出版社 : 光文社
「安全地区」に指定された仙台を取り締まる「平和警察」。その管理下、住人の監視と密告によって「危険人物」と認められた者は、衆人環視の中で刑に処されてしまう。不条理渦巻く世界で窮地に陥った人々を救うのは、全身黒ずくめの「正義の味方」、ただ一人。ディストピアに迸るユーモアとアイロニー。伊坂ワールドの醍醐味が余すところなく詰め込まれたジャンルの枠を超越する傑作!
書店員は超多忙。品出しや客注をこなし、レジ対応の合間に万引き犯を捕まえ、閉店後には新作を読んでPOP書きやイベントの準備。でも、本と本屋が好きだから、今日も笑顔でお店に出るのだ。でも時には、お客様から謎すぎる悩みが寄せられて…。ここは町の本屋さん。名物店長と個性的なバイトの面々が、本にまつわる事件を鮮やかに解決します。本屋さんよ、永遠に。
僕は君原樹来、小学六年生。将来の夢は推理小説作家。作品の題材になるような難事件の話を聞きたくて、元刑事のじいじの家に遊びに来た。そうしたら交換殺人や密室、ダイイングメッセージとかすごい謎ばかりで期待は的中!でもね、じいじ。その解決、僕はそんなことじゃないと思うんだけどなあ。可愛らしい名探偵の姿を通じて、本格ミステリーの粋を尽くした魅惑の短編集。
アミの会(仮)とは、各ジャンルで活躍する女性作家の集まり。網のように広がる交遊関係、フランス語で友だちという単語(amie)、全国各地のメンバーがインターネットで意見交換をしながら、一冊のアンソロジーを編むというところから名付けられた。アンソロジー企画第五弾は、十三人の豪華ゲストを迎え、二十五編の書下ろしショートショートをお届け!
銃器ブローカーに発砲されたため、相手を半殺しにしたことで過剰防衛として三カ月の停職となった警視庁の風見竜次は、捜査一課特命遊撃班に異動となる。そのチームには、“ホームレス刑事”など異色の面々が揃っていた。そして、風見たちに、東京の蒲田署管内で起きた事件の捜査が命じられる。遺品整理会社の会社員が殺害された難事件の真相とはー。シリーズ第一作。
愛する息子と妻をシンナー中毒の通り魔に殺された新聞記者の小坂宏樹、我が子を殺めながら無罪判決を受けた平沼香織。“心神喪失者の行為は、罰しない。心神耗弱者の行為は、その刑を減軽する”という刑法三十九条によって、人生を翻弄された二人が、時を経て交錯する。そして、新たな事件が!苦悩と葛藤が導く意外な結末とは!?心理ミステリーの傑作!
警察庁からの依頼を受け、西城秀夫はヨーロッパへと飛ぶ。政府要人や財界の大物がスウィス銀行に預けた隠し金が、次々と強奪されていた。そこにはイスラエルの秘密組織が関わっているらしい。その組織の正体を突き止め、壊滅せよというのだ。パリへと金を引き出しに向かった不動産会社社長を囮に、西城は組織の中枢へと食い込んでゆくー。超絶アクション巨編!
粋で艶やかな新橋芸者の“まり勇”は、ハードボイルドなどの海外ミステリーが大好き。少女時代はメイヴィス・セドリッツやハニー・ウエストのような女探偵を夢見ていた。忙しいお座敷の合間に起きるミステリアスな事件に胸を躍らせ、恋しい刑事と謎を推理。聖ルカ病院、魚市場、歌舞伎座に本願寺ーなんでも一級品の揃う築地を舞台にした都会派連作ミステリー!
天文方に勤める川本浩之助は絶滅した生物の化石探しに没頭していた。ある夜、不審な男たちが、別れた女房を拐かし「不死の鳥の化石を出せ」という要求を突きつける。一方、市中の事件を追う中で浩之助に目をつけていた定町廻り同心の近藤信吾。彼もまた黒い陰謀に巻き込まれていく…。太古のロマンが巻き起こすドラマを壮大に描く!人気時代シリーズ、堂々たる最終巻。
吉原の妓楼から依頼を受け、客から借金を取り立てる始末屋「だるま屋」。そこで働く直次郎は、大見世「丁字屋」の花魁・真鶴から名指しで依頼を受ける。真鶴の妹分である花菊の首を絞めて逃げた男を探し出し、百両を取り立ててほしいと言う。直次郎の胸に、吉原で命を落とした妹の最期が浮かびあがるー。逃げた男の正体は!?そして、花魁の秘めたる思いとは!?
幕府の役職を投げ打ち、兵学と儒学を講義する兵聖閣と武術稽古場・兵原草廬を創って門弟を育ててきた兵法家の平山行蔵。江戸の町を荒らす巨悪が出現し、もと老中の松平定信の命で盗賊集団退治に乗り出したがー。当代屈指の武術研究家・長野峻也氏の原案。過去の時代小説にないド迫力の剣戟と武士の悲哀などを描いた珠玉の作品。著者、光文社文庫デビュー作品。
池田屋に踏み込むも、なぜか敵を斬ろうとしない新選組隊長・近藤勇。その胸中にあった切実な願望とはー。(「戦いを避ける」)新選組について語られる史実の隙間を覗けば、隊士らの心理や葛藤がにじみ出る。近藤・土方らの意外な一面や、馬術師範・安富才助、密偵・村山謙吉、文吏・尾形俊太郎らにも光を当て、歴史小説の名手が、鮮烈にして新しい新選組像を描き出す。
“にらみ”とは、刑事が公判を傍聴し、被告人が供述を翻したりしないよう、無言で圧力をかけることー。事務所荒らしで捕まり、懲役五年の判決を受けた窃盗の常習犯・保原尚道は、仮釈放中に保護司を殺害しようとした容疑で逮捕された。取り調べを担当する片平成之は、四年前の保原の裁判で“にらみ”をしていて面識があった。保原は自首しており、目撃者による面通しも終えているのだが、片平は納得していない。保原は人を殺めようとするほどの悪人なのかー。(「にらみ」)驚きと情感あふれるミステリー傑作集!
君原樹来は推理作家を目指す法学部の四年生。あるとき、同じ大学に通う妹・麻亜知の友人、葛木夕夏があるトラブルを抱えているといい、元C県警捜査一課の刑事であった樹来の祖父に相談しに行くことに。夕夏は十年前、実の叔父に誘拐されたことがあった。ただ、記憶を失った時間があっただけで被害はなく、当時は身内のトラブルと片づけられたのだが、最近になって警視庁が再捜査に乗り出しているという。同じ十年前、同じく誘拐された男児の白骨遺体が最近発見されたことが関係しているようだ。当の叔父は行方不明になり、裕福な創業者一家だった葛木家は、その後みるみるうちに崩壊していったのだがー
ドイツ軍の電撃的侵攻の前に敗走を重ね、機能不全に陥ったフランス軍。危険だがもはや無益な偵察飛行任務を命じられた「私」は、路上に溢れる避難民を眼下に目撃し、高空での肉体的苦痛や対空砲火に晒されるうち、人間と文明への“信条”を抱くに至る。著者の実体験に基づく小説。
偽アスランの「命令」で、木々の精霊は倒され、“もの言う馬”たちは奴隷のように働かされている。その光景を見たティリアン王は激怒し、剣を抜くが…。カロールメン国の大軍や邪神タシュまでがナルニアに到達する絶体絶命の状況で、物語は思わぬ方向へと動き出す!衝撃の最終巻!
浅草御蔵前で、亡き先代伊勢亀に代わる札差の新筆頭行司がなかなか決まらない。父の跡を継いでの就任を固辞する伊勢亀の当代半右衛門の元に、不可解な企てとも取れる文が届き、幹次郎は危ぶむ。巨額の富と莫大な権力を手にする筆頭行司の座を巡り、長い秋雨にけぶる吉原の町にも陰謀が蠢き始め、狙われる西河岸の桜季、そしてついにー。大人気シリーズ第三弾。
一九三〇年一月、日米英など五大海軍国によるロンドン海軍軍縮会議が始まろうとしている。随員を命じられた外務省情報部長・雑賀潤は、首席全権の若槻礼次郎らと日本を旅立った。だが、各国の利害が対立する外交交渉は難航の連続。その上、海軍軍令部は自らの主張に固執し、妥協案に対して拒絶の姿勢を崩さない。熾烈を極める状況の先に、雑賀は光明を見出せるか!?
ロンドンでの雑交渉を終え、全権団は帰国した。しかし、条約の内容を受け入れられない軍令部は、統帥権の独立を楯に批准に反抗。輿論は二分し、議会での論戦も混迷の一途を辿るばかり。土壇場での条約破棄を阻止するため、雑賀ら政府の面々は、軍人、枢密院、そして輿論に対して瀬戸際の攻防で対峙するー。史実の中に浮かぶドラマを、精緻かつ情熱的に描ききった傑作!