出版社 : 光文社
住人が相互に監視し、密告する。危険人物とされた人間はギロチンにかけられるー身に覚えがなくとも。交代制の「安全地区」と、そこに配置される「平和警察」。この制度が出来て以降、犯罪件数が減っているというが…。今年安全地区に選ばれた仙台でも、危険人物とされた人間が、ついに刑に処された。こんな暴挙が許されるのか?そのとき!全身黒ずくめで、謎の武器を操る「正義の味方」が、平和警察の前に立ちはだかる!
北関東の山間にたつグループホーム「若葉荘」。世話人は元天才少女小説家。居住者は自在に歳を重ねた高齢者たちと、車椅子暮しながら筋骨隆々の元刑事と、身寄りのない彼の姪。賑やかで穏やかな日々は、その冬いちばんの雪の日、とつぜん破られる。密室に転がった射殺死体の出現によってーホーム最年少の少女スタッフは、隠された因縁を解き明かし、真相に迫ることができるのか!?半世紀を超える筆歴を持つ日本一やんちゃな巨匠が、稚気と叙情と茶目っ気を縦横に駆使して描く、本格ミステリ長編!
粗忽者で有名な熊五郎の長屋に怒鳴り込んできた、これまた粗忽者の八五郎。「熊、おめえ浅草の浅草寺で死んでるぞ。この粗忽者め、死んだのに気がつかねえで帰ってきやがったな?」-いかにも落語ならではの粗忽噺『粗忽長屋』。しかし、浅草寺で行き倒れていた「熊五郎に瓜二つの死体」の正体はいったい?(表題作)。名作落語をもう一捻り、楽しさ溢れる推理落語開演!
神奈川県警藤沢南署の刑事・佐倉真理子は、辻堂で発生した殺人事件を担当することになった。女性の死体はズタズタに切り刻まれ、現場にはピースマークが印刷されたカードが遺されていた。まさかこれは、3年前に発生した連続猟奇殺人事件“アラストル事件”の再現なのか!?その夜、真理子の幼馴染み・水瀬智世がキャスターを務める“スクープアイ”では、気鋭の犯罪心理学者をゲストに招き、この事件をトップで取り上げたー。女刑事×ニュースキャスター。卑劣な悪は赦さない、Wヒロインが非道な犯人を追い詰める!気鋭が放つ、警察ミステリーの新機軸!
必ず勝つという3枚のカード。伯爵夫人がかのサン=ジェルマン伯爵から授かったというカードの秘密をゲルマンは手に入れるが…。現実と幻想が錯綜するプーシキンの代表作『スペードのクイーン』。皮肉な運命に翻弄される人間たちを描く5作の短篇からなる『ベールキン物語』。
美しい従姉アリサに心惹かれるジェローム。二人が相思相愛であることは周りも認めていたが、当のアリサの態度は煮え切らない。そんなとき、アリサの妹ジュリエットから衝撃的な事実を聞かされる…。本当の「愛」とは何か、時代を超えて強烈に問いかけるフランス文学の名作。
家にこもり、パソコン上で仮想少女との会話に没頭する青年・小出弘一。ある日、共に暮らす母親・雪子が何者かに殺された。捜査に当たる片山刑事は、生前の彼女が所有していた大金や、主婦とは思えぬ不穏な動向を知り、身辺を探り始める。弘一の元恋人・天宮亜由を巻き込みながら、片山とホームズが近付く闇の奥には何が?息もつかせぬ展開の大人気シリーズ第四十八弾。
伝説的映画監督の大森が、新作『災厄の季節』を撮る!若き助監督・宮藤映一も現場に臨むが、軽薄なプロデューサーや批判を繰り返す外部団体など周囲には難敵ばかり。軋轢に抗いながらの映画作りが進む中、スタジオで予期せぬ事故が発生!暗雲立ち込める状況で、完成に漕ぎ着けられるのかー。映画への情熱と、どんでん返しの妙が織りなす、一気読み確実のミステリー!
津久井操は科学警察研究所の職員。実際に起きた事例をもとに、「警察は事件の発生を未然に防ぐことができるか」を研究している。難題を前に行き詰まった彼女に、大先輩の大迫警視正が紹介したのは、あの『月の扉』事件を解決した座間味くんだった。二人の警察官と酒と肴を前にして、座間味くんの超絶推理が繰り広げられ、事件の様相はまったく違うものになっていく!
タワーが建設され活気を帯びる街、錦糸町。元大学准教授の鏑木は、理由あってこの街でヤクザの便利屋をしている。ある日、組の構成員・畠が逮捕された事件の調査を命じられるが、畠は釈放後に姿を消してしまう。相棒の京二とともに畠の周囲の金の流れを追ううち、とある大きな犯罪行為の存在が浮かび上がる。鏑木は、裏社会の欲望うごめく闇の奥に何を見るのか?
容姿も境遇もまったく異なる五人の女性。共通項は人妻、三十五歳、そして男性アイドルユニット「スノーホワイツ」の熱狂的ファンであること。ステージ上の「恋人」に注ぐのは、歪だけれど、狂おしいほどにひたむきな愛。たとえ手が届かなくとも、たとえ現実が悲惨でも、「彼」さえいれば、人生は美しいー。女の本音を余すことなく描いた“最凶恋愛小説”。
弟・太一の体に妖怪うわんが宿って七か月。真葛は病床にある父に代わり診療を続けつつ、九百九十九の妖を捕らえるため奔走していた。そんなある日、助力を求めてきた小石川養生所に向かう道中、真葛は流れ医師の春之に出会うのだが…。養生所に様々な怪異を起こす妖と、春之の背後に執拗にまとわりつく謎の黒い影。その正体とは?人気シリーズ待望の第二弾!
奢侈禁止令による風俗取締まりで、日本橋にあった芝居小屋は猿若町に移転。だが、依然として取り潰しの噂が囁かれていた。中村座の興行を仕切る新五郎に、御用商人の市郎兵衛がある取引を持ちかけた。千両を出せば、芝居小屋の存続を南町奉行の鳥居耀蔵に働きかけるという。そこには、般若同心・柚木源九郎の宿敵の影が見え隠れしてー。大好評シリーズ第五弾。
トップ屋集団「メトロ取材グループ」の杉田兼助は、同僚の高森映子とともに銀座のキャバレーで取材をするが、協力した映子の友人のホステスが屍体となって発見された。警察の自殺判定に納得がいかない映子は独自に調べ始めるが、彼女も殺害されてしまうー。本格ミステリ界巨匠の異色作品。読み継がれるミステリファン必読の短編「達也が嗤う」を特別収録。
戦後犯罪史に残る凶悪犯に降された死刑判決。その報を知ったとき、正義を信じる検察官・大友の耳の奥に響く痛ましい叫びー悔い改めろ!介護現場に溢れる悲鳴、社会システムがもたらす歪み、善悪の意味…。現代を生きる誰しもが逃れられないテーマに、圧倒的リアリティと緻密な構成力で迫る!全選考委員絶賛のもと放たれた、日本ミステリー文学大賞新人賞受賞作。
高名な彫刻家の杉原完三が、自宅兼アトリエから姿を消した。一ヶ月後、完三は武蔵野の林から遺体で発見された。犯人は誰なのか。高校三年生の息子・鉄男の出生の秘密、美貌の母と鉄男の異常な関係など、杉原家の抱える歪んだ家族関係が明らかになり、容疑は息子の鉄男に向けられるが、仰天の顛末とはー。「ギリシャ悲劇」を絡めた連城三紀彦初期の傑作長編ミステリー。
関ヶ原の合戦から30年が経ち、戦の記憶も薄れかけた泰平の江戸。さる人物から、天下分け目の合戦にそれぞれの立場で関わった生存者たちと会い、「ありし日の石田三成」の聞き書きを作成せよ、との密命を受けた町人がいた。全国に散らばる生存者たちへの面会に奔走する町人。すでに年老いた者多き人々が語る、三成の素顔とは?そして密命の行きつく先はー。「敗軍の将」を語る人々は、何を想う?