出版社 : 光文社
MM重工研究開発2課に所属し、人工知能ロボットの開発を手がける末永拓也は、将来を嘱望され、オーナーの末娘、仁科星子の婿養子候補に挙げられていた。だが、その陰では恋人、雨宮康子の妊娠に困惑していた。そんな矢先、拓也は同僚の橋本と共に、星子の腹違いの兄、直樹から、康子にたいする共同殺人計画を打ち明けられる。康子はこの三人と同時に関係を持っていたのだった。大阪ー名古屋ー東京を結ぶ完全犯罪殺人リレーは、計画どおり進行していったが…衝撃!死体は何と…。さらに、第二の殺人、拓也も何者かに狙われる。乱歩賞作家の偉才が、新手法“倒叙推理”に挑戦。主人公の屈折した心理を描いた堂々の書下ろし長編推理の傑作。
東大医学部のうす暗い標本室に並ぶ、首もなく、手足もなく、刺青をした胴体だけの塑像。不気味な色彩で浮かびあがる妖術師「大蛇丸」。この一枚の人皮から、醜くも、恐ろしい惨劇が始まった。密室殺人と、怪しく耽美な世界に挑む、名探偵・神津恭介。戦後、本格推理小説の礎となった、高木彬光の処女長編、ここに登場。
武道家たちが北海道を目指した明治の末期。宗方恭平もそのひとり。柔・剣術では食えない。名目は北海道開拓だが、目的は武芸を磨くこと。試合に継ぐ試合。鷹同士の死闘は勝っても復讐を招く。恭平は択捉に渡り、お竜の愛に戸惑った。芸か愛か。まだ驚異の護身術“合気道”の会得に気付かない彼が、乱世の覇道を模索する。
秀吉、家康にも一目おかれるほどの稀代の軍師・黒田官兵衛(如水)、そして武功輝くその子長政。豊家ゆかりの大名に対する幕府の圧力をみごとにかわし、黒田藩五十二万石の礎を固めた、父子二代の活躍。
ー米大統領アンダーウッドはTVの元ニュースアンカーマン。ファーストレディは元ミス・アメリカ。一見、夢のようなカップルだが、私生活は冷えきっていた。そこへアジアの島国ランパンから若く美しい未亡人大統領が経済援助を求めて訪米。初対面でアクダーウッドは彼女に一目ぼれした。だが、それをマスコミに嗅ぎつけられ…。-大統領同士のラブロマンスと国際的な謀略。小説の名手がホワイトハウスの内幕を描いた痛快ノベル。
学生バンド『三角関数』が出演した学園祭の舞台で、信じ難し惨劇が発生!演奏中に行なわれた“寸劇”の最中、突然首吊り用の鎖が切れ、西条が死亡。さらにその直後、小佐井も毒殺されてしまった。しかも、切断した鎖の輪が忽然と消失、小佐井には服毒した形跡がみられない。音楽部部長の霧村助教授は、残りのバンドメンバー丹治亮一、黒田ユリらと真相を追及。はたして二人を殺害したのは、同一犯人なのか、それとも?巧妙に仕掛けられた犯行に霧村の推理は?息を呑むドンデン返しと、最先端の医療科学を駆使した強烈なトリツク!著者会心の本格推理堂々の登場。
参院選の大敗で、国民自由党は美人ゴルファー川井奈尾子をマドンナ候補にすえた。ところが、彼女は失踪!孔雀警視・笙子は特命をうけ、奈尾子になりすまして逃避行を開始した。-逃げる孔雀、襲いかかる怪しい一群!道連れが、美形、ハイセンス、頭脳明晰とあって、またも笙子の体がうずく。痛快シリーズ第15弾。
関東芸術スタジオは、新春映画に「東海道中膝栗毛」の製作を発表した。弥次・喜多に人気漫才コンビ、ラッキー千歩・万歩、2人の女房と愛人役に美人女優を起用、スタッフ総勢10人で浜名湖にロケハンに出た。初日の朝に、弥次の女房役の室町花江の変死体が発見された。そして、第二の殺人が!好評ロケハン・シリーズ第3弾。
美容師の笹田真知子は、友人宅でレイプされた。“赤い闇の未亡人”こと赤垣美晴と相談した真知子は、女性だけでつくる「レイプと闘う女の会」に駆け込む。ところが、真知子をレイプした男が殺され、ほかの強姦魔たちも次々と、何者かに殺されていく…。事件を追って美晴は能登へ。好評官能ミステリーシリーズ第5弾。
伊藤広子サンは、高1の息子と中1の娘を持つ38歳の一般主婦です。ダンナは、家庭に無関心なフツーの冴えないサラリーマンですが。こいつが信じられないことに浮気してるらしいと知って、真面目な広子さんの頭の線が1本ぷつっと切れました。女ってのはここ一番と腹をくくったら、男よりずっと強かったりして、ね…。長編ロマンチック小説。
六甲道夫の車に金髪女の運転する車が後ろからゴツン。勤務先のホテル・デュークは程近い。六甲は実績を買われ、より大きなホテルの探偵にスカウトされていた。女は魅惑的な体を預け、許しを請う。六甲の欠点は色好み。当然、情事に陥る。そこをロシヤ人に激写され、国際機密会議の盗聴に協力を迫られた。手に汗握る連作劇。
有楽町で、白昼堂々、三億円強奪事件発生!犯人は外人グループか?フリーライター・滝恭介は、女優の不倫の張り込み中、怪しい外人を目撃し、事件にくらいついた。背後には、国際犯罪コネクションの巨大な影が?一路、パリへ飛んだ滝の身にも魔手が迫る!サスペンスの雄が、現実の事件を素材に描く、書下ろし渾身作。
亡父から真面目だけを取り柄に育てられた西並玄一郎。彼は、彼の婚約者の父親であり、父の友人であった赤堀養治から旅行バッグを託された。その数日後、赤堀の他殺体が自宅で発見された。そして、西並が預かっていたバッグも何者かに盗まれていた…。『邪魔な男』で新境地を拓いた著者の洒脱な人間ミステリー第3弾。
ミステリー研究家久我京介先生は、またまた、めんどうな事件に巻き込まれてしまった。アシスタント明夫の級友が殺され、その恋人までも自室で不審な死を遂げたのだ。そこは完全な密室。学園で出会った双子の秘密。助教授と女学生の不審な行動…推理パズルの第一人者が、推理小説の豊富な知識を駆使して、読者を悩ます。
経済不況に苦しむベトナムは、日米協力のもと、かつて米石油メジャーが試掘した海底油田の再開発を図った。それを阻もうとする旧南ベトナム勢力とソ連。第二次ベトナム戦争の危機!砦洋介率いる特殊部隊の任務は、戦争の勃発を未然に防ぐことにある。サイゴン陥落時に最後の一機で戻った著者が、描く、現代不正規戦。
“丸の内の仕置人”として恐れられる国税査察官Qこと九門隆二。総合商社「丸商」の裏金調査、莫大な出所不明金の摘発に乗り出していた彼は、この脱税事件に高級官僚も一枚かんでいることを知った。その矢先、名古屋の「星茶寮」で主計局長・氏家が変死。自殺か、事故死か?有能な佐田潜を部下に迎え、九門はさらに巨悪の正体に挑む。
津吹淳一、19歳。花の1浪予備校生。10月ともなると、心臓がしめつけられるような気分だった。浪人仲間の吉沢や大道寺らは、それぞれ問題をかかえて動揺していた。淳一は、失恋の痛手から立ち直ったと思ったら、またしても女の子から手紙がきて大動揺!?さらに悪いことに、津吹家の両親が冷たい戦争を…。勉強ひと筋の浪人といえども、人生にはいろいろ問題がある。ガンバレ、津吹淳一!『学問ノススメ《挫折編》』に続き、爆笑とペーソスの青春まっただなか《奮闘編》!
豪邸を建て、子どもは一流校へ。しかし一家団欒の夢は、妻が金属バットで何者かに殺されて吹き飛んだ。迷宮入り事件になる寸前、中年の元刑事がつきとめた真相とは?(表題作)…信州の旧家にまつわる猟奇事件、ホモセクシュアル、青年の暗い怒り…現代の〈奇〉なる部分に焦点をあて、想像力を無限に飛翔させた傑作集。
“誰だって長島や王になろうと夢をもってプロ野球に入ってくる。社長になりたいと思うサラリーマンがいてなぜおかしい”井浦兆一・41歳、友光ホームズの万年係長だ。ようやく課長に昇進した井浦は、妻や部下の前で「社長になるぞ!」と宣言。周囲の冷笑を尻目に出世街道へ。-テレビの舌鋒で知られる著者の痛快小説。