出版社 : 光文社
「しばらく京で過ごせ」-将軍吉宗の命で道中奉行副役となり、京へ着いた水城聡四郎。「世間を見て来い」という命を果たすべく、吉宗の想い人、竹姫の実家の清閑寺家から紹介された炭屋「出雲屋」へ。出雲屋を訪れた聡四郎は、“京の裏”を探るために木屋町に案内されるのだが…。古都で聡四郎は何を見るのか。著者だけが描ける緊迫したドラマのシリーズ第四弾。
大学生・茶谷は、結婚式場でのバイト中、美しい花嫁・眉子に一目惚れをした。彼女を分かってあげられるのは僕だけだからと、夫の会社に潜り込んで近づいていく。しかし、人を喜ばせることに依存して生きる眉子には、その過剰な自意識すら満たすべき対象となっていたー。過去の記憶も呼び起こし、思いのすれ違いが生んだひずみは、-暴走を始める。
ふだん離れて暮らす母親を喜ばせようと、お邸のアフタヌーンティーにお呼ばれした凪子。新緑の庭に、英国風のお菓子とおいしい紅茶を運んできたのは、想像を超えた、とてもユニークな人物(?)だったー(「アフタヌーンティーは庭園で」)。中身は中年男性、見た目はキュートな、ぶたのぬいぐるみ。おなじみ山崎ぶたぶたが、周囲に温かい気持ちを広げていくファンタジー!文庫書下ろし。
放浪の碁盤師・吉井利仙が、かつて棋士だったころの打ち回しに魅せられ、彼を先生と呼んで追いかけている若手囲碁棋士の愼。姉弟子の衣川蛍衣も巻き込みながら、囲碁を巡る数々の事件に遭遇し、棋士としても成長していく。コンゲームあり、サスペンスあり、異なる味わいを持つ物語を重ね、囲碁という宇宙に魅入られた人間を描ききった傑作ミステリ登場!
東京入国管理局の難民調査官・如月玲奈は、後輩の高杉純と共に、日本に難民申請したクルド人・ムスタファの調査を行うことに。聴取中、彼の吐く不可解な嘘に玲奈らは困惑する。彼は本当に難民か?真実を追ううち、玲奈たちは国境を越えた騙し合いの渦に巻き込まれていくー。若き調査官らの活躍をスリリングに描く、ポリティカル・サスペンス!
赤坂署の刑事だった見城豪は、不祥事で警察を辞め、一匹狼の私立探偵となった。相手の悪事がわかると容赦なく脅して金を強請り取る一方で、甘いマスクを武器に、夫や恋人に浮気された女依頼人たちの情事も請け負い、報酬を得ていた。そんな見城の許に、人妻・多島奈穂からの依頼が舞い込んだのだが…。甘く鮮烈でハードな犯罪サスペンスの傑作シリーズ第一弾。3社合同出版企画。新たに大幅修正の決定版。
ソ連の最高軍事機密を奪取し、クレムリン要人一家の亡命を幇助せよ。さらにKGB幹部三名を暗殺せよー遂行不可能とも思える数々の密命を受け、鉄のカーテンの向こうへの潜入を図る西城秀夫。だが、その動向はすでにKGBに察知されていた。組織を挙げての襲撃に絶体絶命の窮地へと追い込まれる西城の運命は!?殺人機械の最後の戦闘を描くシリーズ最終章!
赤羽をこよなく愛する黒瀬大翔は、向かいのチーズケーキ店の美人オーナーパティシエ・三条歩花に頼まれ、本格的にバイトに入るようになった。ある時「赤いジャムはつけないで」と謎の言葉を言い残したお客が翌日も来店、再度パンケーキを食べたいと言い出すのだが…。歩花さんの気まぐれは相変わらず、大翔の淡い恋心も膨らんだり萎んだりで目が離せない!
米沢町の家具商い・相州屋の娘お夕に、急な縁談が持ち上がる。相手は日本橋の大店・柏木屋の一人息子だというが、条件のよすぎる縁談に、木戸番の杢之助は不審を抱く。相州屋の番頭松吉のお夕への純な思いを知り、杢之助は縁談の背後を探るが、案の定、怪しい男女が米沢町にやって来て、相州屋のことを探り始めた…。奇妙な縁談から、一触即発の危機が訪れる!
佐久間象山が凶刃に斃れて一年。江戸時代最後の年号「慶応」の世を迎えた夢屋では、象山が考案した料理“象山揚げ”が評判をよんでいた。横浜から仕入れる堅パンを砕いて衣にした揚げ物だ。おたねと誠之助は、福沢諭吉の助言も受けつつ、南蛮渡来の新しい食材を進んで取り入れてゆく。激動の幕末、料理屋を舞台に、江戸の庶民の姿を温かく描く、好評シリーズ第九弾。
公事宿「巴屋」の出入物吟味人となった、もと秩父忍びの日暮左近。ある日、左近が手裏剣で襲われた。出入物吟味人として狙われたのか、それとも秩父忍びの過去に関わりがあるのか。探ると、かつて秩父忍びの仲間で許嫁でもあった陽炎たちも襲われていた。怒る左近を、権力亡者と凋落した忍びたちの暗闘が待ち受けていた。大好評を博したシリーズ待望の続編、第六弾。
大坂夏の陣。劣勢に立つ豊臣秀頼は、一縷の望みをかけ自ら出陣することを決意する。だが、母の淀殿はそれを頑なに阻むのだったー。衝撃の結末に息を呑む珠玉の傑作「お拾い様」ほか、山本勘助、今川義元、徳川家康ら名高き武将たちが死を迎える最期の二十四時間を、濃密に描く全六編を収録する。斬新な歴史解釈と鮮やかなどんでん返しに彩られた奇跡の作品集。
この町には怪人がいるんだよ。女の人と子供は殺されるから、気を付けなきゃいけないんだ。どことなく閉塞感を感じさせる小さな町に、怪物が生まれる。未解決の殺人事件は、人間の仕業だとは思えなくなった。都市伝説×コージーミステリーの野心作。
家老からの密命に背き、丹波篠山藩を出奔した若き武士・小柴陽太郎。杜氏についてきた灘の酒蔵で、名酒「一分」造りに勤しんでいた。陽太郎は「一分」を江戸に運ぶ船に乗りこむものの難破する。酒蔵は窮地に追い込まれ、時を同じくして篠山藩は財政難に陥っていた。藩と酒蔵の危機を同時に打開するため、陽太郎が持ちだす起死回生の秘策とは…。幕末の激動の時代、その仰け反るほどの逆風に立ち向かう青年を鮮烈に描く物語。
ロンドンの片隅で雑貨店を営むヴァーロックは、某国大使館に長年雇われたシークレット・エージェントである。彼はその怠惰を雇い主に咎められ、グリニッジ天文台の爆破事件を起こすよう命じられるのだが…陰鬱な社会とアナキストたちをめぐる人間模様を皮肉な筆致で描いた小説。
豊かな自然のなかで育ったペーターは、文筆家を目指し都会に出る。友を得、恋もしたが、都会生活の虚しさから異郷を放浪した末、生まれ故郷の老父のもとに戻り…。青春の苦悩、故郷への思いを、孤独な魂を抱えて生きてきた初老の独身男性の半生として書きあげたデビュー作。
西国の大名、山野辺藩から、牡丹堂に菓子の注文が舞い込んだ。小萩をはじめ見世の面々は晴れがましく感じながらも、なにやら落ち着かない日々だ。そんな折、もともと山野辺藩の御用を務めていた老舗の伊勢松坂が、何者かに乗っ取られた。主の松兵衛が相場で大損して、借金の形に取られたというのだが…。菓子の味と人情に心ほっこりする大好評シリーズ第四弾。
高齢の四郎兵衛に代わり、廓を御する吉原会所の八代目頭取を誰が継ぐのか。五丁町名主の話し合いは紛糾し、画策や探り合いが始まった。新春の吉原、次期頭取候補と目される神守幹次郎を狙い、送りこまれる刺客に、張られる罠。危機を覚えた幹次郎は、故郷の豊後岡藩藩邸を訪れるとともに、ある決意を固める。吉原百年の計を思い、幹次郎の打つ、新たな布石とは。
貧乏極まり行き場を失くした小磯は、学生課で寮費千三百円という怪しげな「富穣寮」を紹介される。大学キャンパスの奥の奥。そこでは、変人の寮生たちが奇妙な自給生活を繰り広げていた。しかも部屋には、夜な夜なヨリコさんという「血まみれの女」が現れるという。ヨリコさんの正体を解き明かそうとする小磯は、やがて世界の存続をかけた戦いに巻き込まれていく!