出版社 : 光文社
坂本壮馬は、生き方を探して兄・栄達が宮司を務める源神社で働いている。一緒に神社で起こるトラブルを解決してきた「名探偵」の美少女巫女・久遠雫に想いをよせるが、いつもクールで感情の見えない雫の心はわからない。雫につきまとう謎の男・上水流や、壮馬の元カノ・佳奈が絡み、壮馬と雫の関係は渾沌としていく。謎やお悩みを鮮やかに解決する雫と壮馬のコンビだが、二人の恋の行方は、神さまにもわからない?
元クリエイターで無職・無年金の夫と築45年の団地で倹しく暮らす59歳の私。遠い実家で独居する我侭で惚けた父の介護に行き来する日々。入退院、施設探し、説得、契約、実家の管理。時間に、お金に、人間に、振り回され、仕事は、定年は、介護の終わりは…。そんな矢先、夫に癌が見つかる。神は老いた父の死を願うような不埒な私に、罰として私の一番大切なものを奪うことに決めたのだ。還暦を迎える女のリアルな日常が胸を衝く、切実小説。
同級生の女子から絶えず言い寄られ、人妻との不倫に暗い愉しみを見いだし、友人は皆無の高校生・清家椿太郎。ある日、姉の御鍬が十字架に磔となって死んだ。彼女が遺した「この家には悪魔がいる」というメモの真意を探るべく、椿太郎は家族の身辺調査を始める。明らかとなるのは数多の秘密。父は誘拐事件に関わり、新聞で事故死と報道された母は存命中、自殺した兄は不可解な小説を書いていた。そして、椿太郎が辿り着く残酷な真実とは。第23回日本ミステリー文学大賞新人賞受賞作。
強盗容疑で勾留されていた竹迫和也が弁護士と接見中に脱走。彼は、定年間近の“乗り鉄”刑事・片倉康孝が、六年前に逮捕した男だった。休暇を使い、秘境のローカル線・飯田線で天龍峡に赴く片倉。道中で竹迫の生家を訪ね、近隣住民から、彼の幼い頃、祖母が強盗に殺されていたことを聞く。一方、犯罪を重ねて逃げる竹迫もまた天龍峡へ。彼にとって拭えぬ過去の眠る地で惨劇の幕が上がる。片倉は凶悪犯・竹迫の暴走を食い止められるか。そして衝撃の結末!
橘百花25歳。高校時代の同級生と結婚し、妊活を始めた矢先に乳がん発覚。古賀菜都32歳。老舗造り酒屋の嫁として育児に奮闘する最中に乳がん発覚。田中柚子29歳。花嫁検診で乳がんが見つかり婚約破棄。怒涛の三年が経過。闘病ブログを通して出会った三人は、ひょんなことから金沢を旅することに。若年性乳がんを乗り越えた著者が、女性たちの生きる希望と勇気を描く。
就職活動はうまくいかなくて、そもそも特にやりたい仕事もなくて、彼女とは喧嘩になり、未来が全然見えない。実家の母親はすでに亡く、父親はアイドルグループにはまっていた。笑うチャンスはたくさんあったけど、素直に笑える気はしなかった。気は優しくて、なさけない。モラトリアムを生きる若者たちを瑞々しく描いた傑作小説集。第11回小説宝石新人賞受賞作収録。
もっと気楽に、自分を愛したいあなたへ。200冊限定のブックファンドから、40万部を超えるベストセラーに。不安定な心をありのまま描き韓国で話題となったエッセイ、待望の日本語訳。
ヒステリックな母親がもたらすストレスは、大西恵子の精神を蝕んだ。苦痛から逃れるため薬物摂取に至り、彼女は壊れるばかり。父親の浩平は娘のために決意した。「どっかに逃げよう」十五歳の恵子は父と共に神戸へ赴き、慈愛に満ちた日々が心を癒していく。平穏な生活の合間、病の完治を期して訪れたクリニック。主治医の方針で二人は本心を綴ったレポートを提出することに。だが、暴かれる本音と醜悪な思惑が、幸福な生活に影を落とす。新たな問題作となる無慈悲の人間ドラマ。
小学6年生の橘玻璃は、少し前から小児脱毛症を患っている。慣れないウィッグはかゆみと違和感、友人にバレるのではという不安でいっぱいだ。そんな矢先、将棋部に属するハルは「Hu・cafe」という将棋の指せるカフェを近所で見つけ、店主の夕子さんの人柄に惹かれるようになる。女流棋士として活躍していた夕子さんは、訳あって引退し、カフェを開いたというのだが…大人への階段を上り始めた少女が、将棋と向き合い、悩みや苦しみを受け止めてゆく様をみずみずしく描く成長小説。
緊張の入社当日、初めて挨拶した上司は生まれたときから一寸、つまり三センチほどしかなく!?-一寸上司(一寸法師)。おばあさんが川で拾ったノートパソコンの桃のロゴから生まれた女の子は、情報工学の天才児で!?-ロゴから生まれた(桃太郎)。わらしべエージェンシー(わらしべ長者)、鬼の救い(こぶとり爺さん)など全12編収録。現代ショートショートの旗手による、魅惑のショートショート第2弾!
片桐真治は亡母の遺品から、行方不明だった母の弟・赤石の住所を知った。そこは過去、凄惨な殺人の現場となっていた房総半島奥地の山荘だった。翌日友人・貫井の勧めで、片桐は赤石を訪ねるが、赤石の態度に奇妙な違和感を感じる。帰途、自動車内でムカデに襲われ死にかけた片桐が戻ると、自宅が放火され、留守番をしていた貫井の妻と娘が惨殺されていたー。さらに一族の宿命の「敵」は奇怪な力で大量の死者を出しながら、片桐を狙う。彼に逆転の方法はあるのか!?第19回日本ミステリー文学大賞新人賞を受賞した著者が満を持して放つ伝奇ホラー・サスペンス力作長編。
あなたが日々何気なく発する一言の、「言葉の温度」は何度ですか?私たちが紡ぎだすひとつひとつの言葉には、それぞれに固有の温度がある。心地よい温かさで人を癒す言葉、熱すぎたり冷たすぎたりで誰かを傷つける言葉…日々の何気ない会話に耳をそばだて、本や映画の胸を打つ一節を心に留め、それらの言葉のもつ大切さや切実さを語りつくすー韓国で異例の150万部突破、社会現象にもなったベストセラーエッセイ。
ドイツの町ルーレッテンブルグ。賭博に魅入られた人々が今日もカジノに集まる。「ぼく」は将軍の義理の娘ポリーナに恋心を抱いている。彼女の縁戚、大金持ちの「おばあさん」の訃報を、一同はなぜか心待ちにしていて…。金に群がり、偶然に賭け、運命に嘲笑される人間の末路は?
安下宿に暮らす音楽家ショナールは、家賃滞納で追い出される寸前。金策の途上で出会った詩人ロドルフ、哲学者コリーヌ、突然現れた画家マルセルと意気投合し…。気の多い女ミミ、金持ちの愛人ミュゼットらも加わり展開される、自由放埒で甘美な物語。本邦初、23の連作小説の全訳!
特命捜査対策室九係は、「現行の捜査に対して、疑問=Qを持った事件」について、別の切り口で捜査する。故に、一歩間違えば、即廃止という崖っぷちの部署である。交通事故死した保坂敦の後を追って、妻が自殺。保坂の死を調べると、中国で臓器移植していたことが判明。手がかりを探るため、岩城は北京へと飛ぶ!現地で岩城に接触してきた美女。その正体は!?
将軍家毒味役を務める矢背蔵人介は、将軍の御膳の毒味中、毒が盛られていることに気づく。毒を盛ったのは、御膳所同心だと判明するが、その同心は蔵人介に謎の言葉を残す。背後を探る蔵人介だったが、陰謀を企んだ闇の勢力から矢背家が狙われる。蔵人介は窮地をどう乗り越えるのか。そして、見えざる「黒幕」の正体とはー。壮大な物語となるシリーズ二十八弾。