出版社 : 光文社
“日本人の心の故郷”を描き続けた長谷川伸が主宰した小説勉強会「新鷹会」は村上元三、山岡荘八、山手樹一郎、池波正太郎など多くの人気作家を輩出し、今に続く。その一人でもある平岩弓枝の監修による本書は新鷹会作家による十篇を収録。町人から侍、浪人、渡世人まで、江戸の町に自分の居場所を求め、懸命に生きる人々の痛切な心情が胸に響く、傑作時代小説集!
江戸府内で若い娘が次々に姿を消した。将軍の毒味役、御膳奉行の矢背蔵人介にそう教えてくれたのは勘定奉行の遠山左衛門尉景元だった。そして、蔵人介までが姿を消す。蔵人介が連れていかれたのは、娘たちが囚われている場所。そこには「地獄」が待っていた。はたして蔵人介は脱出できるのか。著者渾身の剣戟シーン満載!人気沸騰中の鬼役シリーズ、驚愕の第十五弾。
須崎茜は私立藤ヶ丘女子高校に通う俳句好きの女の子。ある日、俳句に否定的な国語教師と授業で対立したことをきっかけに、俳句の趣味を理解してくれるトーコという友人ができる。2人は「俳句甲子園」を目指して俳句同好会を設立するが、出場に必要な人数は5人。メンバーを集めるため、茜とトーコは校内を駆け回る。俳句経験者の茜、切れ者のトーコ、書道有段者の真名、音感の鋭い理香、口達者な夏樹、情緒豊かな瑞穂…初めはばらばらだった6人の個性が“俳句バトル”で輝きを増す!少女たちの友情と成長がまばゆい、圧倒的青春小説!!
沖縄本島北部の法テラスに派遣されてきた弁護士・阿礼沙英子。オジィオバァの方言通訳を命じられた事務員の大城を従え、縁もゆかりもない琉球の地で、厄介な民事事件を率直すぎる発言で一刀両断にします!
なぜ男は、10人を殺害し、6人の女とともに集団自殺を遂げたのか。なぜ女は、ただひとり、生き残ったのか。30年を経て、なお多くの謎に包まれたままの「木裏事件」。命を落とした者は20人に迫り、信用に足る証言は少ない。事件に関連して叔父を亡くしたジャーナリストは、渦中にいながら今もなお生きながらえているひとりの女性の行方を突き止める。彼女の口から語られた、事件の意外な真相とはー。稀代の惨劇の1年にわたる経過を追い、謎多き犯人の実像に迫る、圧巻のフェイク・ドキュメンタリー。
官能的な寓話「薔薇とハナムグリ」、眠り続けるモグラの怪物の夢に操られる島民の混乱を描く「夢に生きる島」。ほかに「ワニ」「疫病」「蛸の言い分」など、シュールで風刺のきいた世界が堪能できる20世紀を代表する作家モラヴィアの傑作短篇15作。「読まねば恥辱」級の面白さ!
武田家の若き忍び・市勘は、軍師・山本勘助に育てられ、武田信玄にも重用されていた。二俣城攻めで戦功を上げるも、重傷を負い気を失う間に、運命のおなご・里々がさらわれてしまう。人身売買に手を染める商人に売られた里々を救い出すため、自らも奴隷として買われた市勘。果たして奴隷商人の手から脱出できるか!?期待の新人時代作家が壮大なスケールで描く時代冒険譚!
“今宵、汝の娘は一人、水に浮かびて殺さるべし”紅霊教教祖の孫娘は、湯槽の中で血まみれとなって殺され、予言は的中する。だがそれは、呪われた一族に襲い来る悲劇の序章に過ぎなかった…。教祖を大伯父に持つ旧友の鬼気迫る依頼で、教団本部に出向いた松下研三だったが、ついに神津恭介に救援を求めた。名探偵は、恐るべき凶事の連鎖を止めることができるのか!?
新宿署に異動直後、上司となる桃井と鮫島との出会い。飛び降り自殺を図ろうとした少年と関わる晶。鮫島の宿敵・仙田、鑑識官の藪…。シリーズに登場する個性的な人物たちの意外なエピソードから、人気コミックの主人公である両津勘吉や冴羽〓(りょう)との共演まで。孤高の刑事・鮫島の知られざる一面が垣間見える短編が勢揃い。「新宿鮫」にしかない魅力が凝縮された全10作品。
夫をひき逃げで失った浅井久子。夫の命日に事故現場を訪れた彼女の前に現れたのは、交通事故がきっかけで殺された内海政子の幽霊だった。奇妙な幽霊との同居が始まり、次第にわかってきた政子の過去。久子は政子が気になっている娘探しを始めるが、2人の奇妙な接点から事件の真相が明らかに!サスペンスの名手が挑んだ社会派ミステリーの傑作が待望の文庫化。
安曇野のコンビニで無銭飲食をし捕まった男・左東。供述した名前も住所も、すべて嘘だった。安曇野署はあえて左東を泳がせたが、彼が入り込んだ空き家が放火される。しかも放火犯として捕まった女・及川もまた身元が分からない。二人に共通する東北訛りに気づいた刑事・道原伝吉は、岩手県の平泉から早池峰山へと向かう。二人の間に隠された秘密に迫ることが出来るのか!?
警視庁行動科学課は、不審死や迷宮入りした事件、事故などを科学的に解明すべく設けられた部署である。FBIで捜査の訓練を受けた上條麗子刑事は、犯人像作成のプロフェッショナル。日本で初めてME(メディカル・イグザミナー)の資格を取った一柳清香特別検屍官は、司法解剖で死体の異状を見つけ犯罪を推理する。下町を舞台に、幼なじみコンビが難事件を解決!
弟が、自分の元彼女と結婚!?(「墓前式」)姉の結婚式の真っ最中に、昔の男現る!?(「ビーチウェディング」)父親が、再婚直前に浮気!?(「結婚記念写真」)-人生最大のイベント、結婚を機に発生した、思いがけぬ「家族」の問題。さあ、どうする?関係に悩み、互いに衝突しつつも、問題を乗り越えて新しい絆を結んでいく男女の群像を描く。ほろ苦くも温かい、幸せを結ぶ珠玉の短編集。
二十歳の繭村甲斐子は、大きな瞳と高い鼻、豊かな乳房とくびれたウエストを持つ女性だった。だが、彼女は名医・大曾根に懇願し、全身整形をする。一方、同郷の望月阿倍子も、社会人となった新生活を機に整形。その姿は甲斐子そっくりになった。正反対の考えのもと、整形をした二人の、整形後の運命はいかにー。美しさとは?幸福とは?根源を問う衝撃作。
本好きの間では、骨董的価値の高い本を古書、そうでないセコハンのものを古本と呼び分けたりもしますが、本書では個人蔵書、貸本等も含め、新刊書店で売られている以外の書籍を“古書”と称しました。ひとたび指紋のついた本には、往々にドラマがつきまとい、ミステリアスな雰囲気を醸します。そんな謎に充ちた傑作ばかりを収めた好評の推理アンソロジー第三集!
駿河国汐崎藩の御刀蔵から妖刀村正が盗まれた。徳川家に仇なす刀ゆえ、所持が公儀に知れれば汐崎藩の取潰しは必至。藩主から命を受けた御刀番・左京之介は村正の行方を追うが、その前に不審な忍びが立ちはだかる。そして、忍びの背後にはとてつもない敵が潜んでいた。京之介の孤独な闘いが始まる。そして、衝撃の結末とは…。著者渾身の壮大な新シリーズ開始。
新陰流など数々の流派の源流となる「影流」を開いた愛洲移香。剣術史に大きな足跡を残しながらも、その生涯は謎に包まれている。少年だった移香斎が、妖術を使う宿敵・烈拐との死闘や、北畠家の娘・胡蝶姫との愛、明国への渡航などを経て成長し、やがて神秘的な体験の末に影流を開眼するー。伝説の剣聖の波乱万丈の生涯を。圧倒的なスケールで描く時代巨編!
東京・三鷹の空き家の床下から男の白骨死体が発見された。ポケットには、二年前の高山行き「ワイドビューひだ十三号」の切符が残されていた。飛騨高山へと向かった十津川警部は、七年前、市議の妻と駆け落ちして消えた男の話を聞く。市議はその後、元大臣の娘と再婚し、国会議員になっているのだが…。さまざまな圧力を撥ねのけ、十津川が暴く恐るべき陰謀とは?
当代一の誉れ高い絵師・円山応挙の弟子・吉村胡雪こと彦太郎。その応挙の絵を絵図とこき下ろし、我こそ京随一の絵師と豪語する深山箏白こと豊蔵。彦太郎が豊蔵を殴りつけるという最悪の出会いから、会えば喧嘩の二人だが、絵師としては認め合い、それぞれ名声を高めながら数奇な人生を歩んでいくー。京画壇華やかなりし頃を舞台に、天才絵師の矜持と苦悩、数奇な生き様を描いた、読みごたえたっぷりの傑作時代小説!