出版社 : 光文社
無職宿ナシの亀谷幸慈は、秋葉原でカツアゲされていた記憶喪失の青年を助ける。元天使だと自称する彼を利用して小金稼ぎをもくろんだ幸慈だが、失敗して絶体絶命の窮地に。そこに、一人の女性が救いの手を差し伸べてくれた。彼女の家「猫の森」で始まった六人の共同生活。それは不思議なやすらぎに満ちたものだったのだが…。コミカルにして哀切な傑作長編!
花の街として知られる地方都市・光咲市。花屋「あかり」を経営する榊竜は、客たちから花に詳しい少女・美咲の噂を耳にする。三つ編みの可憐な少女は謎解き名人で、花にまつわるトラブルを必ず解決するというが…。ある科学者が植物に対する画期的な研究を進める中、花に導かれ、少女と人々が絆を結んでいく。切なさと感動が溢れるファンタジー&ミステリー。
青い海に面し、間断なく波の音が運ばれてくる架空の町。そこの大学予備校に通う榊山は新学期の教室で奔放な情熱家の鵜飼、静脈の浮かぶ巨きな頭の吉良と知り合う。十代の男女の愛と友情が交錯し、燃焼する青春の饗宴「花筐」。戦後の混乱期に破滅へと傾く誇り高い男を描く「元帥」、『火宅の人』へと連なる「誕生」など“浪漫的放浪者”檀一雄の特質を伝える短編集。
「魔の海」と恐れられる小笠原諸島沖で、行方を絶っていた大型クルーザーが発見された。船には九名が乗っていたはずだが、船内は無人で荒らされた様子もなかった。用意された人数分の朝食と不気味に切り刻まれた後方マスト…。やがてクルーザーを発見したヨットマンたちが、次々と変死をとげていく。十津川警部が海の怪事件の謎に挑む傑作海洋ミステリー!
将軍家慶の側に仕える御小姓頭取が乱心した。事件の責任をとって、小姓を束ねる立場の御小姓組番頭・橘右近は逼塞処分に。将軍の毒味役を務める矢背蔵人介は、この乱心が、橘を陥れる策謀だと見抜き、背後の敵を探り始めた。しかし、橘と蔵人介は命を狙われ、矢背家にも討手が向かう。そして、橘は、幕閣の糾弾に命をかけた訴えに出たがー。滂沱の第二十三弾。文庫書下ろし長編時代小説。
江戸の町奉行の手が届かない関八州は、悪党の逃避先。そこで彼らを江戸に引き戻すための賞金稼ぎー追い首たちがいた。旗本三男の白光新三郎もその一人だが、出世欲にまみれた長男に金を巻き上げられてばかり。それでもめげずに、無愛想で魁偉の大黒主水、追い首の元締めに仕える利吉と共に、関八州を駆け巡る!個性豊かな三人が繰り広げる痛快無比の時代小説。
またしても同僚の殉職を経験し、心身に疲弊の残る姫川玲子が入ったのは、葛飾署管内で起こった若い女性の殺人事件捜査本部。心機一転、捜査に集中する玲子だったが、すぐに行き詰まってしまう。有力な被疑者がすでに別の所轄に逮捕されており、情報が流れてこないのだ。玲子は、あらゆる伝手をたどり、事件の全体像を探りはじめるが…。
日本を代表する総合電機の巨大メーカー・コクデンは、巨額損失に端を発した不正会計の発覚から壊滅的な危機に追い詰められ、高性能の新型電池を使った市場開発のためにEV(電気自動車)の事業の可能性を探る。一方、経営不振にあえぐ軽自動車メーカー・イナズミでも新たな市場を求めて、EV開発へ動き出す。さらに、世界的自動車メーカー・タカバの専務・野中は次世代車として、EVを打ち出すことで社内のイニシアティブをとるべく、そのイナズミに照準を合わせて動き出すー。世界の状況が一斉にEVに向かって動きだしたいま、先手を取らねば生き残れない!めまぐるしく変動する市場とテクノロジーの激流の中、企業の生死をかけて戦う男たち!ビジネスの熾烈な世界を知り尽くした著者が活写するビジネス・エンターテインメントの決定版。
実業団「ワトー電器」所属でオリンピックを目指していたマラソン選手・千吉良朱里は、突然チームが休部となり、浪華女子大学で創設される駅伝部に監督として就任要請を受ける。すでに選手としてのピークを過ぎた朱里は、指導者としての道を歩む決意をするが、新設されたばかりの駅伝部は部員ゼロからの状態でスタートしなければならず…。スポーツ小説の名手が大学女子駅伝の世界をリアルに描いた青春小説の傑作!
戦乱に揺れる奥州の名家、伊達家の長男に生まれた藤次郎。孤独な少年期を過ごしていたが、父から家督を譲られる。伊達の頭領となった藤次郎政宗は、奥州統一を目指し腹心片倉小十郎とともに走り始めたが、最大の窮地が訪れるー。壮絶な戦闘、感涙のシーンを満載した“独眼竜”政宗。オリジナル原稿に大幅加筆した著者渾身の作品。上中下巻同時刊行。激闘の上巻。
伊達家当主として奥州統一に乗り出した政宗。しかし、佐竹、大崎、蘆名との度重なる戦いで苦戦が続き、身内からも命を狙われる事態となる。そんななか、豊臣秀吉が天下人となった。最上との戦いが奥州惣無事令に反したとして秀吉に呼び出された政宗は、一世一代の「勝負」に出る。オリジナル原稿に大幅加筆した著者渾身の作品。上中下巻同時刊行。調略の中巻。
奥州一揆を引き起こしたとして豊臣秀吉に京へ呼び出された伊達政宗。秀吉の手元には政宗直筆の手紙と花押が。政宗は最大の危機を窮余の一策で乗り切る。盤石に思われた豊臣政権が秀吉の死で崩壊。そして、関ヶ原、大坂の陣を経て天下人となった徳川家康に、政宗はどう挑むのかー。オリジナル原稿に大幅加筆した著者渾身の作品。上中下巻同時刊行。感涙の下巻。
まるで吸い寄せられるように二人の男が訪れた廃車置場。そこにうち捨てられた冷蔵庫の中にいたのは、死にかけた裸の幼女だった。男の一人、住職の浄鑑はその幼女ミハルを引き取ることにする。だが、彼女が寺に身を寄せてから、集落では凶事が続き、人々の間に邪気が増殖していくー。ミハルとはいったい何者なのか?まほかるワールド全開の、サスペンス長編!
「まんじゃしろ」に祭られている美森さま。過疎が進む山村、美森町の守り神だ。去年越してきたなんでも屋・岩室猛志と、地元出身の大学生・貫行詐織は、町で起こる事件を解決すべく探偵ユニット“竿竹室士”を結成した。事件の数々は、美森さまのお使いが起こしていると言うが、それって本当…?不思議な存在と民俗学、SFが交錯する、新感覚のミステリー!
祖母の蔵書に挟まっていた一通の手紙。宛名はヒッチコック。差出人は祖母の旧姓だが、心当たりはない。誰が何のために挟んだ手紙なのか。開けて読んでみると、祖母のかつてのルームメイトからのメッセージで…。(「恋文」)大食い・本好き美少女エミールと、ジャンク映画フリーク男子のユキサキが、解かれないままになっていた謎を読み解いていく!
王都へと急ぐ女騎士・エステルら一行が雨で足止めされた町に、魔軍の怪物たちが襲来する。その窮地に現れたのが、ダリューンらパルス精鋭軍だった。ついに並び立つ十六翼将。だが、魔の山デマヴァントの地底では、蛇王ザッハークが縛めを解かれ、自由の身になろうとしていた。さらに、深傷を負ったエステルの運命は!?衝撃的展開をみせるシリーズ第十三弾!
蝶ヶ岳で遭難し救助された物部佐千子。ところが、道後湯之町の自宅に戻った数日後、何者かに刺殺される!事件を追う安曇野署の刑事・道原伝吉は、部下と共に愛媛・松山へ。関係者を辿るほどに浮かび上がる不審な人々と、佐千子が抱えていた悲しき過去…。「文学のまち」と美しき山々を舞台に、道原の推理が冴え渡る。名手の仕掛けた謎の連鎖に唸る山岳ミステリー!
取材でラオスの首都ビエンチャンを訪れていた石田伸一が、メコン河畔で死体で見つかった。谷口爾郎は取材と称し、石田の死の真相を調べるべく、ビエンチャンに入る。石田の通訳兼ガイドとして共に行動していた山本実に案内を頼み、死ぬまでの足跡を辿っていくが…。内戦に揺れるラオス国内の混沌とした現状が殺人事件と絡み合い、謎は深まるばかりー。