出版社 : 光文社
ペテルブルグの夜を舞台に、内気で空想家の青年と少女の出会いを描いた初期の傑作「白夜」。自殺を決意した男が夢から覚めた後、真理を発見し、自殺をとりやめるという幻想的な短篇「おかしな人間の夢」ほか、長篇では味わえない、“らしくない”ドストエフスキーに出会える珠玉の4作。
牛鬼と死闘を演じ、かまいたちの風鎌を土に還した男。拝み屋・播磨遼太郎は、真朱の街の妖改たちにとって最も警戒すべき敵だ。百目と助手の邦雄は、その謎に包まれた過去を探ってゆくのだが…。一方、県警妖怪対策課の忌島は、播磨から想像を絶する話を明かされる。人間のみでなく妖怪をも食う恐るべき妖怪“濁”を倒すための計画とは?人気沸騰シリーズ第二弾!
薬やその調合技術、秘具性具に精通するよろづ光屋の情ノ字。名に反して、情など一欠片もない彼は、他人を信じない。唯一心を許すのは白犬の鞆絵だけ。しかし、無垢な夜鷹・おしゅんにだけは惹かれた。市井の者から大奥まで身分を問わず、萬の悩みに耳を傾ける中で見出す人間の愚かさ、美しさ。五代将軍・綱吉の世を舞台に、性の深淵とまことの尊さを描いた江戸人情譚。
横浜から宮崎へ向かうフェリーに愛車とともに乗り込む、ただならぬオーラを放つ男。警察庁の秘密捜査官・西城秀夫だ。巨大暴力団の力を背景に、血で血を洗う抗争が繰り広げられる北九州へー。組織暴力団壊滅の指令を受け、単身、乗り込むのだ。超人的な膂力と銃の腕前を駆使し、別府、博多、長崎と、西城は熾烈な闘いを繰り広げてゆく!傑作アクション長編。
ミステリ作家を目指す日比谷研介は神保町すずらん通りの「ベルサイユ書房」でアルバイトを始めた。そこは男装の麗人・剣崎瑠璃子店長、“カリスマポップ職人”の美月美玲など、濃いキャラの書店員ばかりが働いていた。しかも穏やかなバイト生活と思っていた研介の前で、次々と不可思議な事件が発生し…。気鋭のミステリ作家が贈る破天荒にして新たなる書店ミステリー!
芭蕉の一番弟子と謳われながら、一門に馴染めない俳諧師・其角と、豪放磊落な絵師・多賀朝湖(後の英一蝶)。二人は、不思議と馬が合った。ある夜、吉原の揚屋で太鼓持ちとして宴を盛り上げていた彼らは、二人の太夫に頼みがあると呼び出される。近頃、屏風に描かれた犬が動くところを見た遊女が、次々と姿を消している。その謎を解いてほしいというのだ。女たちを救うため、二人は奔走するが…。女たち、そして男たちの息苦しいほどの哀切を描く、著者渾身の書下ろし時代小説!
弓原公一が部長を務める水楢中学校野外活動部は、夏休み恒例のキャンプに出かけた。しかしその夜、キャンプ場は武装した半グレ集団・関帝連合に占拠されてしまう。彼らの狙いは場内のどこかに隠された四十億円ー振り込め詐欺で騙し取ったものだ。関帝連合内部の派閥争いもあり、現金回収を急ぐリーダー・溝淵はキャンプ場の宿泊客を皆殺しにし、公一たちは囚われの身に…。そのとき、何者かが関帝連合に逆襲を始めた!圧倒的不利な状況で、罪なき少年少女は生き残ることができるのか!?
神宮前情報社(探偵社)のアンナ、ヨーコ、ノア。道で生きている貧乏猫の三人のもとにウドブノが転がり込んだ。ウドブノを日本に持ち込ませたのはヤクザの白瀬と三田村、道で生きている群れた犬のようなもので道の強者である。元々のウドブノの所有者ロシアの組織は、取引の不具合を怒りチョルト(暗殺者)を送り込む。元警察(はぐれ犬)の絵図師(裏稼業の策士)津屋崎は、アンナたちにウドブノを白瀬に売れば五千万円になると、デブなのに自信満々で持ち掛けた。頭にベーコンみたいな傷のある手下を抱える白瀬は切れ者の経済ヤクザ、簡単じゃない。そこで津屋崎は「善意の第三者」を登場させることを考えた。勝ち目は薄い、しかし、道の強者の鼻を明かしてやりたい。騙し騙され、二転三転どんでん返しのウドブノを巡る争奪戦が始まる、もう後には引けない!
定年を迎え、滋賀から上京した妙子。目的は10年前に消えた亭主の行方。“谷根千”にある近江寮で、うまいものを提供しながら、食べること、生きること、進むこと、を考える。大丈夫、私たちには、ごはんがある。小説宝石新人賞受賞作家が、おばちゃんの自分探しを切々と描く、初の書下ろし長編!
「くらがりに落ちた」。解決できなかった事件を奉行所ではそう言う。それらの事件を書き留めておくのが、南町奉行所永尋書留役である角野忠兵衛の役目。奉行所の角に忘れ去られた事件を地道な探索でくらがりから引きずりだす忠兵衛を、仲間の同心はいつしか“くらがり同心”と呼ぶー。窓際同心の人情味溢れる活躍を描いた人気シリーズから、著者自ら厳選した「精選版」!
出版社の営業部員・馬締光也は、言葉への鋭いセンスを買われ、辞書編集部に引き抜かれた。新しい辞書『大渡海』の完成に向け、彼と編集部の面々の長い長い旅が始まる。定年間近のベテラン編集者。日本語研究に人生を捧げる老学者。辞書作りに情熱を持ち始める同僚たち。そして馬締がついに出会った運命の女性。不器用な人々の思いが胸を打つ本屋大賞受賞作!
大手企業に就職したものの、うだつの上がらない日々に塞ぐ井上雅也。ある日、南青山骨董通り探偵社の社長・金城から突然話しかけられた。「探偵になる気はありませんか?」。雅也は訝しみながらも体験入社をするが、厄介な事件に関わることになり…。個性的なメンバーの活躍が、軽快なテンポと極上のサスペンスで繰り広げられる、ベストセラー作家の新シリーズ始動!
シングルマザーの新聞記者・久平可南子は心に決めていた。息子のために仕事は辞めない。父親の名は誰にも明かさない。取材の折、彼女を見つめる戦力外通告を受けたプロ野球選手・深澤翔介。ふと気にかかり、インタビューを試みると、彼には可南子の秘密を知る素振りがあって…。仕事、育児、生きがい。今、前を向くことのリアルを、ひたむきな再起の物語に込める。
「妻を抱いてやってくれないか」。勃起不全に悩む親友から思わぬ依頼を受けた兼之助。さらに妻との情事を電話で中継してくれと頼まれ…(表題作)。義父の通夜で、義母の淫靡な姿を偶然覗き見した太一。二人きりになった休憩室で、彼は思い切って…(「通夜妻」)。若妻、熟女、未亡人、女子大生たちが、抑え切れない欲望を激しく濃密に燃え上がらせる傑作官能短編集!
部屋いっぱいのバラの花に囲まれ、華やかなドレスを身にまとい、ロッキングチェアに横たわる死体。かつて子役スターだった彼女の死の真相をバラたちは知っているのかー!?(表題作)日常生活に溶け込んでいる動物や植物が、ミステリーの謎に結びつき輝きを増す。名手・日下圭介ならではの妙味を堪能できる傑作推理短編を厳選収録。色あせない芳醇な作品世界!!
紀伊勝浦藩主・安田義治に対して養子の慶次郎が謀反を企てている疑いがあり、ジョゼフ按針に慶次郎を捕らえるよう命が下る。しかしこれは、ジョゼフを再び陥れようとする老中の陰謀で、さらに慶次郎には出生の秘密が…。はたしてジョゼフはこの黒い罠を破ることができるのか!?イギリス人三浦按針を父にもつ、破天荒な旗本の活躍を描く時代活劇、待望の第二弾!
辻占を副業としている御家人の鏑木左京之介に、人足寄場の奉行から声がかかる。仕事の中身は寄場を放免になった錺職人・吉次郎を悪事を企む連中から守ることだった。晴れて寄場を出てなんとか仕事についた吉次郎だったが、その仕事には黒い影がちらつく。そして、背後にはさらなる闇が存在していた。左京之介が神刀自在流の剣で悪を断つ!異色の新シリーズ。