出版社 : 光文社
鎌倉の旅から帰った幹次郎らは、玉藻と正三郎の祝言を数日後に控え、忙しい日常に戻る。麻のための離れ家も着々と完成に近づき、祝いの空気が流れる秋。しかし幹次郎は、吉原が公儀から得た唯一無二の御免状「吉原五箇条遺文」が狙われていると直感していた。襲撃される幹次郎と汀女。張り巡らされる謀略と罠。新吉原遊廓の存続を懸けた戦いが、再び幕を明ける!
家庭には無縁と思い込んでいた小説家の愛葉條司の考えは、娘・愛の誕生で一変する。妻の志帆と共に成長を愛しく見守る日々の中、己を必要とする存在があることを知ったのだ。だが、愛が間もなく三歳になるころ、異変は突如降りかかる。その引き金は志帆の抱える深い闇だった…。親と子、妻と夫、男と女。流れていく生の中で逃れえぬ関係を鮮烈に描く衝撃の長編。
OA機器を扱う会社で働く西原早季。彼女には憧れの上司がいた。佐藤恭平ーイケメンで気さく、営業成績トップの社のスター的存在だ。妻を亡くし、幼い娘と暮らす彼の魅力にのめりこんでゆく早季。だが、彼の家には、もう一人の女性がいた。信じられぬほど若く美しい亡き妻の母・温子。いつしか女たちの中で殺意が膨れあがってゆく…。戦慄のサスペンス長編!
ここは友々家。国内外に総数百二十七店舗を展開する他人丼のチェーン店だ。ひと癖ある社長と創業者会長の元、左遷組、転職組、離婚した主婦、家出青年と、いろんな店長たちが奮闘中。不満は山ほど、疲れも溜まりトラブル多発。でも店長たちは今日も明日も、誰かのために店を開けています。さあ、いらっしゃい。超絶技巧のトロトロ卵で、きっと元気になれますから。
木下勇介に第二子が誕生したその日、勤務先の証券会社が業界大手に買収された。妻が退院するまでの間、長男の世話に追われる勇介に、過酷な必達ノルマが課せられる。残された猶予は一週間!成果至上主義の新任部長を相手に、勇介は証券マンとしてどれだけの力を発揮できるのか!?現役証券マンにして、二児の父である著者が描く、リアルお仕事小説!
伊勢屋の婿養子がまた死んだ!婿をとったお嬢さんは滅法器量よし、お店は番頭任せで昼間から二人きり。新婚は、夜することを昼間する、なんざ、それは短命だ…。ところがご隠居さん、次々に死んだお婿さんの死に方を聞くと、何やら考え始めてー。(「短命の理由」)古典落語の裏側に隠れている奇妙なミステリー、ご隠居さんの謎解きが始まる!
超人気漫画家・神野拓が指導する新人育成プロジェクトに、ワケありの三人が集まった!再デビューを目指すが伸び悩む滝川あさひ。会社を辞めて漫画家を志す林一樹。絵は下手だが発想力は人一倍の星塚未来。しかし、彼らが共同生活を送る一軒家には、編集者や家族らが入り乱れ、騒々しいことこの上なし。それでも切磋琢磨の日々を送る三人はデビューできるのか!?
定年退職を間近に控えた妙子は、十年前に消えた夫の行方を探すため東京にやってきた。慣れない土地でのひょんなトラブルから、谷中にある宿泊施設、近江寮にたどりつく。個性的な管理人や常連客の貧しい食生活を見かねた妙子は彼らの食事を作り始めるが、その料理はやがて人々を動かし、運命を変えていく。そして彼女自身もー。おいしくてせつない、感動長編。
明治・大正期の文豪を研究テーマにしている浜村幸平は、雑誌からの執筆依頼に、森鴎外が九州の小倉時代に雇っていた家政婦のことをテーマにする。現地取材をするうちに見えてきた謎。浜村の前に現れたのは壮大な歴史ミステリーに関わる「事件」だった。(表題作)銀行の外務係が書道を習い始めると、事件が起こる“日常ミステリー”作品「書道教授」も併せて収録。
『不思議の国のアリス』や『オズの魔法使い』を挙げるまでもなく“少女”が活躍する名作は数多い。成人女性にはない、少女特有の未熟さや危うさ、刹那的な美しさが魅力となり、作品をいっそう引き立てているのかもしれない。ミステリーにおいても少女は格好のテーマで、本書に収録した13の作品に登場する少女たちは、いずれも謎めいた妖しい煌めきを放っている!!
1997年暮れ、彗星のように現れたオリジナル・アンソロジー「異形コレクション」。独創的な企画と新しい書き手の発掘で、ホラー、SF、ミステリー、ファンタジー界に大きな衝撃を与え続け、2011年には、ついに48巻を数えた。今回、千編を優に超える全収録作の中から、涙を誘わずにはいられない詩情豊かな物語十編をセレクション。どうぞハンカチを用意してお読みください。
上絵師として、初めて着物を手がけることになった律。粋人として名を馳せる雪永が親しい女に贈るものだ。張り切って下描きを仕上げる律だが、なかなか良い返事がもらえない。そんな中、ある女から金を騙し取ったという男の似面絵を引き受けるのだがー。涼太との恋、仕事への矜持。心を揺らしながらもひたむきに生きる女職人の姿を描く、人気シリーズ第三弾。
「猫の蚤とりになって無様に暮らせ!」主君の逆鱗に触れた長岡藩士・小林寛之進は、猫の蚤とりー実は“淫売夫”に身を落とす。下賎な生業と考えていた寛之進だが、次第に世に有用な、むしろ崇高な仕事だと確信する。ところが政権が変わり、蚤とり稼業が禁止に。禁令の撤廃を願い出る寛之進だが…。(表題作)江戸の浮き世を懸命に生きた愛すべき人々の物語、全六編。
小説を愛してやまない文芸編集者の澤野逸郎は、文芸誌“小説○○”の編集長になった。妻と双子の娘に囲まれ、幸せの絶頂かと思われたが、気づけば編集部には鬱が蔓延、作家とのトラブルも続き、やがて大量の薬に溺れるようになる。時を同じくして、部下である新人編集者の豊嶋と不倫関係が始まった。薬と肉欲にまみれた逸郎を、不幸の連鎖が襲う。その行き着く先はー。
彼には野望があった。それは旧日本軍が保有した連合艦隊すべてのプラモデルを作り上げること。決して捜査の先陣を切ったり、本部の方針に逆らったりすることじゃない。なのに、事件解決の手がかりが勝手に降ってきて…。田中署長に、平穏な日々はいつ訪れる!?一読、にやり。軽快な筆致の傑作ユーモア警察小説。
いとこのユースティスとともに、突然ナルニアに呼び戻されたエドマンドとルーシーは、カスピアン王やリーピチープと再会し、行方不明の7人の貴族を探す船旅に同行することに。だが行く先々の海域には、未知の生き物や、一行の心を惑わす不思議な出来事が待ち受けているのだった。
再会は雪降る静かな夜だった。店にやって来た女性は、流葉爽太郎の中学時代の級友・菜摘。ふと淡い思い出が蘇る。もちろん彼女の訪問には理由があった。それは日本初上陸となる海外ファッション・ブランドの広告制作依頼。彼らの前に立ちはだかる無数の壁、少しずつ近づく二人の距離。そして、プライドをかけた広告戦争の行方は!?流葉シリーズの新たなシーズンが始まる!