出版社 : 光文社
杉山潤之助の上海出張に、新婚旅行へ出向くという旧知の探偵・月輪龍太郎が同道することになった。彼らの乗る豪華客船・海妖丸が出発する直前の横浜港で、船客の政商らに宛てて奇妙な予告状が届く。絢爛な船旅の途上、仮面舞踏会や沙翁劇の最中に起こる殺人、そしてまた殺人。息を潜める犯人を見つけ出せるか。本格ミステリの醍醐味を堪能できる、傑作推理小説。
夫・徹夫の元から逃げ出した実優は、二年たった今でも、暴力の悪夢を見る。徹夫からの追及を恐れていたが、ついに居所を突き止められてしまう。離婚を主張する実優に、夫の代理人である弁護士は、暴力などなかったと言う。事実を証明しようと、実優はかつて住んでいた街を訪れたが、自分が間違っていたことに愕然とする。彼女の記憶の深淵に隠された真実とは!?
沙織は絶望のどん底にいた。恋人から手酷く捨てられ、仕事を失い、愛する姪は難病で莫大な治療費が必要だった。自らを売って姪を救おうと決心した彼女の前に現れた、完璧な美貌を持つ奴隷商人・サラサ。彼女にも、かつて奴隷として売られた過去があった。優秀な医学生だったサラサを襲った壮絶な運命が明かされてゆくー。龍のタトゥを背負うダークヒロイン誕生!
ある朝、ルリ子を起こしにいったらベビーベッドはカラだった。窓から誰かに連れ去られたのか…。自分を責めて探し回る母親は、度々家に遊びに来る女子高校生の存在に思い至る。しかし、彼女は学校を無断欠席しており、見つかったときにはー。(表題作)。愛する我が子へ、様々な思いに翻弄される母親たちの姿を描いたミステリー短編傑作集。
北町奉行所定町廻り同心、木暮信次郎が腹を刺された。信次郎から手札を預かる岡っ引の伊佐治、信次郎と旧知の小間物問屋・遠野屋清之介に衝撃が走る。襲った男は遺体で大川に上がる。背後で糸を引く黒幕は何者なのか。深まる謎のなかで見えてきたのは、信次郎の父親・右衛門の衝撃の「過去」だったー。あさのあつこの代表時代小説シリーズ、衝撃の第六弾!
元山岳遭難救助隊員の得丸志郎は、残雪期の白馬岳で公安刑事・池谷博史と再会した。二人は大学時代、山岳部で苦楽をともにした同期だった。急遽、白馬岳山頂までのガイドを頼まれた得丸が麓に電話を入れると、警察に追われた公安刑事が東京から逃げてきている、という話を聞かされる。厳しい検問が敷かれ、逃げるには山を越えるしかないと言われたその時、池谷が拳銃の銃口を押しつけてきたー。
主婦の矢沢鶴子は、水引をつくる内職と息子の中学校のPTA活動で忙しい毎日だ。最近義母がハマっているロックミュージシャンのフジマサキに自分もハマり、日々癒されている。ある日、PTA会長が不倫スキャンダルで突如辞任、まさかの次期会長に推薦され、しがらみだらけのPTAの恐ろしい世界を身をもって体験することに…。持ち前のユーモアで難局を乗り切れるのか?!心の支えは、フジマサキのライブビューイングに行けること!フツーの主婦のおかしな日常を独特のユーモアと観察眼で描く、痛快作。
とある名門女子中学校。ある日、二年A組の担任・ススワタリが血相を変えて校長室に飛び込んできた。鍵のかかった教室で、生徒20人が死体で見つかったのだ。教頭のクサカベは学校に都合よく真相を偽装するため、警察よりも先に犯人を捕らえようと目論む。同級生20人を皆殺しにした犯人は誰なのか?事件は思いもよらない方向へ転がっていく。(少女教室)学園、ホラー、メタミス、エログロ、SF。少女20人の死をテーマに紡がれる、5つの本格ミステリ。
聖なる愚者ムイシキン公爵と友人ロゴージン、美女ナスターシャ、美少女アグラーヤ。はたして誰が誰を本当に愛しているのか?謎に満ちた複雑な恋愛模様は形を変えはじめ、やがてアグラーヤからの1通の手紙が公爵の心を揺り動かす。「イッポリートの告白」を含む物語の中核部分、登場。
製薬会社のMR・友永孝は、電車内で見知らぬ男女に痴漢の疑いをかけられ駅から逃走、新人巡査の新田真人に逮捕された。友永は無罪を訴えるが、留置場に収監されてしまう。後日、真人はある出来事から友永の無実を確信し、老弁護士・五味陣介に協力を求めるがー。留置場から拘置所、そして法廷へ。仕組まれた冤罪との闘いを徹底した緻密さで描く異色の警察小説。
将軍徳川吉宗と「大奥で忘れられた姫」竹姫との恋は成就せず、吉宗の大奥改革もとりあえず一幕が終わった。竹姫付き御広敷用人の任を解かれて寄合となり、静かな毎日を取り戻した旗本・水城聡四郎に、またも将軍吉宗から声がかかる。今回の命は「道中奉行副役」。「世の中を見てこい」という吉宗の命に、まずは東海道へ。かつてない剣戟満載!待望のシリーズ開始。
航空自衛隊音楽隊でアルトサックスを担当する鳴瀬佳音。陸海空自衛隊合同コンサートに出演するため浜松にやって来た彼女たちは、あるモノをバスに隠してリハーサルへ。ところが、そのバスが駐車場から消えてしまう!?(「希望の空」)そして、腐れ縁の渡会三曹との恋に問題が!いつもトラブルを呼ぶ佳音が仲間たちと日常の謎を解き明かす、音楽青春ミステリシリーズ!
殺人事件を起こした崎津直也が刑期を終えて出所した直後に神戸で殺された。その直後、九年前に崎津を逮捕した刑事の片倉康孝も何者かに刺される。崎津から届いた手紙に書かれていた「砂丘の蛙」という謎の言葉に、戸籍には載っていない「妹」の存在。事件の渦中に巻き込まれた片倉は、捜査本部から外されても地道な捜査を続け、神戸、鳥取へと足を運ぶ。傑作推理小説。
江戸川乱歩はミステリーを「犯罪に関する難解な秘密が、論理的に、徐蕨に解かれて行く径路の面白さを主眼とする文学」と定義した。これはまさに相手の駒の動きを予測し、理詰めで解き明かす将棋の勝負と類似している。事実、推理作家には将棋好きが少なくなく、題材にした作品も数多い。本書は文壇の実力派たちによる白熱の名人戦九局を収めた傑作アンソロジー!
駿河国汐崎藩の国許で一揆の噂がたった。汐崎藩の御刀番頭・左京之介は、噂の真偽を確かめるため、さっそく国許へ向かう。汐崎藩領内へ入った左京之介を待っていたのは、汐崎藩を混乱させんとする一派。そして、敵の手には、名剣「井上真改」が。はたして、左京之介は、一揆を防ぐことができるのか。手に汗握る策謀の応酬と迫力の剣戟満載のシリーズ第九弾。
江戸で起こった敵討ち騒動。咎人の大杉天善は武家屋敷に幽閉されたが脱走、関八州に逃亡した。そこで彼を敵とする古元正之助の依頼で、追い首の新三郎たちは追跡を請け負うことに。ところが騒ぎの元凶に近づくほど、手強い相手に狙われ、次期老中と目される松平定信の秘密にも迫り…。追い首稼業に身をやつす腕利きの男たちの活躍を描く、痛快時代シリーズ第二弾!
皆が浮かれ、賑やかに踊るやすらい祭り。商家で歓待を受けた蕪村が、鮒の塩漬けを土産にもらい機嫌よく帰途につくと…。薄暗い草むらから若い公達が現れた。「我はこの世の者ではない」と言う。見目麗しい公達が、叶わなかった恋を語りだす。その公達の正体とは!?(表題作)画家で俳人の与謝蕪村が見聞きした妖たちの、もの悲しくもこころに響く物語九編。
生まれ故郷の村に帰った小萩は、姉の婚礼の祝い菓子を作る。江戸でもっともっと菓子作りを学びたい。あらためてその思いを強くする小萩だった。ようやく戻った牡丹堂に、ある日颯爽と現れた一人の男。かつて見世にいた腕利きの職人だという。その男が、思わぬ騒動を引き起こしてゆくー。おいしいお菓子と人々の情に心がほっこりする、好評シリーズ第二弾!