出版社 : 光文社
武家の庶子でありながら、家族に疎まれ寒村の寺に預けられた久斎は、兄僧たちからも辛く当たられていた。そんななか、水汲みに出かける沢で出会う村の娘・しのとの時間だけが唯一の救いだったのだが…。手ひどい裏切りにあい、信じるものを見失って、久斎は寺を飛び出した。盗みで食い繋ぐ万吉と出会い、名をたずねられた久斎は“無暁”と名乗り、ともに江戸に向かうー波瀾万丈の人生の始まりだった。
かつての賑わいを失った温泉街。その町で育ち、地元の信用金庫に勤める勇太は、蛇神伝説をもとに新たな祭りを開催し、観光客を呼び込もうという地元活性化案を企画した。その目玉として、大蛇神輿と高校生の蕎麦打ちイベントを提案する。その頃、春海たち高校生も全国高校生蕎麦打ち選手権大会に出場するため特訓に励んでいた。そんな中、東京のメガバンクに勤める勇太の兄・勇之介が、リゾート化計画を引っ提げてやってくるが…。
お腹の子の父親を追って旅する女、肌は白いが黒人の血を引いているという労働者、支離滅裂な言動から辞職を余儀なくされた牧師……米国南部の町ジェファソンで、過去に呪われたように生きる人々の生は、一連の壮絶な事件へと収斂していく……。ノーベル賞受賞作家の代表的作品。
離婚後、没落した実家に戻っていた白流蘇。異母妹の見合いに同行したところ英国育ちの青年実業家に見初められてしまう「傾城の恋」。封鎖中の路面電車のなかでの男女の行きずりの恋を描いた「封鎖」。占領下の香港と上海が舞台の恋物語と自伝的エッセー「戦場の香港」ほかを収録。
親子ゲンカで家出中だったぬりかべの父・作蔵が、拐されかけていた女児を救った。親探しに奔走するるいに、九十九字屋主人の冬吾は猿江町の辰巳神社に行ってみろという。ただし神主には近づくなともいうのだが……。やがて、るいは冬吾の生い立ちに秘められた切ない因縁に気づいてゆく。世のふしぎの裏にある人やあやかしの想いを温かく描く人気シリーズ第四弾!
豪華列車「ななつ星」に病気の母親を乗せるため、賀谷大三郎は悪知恵を働かせてツアーに潜り込んだ。ところが乗車直後、大三郎のもとに一通の脅迫状が届く。今回の悪事を見逃してやる代わりに、ある乗客の手帳を盗み出せというのだが…。さらに、乗車していた次期駐日アメリカ大使の女性が行方不明に。続発する事件の黒幕を追い、十津川警部が九州を走る!
沖縄本島北部の法テラス、スタッフ弁護士の阿礼沙英子。オジィオバァの方言に四苦八苦しながら、持ち込まれた相談をびしびし解決中。模合崩れの相談に訪れたのは事務員・大城の小学校時代の同級生、赤嶺だった。裁判をおこすと息巻くが、沙英子は証拠が乏しいことを伝える。納得できないと、模合の座元との話し合いに大城を呼び出すのだが…。(「モアイの相談」)
霊感の強かった祖母がくれたお守り。身につけていると様々な災いから逃れられた。そのお守りが盗まれたー。(「お守り」)愛犬を殺されたと主張する主婦がとった手段とは…。(「罪を認めてください」)八つのテーマに沿って、親子、夫婦、友人、近所など、さまざまな関係や状況で起こる「怖い話」や「不思議な話」など八編を収録。書き下ろした四編も入った贅沢な一冊。
週刊誌の編集部で働いていた佐久間はある記事が原因で他部署に異動になった。三年ぶりに編集部に戻る前日、ネタ元の全国紙記者と会っているところを暴力団員に襲われた佐久間は、そのネタを手土産に復帰する。若い女性の連続殺人事件と自分が編集を追われることになった記事はどうつながるのか!?かつて「バズーカ」と業界で恐れられた男は真実に迫れるのかー。
六本木署の萩原は、暴対法の網の目を潜り抜ける半グレ集団を専門に取り締まる刑事だ。振込詐欺の現金受け渡しの現場を押さえるため、山手連合幹部の情婦とみられる女を尾行。現場となった銀行で、萩原は強盗事件に巻き込まれる。山手連合は、高級車の窃盗、さらに麻薬取引にまで手を染めていた。半グレ集団の裏にちらつく権力の影が、萩原を追い詰める!
埼玉県・白岡警察署の黒星光警部は、休暇に白川郷へと足を延ばした。しかし、ひょんなことからその奥にある鬼面村に行くこととなり、事件に巻き込まれる。合掌造りの家が一夜で消え、次々に起こる奇怪な事件の裏に隠された真相に、推理小説好きの黒星が挑む。“助手”葉山虹子の活躍も見物。著者の大幅加筆修正のうえ、新装版で新たに登場。名シリーズ第一弾。
東京地検特捜部の熱血検事が女性気象予報士とともに毒殺された。進まない捜査に、捜査一課の特命遊撃班に出動命令が下る。風見たちが捜査を始めると、熱血検事が、贈収賄事件についての内部告発を考えていたこと、女性予報士が独立を画策していたことが判明する。しかし、二人の接点は見えてこない。そして、たどり着いた意外な真相とはー。シリーズ第二作。
日本政財界のブラックマネーを強奪していたイスラエルの組織は、アラブ・ゲリラへの報復機関“シオンの星”だった。“シオンの星”パリ支局を壊滅させた警察庁の秘密捜査官・西城秀夫は、ついにヨーロッパ総局を標的に定める。アムステルダムからフランクフルト、コペンハーゲンへー。鋼の肉体と冷徹な精神で、巨大組織に単身、最後の闘いを仕掛ける西城の運命は!?
ルポライターの浅見光彦は、佐田教授らと後鳥羽上皇遺跡発掘調査のために隠岐の中ノ島を訪れる。そこで、上皇の祟りだと騒いでいた老人が溺死し、佐田教授も変死を遂げた。一方、白倉教授と村上家を訪ねた女子大生佐治貴恵は、上皇から藤原定家に宛てた稀本「源氏物語絵巻」に関する秘密の古文書を発見するがー光彦が後鳥羽上皇の謎に挑む傑作長編旅情推理。
ルポライターの浅見光彦は後鳥羽上皇遺跡調査のため隠岐中ノ島に来ていた。だがそこで血の字の祟りの話をしていた小野老人は溺死、同行していた佐田教授も謎の死を遂げた。時価数十億円といわれる「源氏物語絵巻」はどこに。貴恵が五反田の邸で会った老執事と小野老人の関係は?四十年前に遡る事件の真相は後鳥羽上皇の怨念か、人間の欲望かー傑作長編旅情推理。
銀座のバーから出てきた山中一郎は、ホステスのマユミと乗ったタクシーの中で、人だかりに気付く。見に行くと、一人の男が俯せで死んでいた。その男は、ある都政新聞の元記者、島田玄一。彼は、家族には土地の周旋をしていると言い、以前より収入が増えていたというー。武蔵野を舞台に、病院経営を巡る黒い霧と謎の連続殺人を描く長編ミステリー。
元新聞記者の死に端を発した事件、タクシー運転手の三上正雄は、利用するつもりの証拠の手帳が命とりになることを恐れた。必死にかくして営業所に戻ると、令状を持った刑事がやってきて、参考人として留置された。しかし、三上を面通しした岩村都議と飯田事務長はその日の運転手は彼ではなかったと否定したー。癒着の闇を描いた清張渾身の長編ミステリー。
探偵・推理小説の書籍や雑誌を収集保存し、一般読者や研究者が自由に利用できるユニークな図書館、ミステリー文学資料館。本書は“遺産”ともいえるその膨大なコレクションより、大正から昭和初期に本格派探偵小説の旗手として一世を風靡した甲賀三郎のレアな傑作長編と、本格短編の名手として今なお評価の高い大阪圭吉の作品集『死の快走船』を一冊まるごと収録!
孤独の中で強さを渇望する芥菊千代。組から追われる身となった竹智完。美しき獣のごとき志村礼二。愚直に武道に邁進する加倉文平。優しき巨躯の室戸武志。世界を放浪する陳家太極拳の達人・羽柴彦六が五人の若者と出会った時、運命の歯車は俄かに動き出すー。血潮たぎる迫力と息をもつかせぬテンポで繰り広げられる夢枕獏のノンストップエンタテインメント!