みついて“治外法権”と化した。日本の暴力団や中国マフィア、警察をも巻き込んだ不可解な事件が連続する中、懸命に秩序を守ろうとする管理人たち。その真の目的とは?貧困、格差、暴力から身を守るために、この物語がミニマルな新しい秩序を創り出す。
幼い頃に母を亡くし、父が再婚した継母とうまくいかず不登校になった岸本聡里。愛犬だけが心の支えだった聡里は、祖母に引き取られペットたちと暮らすうち、獣医師を志すように。北農大学獣医学類に入学すると、慣れない寮生活が始まった。面倒見のよい先輩、気難しいルームメイト、志をともにする同級生らに囲まれ、学業や動物病院でのアルバイトに奮闘する日々。伴侶動物の専門医を目指していた聡里だが、馬や牛など経済動物の医師のあり方を目の当たりにし、「生きること」について考えさせられることにー北海道の地で、自らの人生を変えてゆく少女の姿を描いた感動作!
失ったものと手に入らなかったものについて、お話しします。クラスメイトの稚拙な行動の理由。パリに降り立った彼女の秘めた思い。忘れ得ぬ在りし日の祖母の姿。他人のものばかり欲しがるあの子。いるはずのない住人の気配。甘やかに秘密を分かち合う二人の女。宿命的な死に蝕まれた村。妻と別れた男に訪れた非日常。言い訳はいらない。もう、とりつくろえない。隠された真実に気づかせてくれる珠玉の作品集。
そのホテルは犯罪者たちの楽園。守るルールは2つだけ。一、ホテルに損害を与えない。二、ホテルの敷地内で傷害・殺人事件を起こさない。ルールを破ったらホテル探偵が必ずあなたを追い詰めます。