出版社 : 光文社
証拠品鑑定のため、粒子加速器をもつ研究施設を訪れた検事の菊園綾子。だが鑑定中に加速器が暴走し始める。一方、調査のため弁護士の森江春策と共に西洋館を訪れた菊園は、密室殺人事件に遭遇する。菊園が推理を披露しようとしたそのとき、加速器の影響で彼女は異次元へ飛ばされてしまう!真相を見抜かないと元の世界に戻れない!?奇想爆発の本格ミステリー。
金目当ての義父殺害を疑われる峰岸諒一は、かたくなに無罪を主張していた。弁護人・衣田征夫は、肝心な点で証言を濁す彼に終始翻弄されるが、アリバイの証明により無罪が確定し、釈放に。ところが、間もなく峰岸の死体が発見される!冤罪事件に端を発し、めまぐるしく浮上する疑惑の果てに潜む真実とは!?予想は即座に裏切られる展開に、驚嘆必至のミステリー!
オフィスビルの地下三階にひっそりと佇む店。そこで売られている何の変哲もない折りたたみ傘の値段が、十万円だというのだが…。(表題作)「妻」を名乗る女性から毎日かかってくるようになった電話。だが、その甘い声は妻のものではない。食事に誘うと、やって来たのは見知らぬ美女だった。(「ある日の妻」)ショートショートの魔術師が贈る、魅惑の二十五編を収録。
水中綱引きの神事で賑わう福井県若狭の名勝日向湖に男の死体が流れ着く!その一年後、東京・高島平で広告代理店勤務の細野久男が絞殺された。細野が死の前に、同人誌に発表していた短編小説「死舞」には、若狭を舞台とし、黒い服の男の謎の行動と暗い過去が描かれていた。浅見光彦は、小説が結びつける二つの殺人事件の接点に引きつけられ、若狭へ向かう!
あたしって、ついてない。三つ目の働き口をなくし、るいは途方に暮れていた。母を早くに亡くし、左官をしていた父もぽっくり逝き、天涯孤独の身だ。その死んだはずの父が困りものなのだが…。ふと入った路地で見つけた「働き手を求む」の貼り紙ー。この世ならぬ者が見える少女が、ちょっと迷惑な父とともに、人助けならぬ亡者助けに奔走する!痛快時代小説。
小伝馬町から囚人たちが切放しになった。囚人たちに恐れをなし、町から人気は消えた。そんななか、縁切り寺「慶光寺」の御用宿「橘屋」の雇われ人である塙十四郎は、殴られていた男を救い出す。その男の口から出てきた話は、にわかには信じられない話だった。そして、最後に待っていた衝撃の結末…。涙なくしては読めない珠玉の作品が詰まったシリーズ第五作!
一人の伊賀忍びに大御所・徳川吉宗が殺害されて二年。その忍びは、長屋で平穏な暮らしをしていた。しかし、富士講に出た長屋の者が皆殺しにされる。仇を討たんと、「コノハズク」とあだ名されていた伊賀忍び「竹次」は、長屋の人々の死の真相を探り始める。そして、辿り着いた驚愕の真相とはー。富士山と尾張藩を舞台とした、著者ならではの大スペクタクル活劇!
駿河国汐崎藩の御刀番を務める左京之介。汐崎藩元藩主の御落胤で久能山東照宮の別当代となった祥慶から、秘蔵されていた相州五郎正宗が盗まれたと知らされる。五郎正宗探しに乗り出した京之介の前に現れたのは謎の修験者集団「黒法師」。はたして五郎正宗の行方は。そして、五郎正宗を奪わせた真の黒幕とはー。ますます好調の人気シリーズ、会心の第五弾。
将軍の毒味役「鬼役」を務める矢背蔵人介。将軍を誹謗する落首を書いたとして、知己の奥医師が切腹を申し付けられた。冤罪を晴らさんと動く蔵人介の前に立ちはだかったのは「甲賀五人之者」と呼ばれる手練たち。その一人を斬ったことで蔵人介は謎の勢力を敵に回すこととなった。想像を絶する強大な敵を相手に、蔵人介の運命やいかに。次作へつながる胸騒ぎの第十九弾。
勤め先の大病院の不祥事隠蔽を批判し、犬吠の地方病院に飛ばされた父。製薬会社に関係の深い実家を気にして、父についていこうとしない母。都会暮らしが好きなのに、父をひとりにできなくて、ついていったぼく。お母さんを責めないで!と言いながら、密かに自分を責めていた妹。たとえ自分は離れても、いつまでもそこにあってほしい、ぼくたちの「家」。それは、わがままだろうか。家族でいるのが大変な時代の、親子四人の物語。
「貴様はどうも面白うないぞ!」生真面目な池田恒興は、不満げな主君・織田信長から秘伝書を渡される。そこには、戦や政において彼が感得したことが記されていた。本能寺の変にて信長亡き後、喪失感にさいなまれる恒興。なぜなら、乳兄弟でもあり、最も古い家臣の一人として彼の背中だけを見つめてきたのだ。遺された秘伝書は、苦境の度に恒興の危難を払ってくれる。長久手の戦いの絶体絶命の窮地にも、それが救ってくれると信じていたが…。時代小説の若き新星が、戦国の世のトップに仕えた男の苦悩と葛藤を描く、書下ろし長編!
働かず、ひたすら酒代をせびる父から逃げるため、泥酔した父の前に農薬の小瓶をおいた青年・聖人。家から逃げ出した彼の前に現れた黒ずくめの女性・日和満。自らをヒワマンと呼ぶ彼女から旅の同行を頼まれた聖人は、ヒワマンとともに一度、家に戻るのだが…。仕事、親の介護、熟年離婚、そして日本という国が抱える病。人生の綻びに戸惑い、今に苦悩する人々が、ふとしたきっかけで、ヒワマンと出会い、新たな希望を見いだす様を描く、新次元のミステリ!
東京で東日本大震災に遭遇し、テレビに映る被災地の映像に激しい衝撃を受けた文芸編集者の山下亜依子は、編集長の小暮から、被災地である仙河海市出身の作家・武山洋嗣に原稿を依頼できないかと持ちかけられる。武山のことはデビュー時に担当していたものの、本を一冊出したきり、三年前から音信不通になっていた。その武山に、こんなタイミングで、執筆の依頼などしていいものか。一方、震災以後、書けなくなってしまっていた担当作家の桜城葵からは、新作の取材のために仙河海市に入りたいと持ちかけられて…。
マスター、山内、工藤のヤクドシトリオと、大学院生の桜川さん、アルバイトのいるかちゃんが、ノスタルジックな酒場談義を繰り広げるバー“森へ抜ける道”に、現役刑事がやってきた。桜川さんの酩酊推理が数々の難事件を解決してきたことを聞きつけ、その実力を見極めようというのだ。桜川さんは、ひたすら脱線し続ける話題の中で、事件の真相を探り当てられるのか?縦横無尽の酒飲みトークと不可能犯罪の意表をつく推理。
梶亮平、27歳。ブラック企業体験記が、初めて月刊誌に掲載された。それを見たという美帆子から四年ぶりに電話が入る。学生時代、家庭教師をしていた少年の母親だ。中学受験を前に少年は交通事故で亡くなった。後に刑事の事情聴取に応じた際、亮平は思い知る。あの一本の電話から事件に巻き込まれることになったのだと。リアリズムの名手、初の犯罪ミステリー。
女は小さな声で、マリモ、と言ったー。家具ショップで働き、妊娠中の妻と何不自由のない生活を送る悠太郎。ある日店に訪れた女性客と二度目に会った時、彼は関係を持ち、その名を知る。妻の出産が迫るほど、現実から逃げるように、マリモとの情事に溺れていくが…。(「雨のなまえ」)答えのない「現代」を生きることの困難と希望。降りそそぐ雨のように心を穿つ五編の短編集。
妹の結婚式のため平安神宮にやって来た野島高志は、二十年前に婚約破棄をした早希のことを思い浮かべた。以来、会うこともなかったが、ふと近況が気にかかり、今も京都に暮らす早希の妹・真希を訪ねる。そこで彼は思いも寄らぬ真実を知り…。(「戻り橋」)恋や情念が盛り上がった後に漂うそこはかとない寂寞感。欲望の向こう側に広がる儚い人間模様が描き込まれた連作短編集。
王都エクバターナの街で、アルスラーンとエラムが魔物に襲われる。蛇王ザッハークの魔の手は確実に忍び寄っていた。一方、ミスル国で玉座を狙い雌伏するヒルメスは、美しき孔雀姫・フィトナと運命的に出会う。彼女の腕には謎の銀の腕環が…。そして魔の山デマヴァントに閉じこめられたクバードたちの運命は!?パルスの新たな歴史が動きだすシリーズ第十一弾!