出版社 : 光文社
安曇野警察署の刑事・道原伝吉は松本署に転勤になった。着任早々、道原はシマコこと河原崎志摩子刑事とともに、児童養護施設に保護された4歳の少年に会いに行く。少年は母親、妹と松本駅にやってきて、母親が二人の元を離れた間に、一人で近くにあったトラックの荷台で遊んでいたところ、トラックが動き出してしまったのだという。運転手が気づいて駅に戻ったときには、母も妹もいなくなっていた。二人はいったい、どこへー?
癌で余命半年と宣告されたヤミ金業者のマキ子も、その「田所リース」で働く落ちぶれた取り立て屋の乾も、陸上部のエース阿久津先輩に憧れる高校生の結も、生まれてから車椅子の生活しか知らない身体不自由な博も、彼らの世界は、きっとどこかでつながっているー。底辺で生きる人間たちの業と、人生の不思議な縁を描く、書下ろし長編ミステリー。
新宿歌舞伎町でセキュリティをするコウは、生きるためなら手段を選ばないしたたかな女。元情夫のシンプの指示で、風俗店“天使と薔薇”から逃亡した淫乱で狡猾な美少女ユコを連れ戻しに成城の豪邸へと向かう。そこには敵対する角筈の殺し屋たちが待っていた。窮地を躱したコウはユコを連れ、幼いころに暮らした海辺の団地に潜伏する。束の間の平穏、団地の住民たちとの交流、闇の世界から抜け出し、別人に生まれ変わった危ない女とやっかいな女の奇妙な共同生活。幼いころから虐待され、悲惨な人生を歩んできた二人に、安息の日々は続くのかー。第21回日本ミステリー文学大賞新人賞受賞作。
定年間近の刑事・片倉康孝は、休暇を利用して小出と会津若松を結ぶ秘境のローカル線“只見線”に乗りに来た。この旅は、20年前に練馬で起きた放火殺人事件の現場から消えた謎の女“鮎子”の足跡を探す旅でもある。現地で話を聞くと、練馬の事件のさらに40年前、羽賀鮎子という女性が火事で亡くなっていたことが分かった。二つの火事、二人の鮎子につながりはあるのか!?片倉は後輩刑事の柳井淳らと共に、ふたたびこの事件を追うことにしたー。過去に携わった迷宮入り事件の真相は!?謎が謎を呼ぶ傑作警察小説!
元亀元年(1570年)、朝倉家家臣の小林吉隆は、織田家との合戦中、富田長繁に命を救われる。世の道理を重視する吉隆だが、忠に薄く戦好きな長繁とは、不思議と馬が合った。しかし、崩壊へと向かう朝倉家に見切りをつけた長繁は、織田方へと寝返ってしまい…。歴史からかき消えた狂気の武将、富田長繁。新鋭による戦国秘史!
パリの社交界で金持ちの貴族を相手に奔放な日々を送る美貌の高級娼婦マルグリット。彼女はある日、青年アルマンと出会う。初めて真実の愛に目覚めた彼女は、これまでの享楽的な生活を捨て、パリ近郊の別荘で二人は暮らし始めるのだが、そこへ訪ねてきたのはアルマンの父だった…。
世は元禄。公儀の手先「影廻衆」として密命を果たす旗本高鳥家の三男坊・三郎太は、ある夜、商人が犬に襲われているところに居合わせた。三郎太は柳生新陰流の豪剣で商人を救うが、背後に何者かの策謀があることに気づく。不仲の犬小屋奉行・斗真とともに、謀略を仕掛ける黒幕を追う!赤穂浪士も登場する贅沢な一冊。注目の著者、光文社文庫デビュー作品。
徳川三代家光の治世。将軍家剣術指南役である柳生新陰流と小野派一刀流の門弟が次々と斬殺される事件が起こった。柳生但馬守宗矩は息子二人に、辻斬りの正体解明を命じる。兵馬と名乗るその男は、二つの流派を会得した恐るべき遣い手であり、柳生一族の心胆を寒からしめる野望を持っていたー。剣のみに生きる男の凄まじい活躍を描く、新たな剣豪小説の誕生!
杉山潤之助の上海出張に、新婚旅行へ出向くという旧知の探偵・月輪龍太郎が同道することになった。彼らの乗る豪華客船・海妖丸が出発する直前の横浜港で、船客の政商らに宛てて奇妙な予告状が届く。絢爛な船旅の途上、仮面舞踏会や沙翁劇の最中に起こる殺人、そしてまた殺人。息を潜める犯人を見つけ出せるか。本格ミステリの醍醐味を堪能できる、傑作推理小説。
経営危機に陥ったカナエホーム新社長に、左遷されていた元役員・堂島充が抜擢された。だが、闇改修、性能偽造など、不祥事が次々発覚。堂島は、不当に評価の低い社員を招集し、新規プロジェクトを立ち上げるが、企業買収を画策され、経営再建は危機的状況になっていく。社内に潜むスパイと黒き巨大組織に立ち向かう!愛社精神を問う骨太な企業ミステリー。
夫・徹夫の元から逃げ出した実優は、二年たった今でも、暴力の悪夢を見る。徹夫からの追及を恐れていたが、ついに居所を突き止められてしまう。離婚を主張する実優に、夫の代理人である弁護士は、暴力などなかったと言う。事実を証明しようと、実優はかつて住んでいた街を訪れたが、自分が間違っていたことに愕然とする。彼女の記憶の深淵に隠された真実とは!?
沙織は絶望のどん底にいた。恋人から手酷く捨てられ、仕事を失い、愛する姪は難病で莫大な治療費が必要だった。自らを売って姪を救おうと決心した彼女の前に現れた、完璧な美貌を持つ奴隷商人・サラサ。彼女にも、かつて奴隷として売られた過去があった。優秀な医学生だったサラサを襲った壮絶な運命が明かされてゆくー。龍のタトゥを背負うダークヒロイン誕生!
ある朝、ルリ子を起こしにいったらベビーベッドはカラだった。窓から誰かに連れ去られたのか…。自分を責めて探し回る母親は、度々家に遊びに来る女子高校生の存在に思い至る。しかし、彼女は学校を無断欠席しており、見つかったときにはー。(表題作)。愛する我が子へ、様々な思いに翻弄される母親たちの姿を描いたミステリー短編傑作集。
北町奉行所定町廻り同心、木暮信次郎が腹を刺された。信次郎から手札を預かる岡っ引の伊佐治、信次郎と旧知の小間物問屋・遠野屋清之介に衝撃が走る。襲った男は遺体で大川に上がる。背後で糸を引く黒幕は何者なのか。深まる謎のなかで見えてきたのは、信次郎の父親・右衛門の衝撃の「過去」だったーー。あさのあつこの代表時代小説シリーズ、衝撃の第六弾!
元山岳遭難救助隊員の得丸志郎は、残雪期の白馬岳で公安刑事・池谷博史と再会した。二人は大学時代、山岳部で苦楽をともにした同期だった。急遽、白馬岳山頂までのガイドを頼まれた得丸が麓に電話を入れると、警察に追われた公安刑事が東京から逃げてきている、という話を聞かされる。厳しい検問が敷かれ、逃げるには山を越えるしかないと言われたその時、池谷が拳銃の銃口を押しつけてきたー。
主婦の矢沢鶴子は、水引をつくる内職と息子の中学校のPTA活動で忙しい毎日だ。最近義母がハマっているロックミュージシャンのフジマサキに自分もハマり、日々癒されている。ある日、PTA会長が不倫スキャンダルで突如辞任、まさかの次期会長に推薦され、しがらみだらけのPTAの恐ろしい世界を身をもって体験することに…。持ち前のユーモアで難局を乗り切れるのか?!心の支えは、フジマサキのライブビューイングに行けること!フツーの主婦のおかしな日常を独特のユーモアと観察眼で描く、痛快作。
とある名門女子中学校。ある日、二年A組の担任・ススワタリが血相を変えて校長室に飛び込んできた。鍵のかかった教室で、生徒20人が死体で見つかったのだ。教頭のクサカベは学校に都合よく真相を偽装するため、警察よりも先に犯人を捕らえようと目論む。同級生20人を皆殺しにした犯人は誰なのか?事件は思いもよらない方向へ転がっていく。(少女教室)学園、ホラー、メタミス、エログロ、SF。少女20人の死をテーマに紡がれる、5つの本格ミステリ。