出版社 : 光文社
船頭として日々を送る元南町奉行所定町廻り同心、沢村伝次郎。殺された妻子の仇を討たんと唐津藩藩士・津久間戒蔵の行方をいまも追っている。ある日、元同僚の同心から津久間の居場所がわかったと知らせが入る。そして、ついに伝次郎の目の前に宿敵・津久間戒蔵の影がー。積年の恨みを載せた一刀流の剣は宿願を果たせるのか。稲葉稔の代表作シリーズ、感動の第七弾。
能登と青森の観光地で、若い女性の惨殺死体が連続して発見された。捜査を開始した十津川は、一見、つながりがなさそうに見える二つの事件の背後に、摩訶不思議な「天の浮舟」伝説があると推理する。刑事たちは伝説を追い、四国・剣山へ飛ぶが、そこでも新たな死体が待ち受けていた…。古代ロマンに彩られた、日本全国の“聖地”で起こる連続殺人に、十津川が挑む!
夕刊ニッポンの記者、周防正孝は8年前に起きた実父の事件を追っている。実父は新潟の漁港で元最高裁判事の首を模造刀で切断、自らも拳銃自殺したのだが、謎が多い。ある日、厚労省の向井俊介から「スクープネタがある」と電話があった。向井は医療ミス疑惑の調査過程で、首切り事件の真相に関わる重大な事実に気付いたという。そこには世間をにぎわす猟奇殺人、人権派弁護士の息子惨殺事件が絡んでいたー。
京都府警の本部至近ばかりで発生する、連続眼球強奪殺人。犯人はいつしか「眼喰鬼」と呼ばれ始めるが、手がかりもつかめない。若きキャリア警察官・二条実房は、被疑者必検の命を受けて、捜査本部のある平安署に署長として赴任する。警察内部の暗闘と、捜査陣を挑発するように繰り返される犯行の渦中、二条は京都の闇に潜む真犯人を検挙することができるのか!?
雑誌記者だった妻・由理を殺された作家の永井順一は、妻が行きたがっていた韓国・老斤里へ旅し、四人の男女と出会う。銀座のクラブのホステス、経営していたコンビニを潰した自殺防止ボランティア、退職刑事、訳あって会社をやめた若いOL-新しい仲間たちは、思いもよらない縁で、由理の事件につながっていた!由理の死には、彼女が追っていた医大教授の黒い噂が関わっているのか!?さらに事件の根は、朝鮮半島へとつながっていたー。永井たち老斤里の同窓生は、由理の死の真相を暴き、再生への道を踏み出せるのか!?
地方都市・波山市の市議会議長が殺された。当直明けの夜、波山署の刑事・本宮宣親は遺体が安置されている病院に向かう。亡くなった議長の妻と娘は何かを隠しているようだった…。事件当時、被害者宅付近で聞こえた男女の声を手掛かりに、本宮は県警本部の若手女性刑事・平原優子と組み、事件の足取りを追う。捜査を進めていくうちに、奇しくも、本宮自身が封印していた高校時代の苦い思い出と事件が絡み合いー。時代に翻弄された人々の哀しみを丁寧に描いた感動の警察小説。
「私の音色は薄緑なの」ヴァイオリンのような甘美な声で娘は言った…。“勇気と想像力ある秘書求む。当方は隠退した聖職者。テノールの声とヘブライ語の多少の知識が必須”。謎の求人に応募した主人公が訪ねたのは、人里離れた屋敷だった。そしてそこには美しい娘がいて…。
富士山の絶景を楽しめる「フジサン特急」に乗車したカップル。二人は終点の河口湖駅で降りるが、帰りの列車に乗ってきたのは女一人だけだった。消えた男は、そのまま失踪を遂げてしまう。彼は「日本ミステリーの会」というサークルの活動で、青木ヶ原樹海を調べに行ったらしいのだが…。さらに、サークルのメンバーの一人が殺害された!十津川警部の名推理。
長女・征子は百貨店の幹部社員。独りで生きると決めてマンションを購入した。次女・月子は専業主婦。幼い娘を放り出しブログの世界に逃避している。三女・凪子は姉たちにも告げていない体の秘密を抱えたまま結婚した。母・佐喜子は夫と姑への我慢が限界に達し、ついに家出をする。三人姉妹と母親、それぞれの傷を抱えて生きる四人の女性の哀しみを包み込む物語。
貴公子然とした容姿端麗の名探偵、神津恭介。世間にも名高き彼の下に、事件は絶えず舞い込む。荒廃した劇場で偶然見つけた女性の死体、自分自身の遺骸の探索を請う女…。謎めいた犯罪の蔭に女たちの姿を垣間見た時、思慮深き神津の瞳は静かに憂愁をたたえる。数ある神津恭介作品の中から、「女性」にまつわる短編六作を収録。傑作セレクション第二弾。
人気推理作家の夫・浪江譲二から、愛人が妊娠したことを喜びとともに知らされた妻・多鶴子。憎しみは殺意へと変わり、夫の殺害を決意する。完全犯罪を企てたが…(「小さな孔」)。傑作ミステリー6編と、文庫未収録の「ライバル」「夜の演出」の2編を収録。
新世界生命保険・大島恭平が支社長に赴任して半年、中央支店の業績は急回復。三十六歳で単身赴任、やり手の上司に、セールスレディたちから熱視線が集まる。恭平は、営業ノルマに追われる彼女たちを心身ともにサポート。連日連夜のベッドインで、売上げはますます絶好調!溢れる気力と体力で、仕事に邁進し、部下たちとの情事に奮起する。爽快!「野望シリーズ」。
初対面の相手でも、たちまちするりとその懐に入ってしまう。小谷夏子は男をその気にさせる天才だ。彼女との未来を夢見た男は、いつの間にか自らお金を出してしまうのだ。そんな生来の詐欺師を遠縁に持つ弁護士・石田徹子は、夏子がトラブルを起こすたび、解決に引っぱり出されるのだが…。対照的な二人の女性の人生を鮮やかに描き出し、豊かな感動をよぶ傑作長編。
網を打つ者。とどめを刺す者ー。おのおのが技を繰り出し集団で鯨に立ち向かう、世界でもまれな漁法「組織捕鯨」を確立し繁栄する紀伊半島の漁村、太地。しかし、仲間との信頼関係が崩れると即、死が待ち受ける危険な漁法であるため、村には厳しい掟が存在した。流れ者。己の生き方に苦悩する者。異端者ー。江戸から明治へ、共同体で繰り広げられる劇的な人生を描いた渾身作。
東日本大震災と原発クライシスをきっかけに、クリーンエネルギーへの注目が高まっている日本。海流を利用する「潮流発電」も、世界に先駆けて、実用化が近づきつつあった。第一人者である正岡周平は、真摯に愚直に、研究と実験に没頭している。しかし、彼の心には、資金難による研究の行き詰まりで自ら命を絶った、ひとりの女性の面影が棲み続けていた。彼女の死の本当の原因がわかったとき、哀しみと怒りが塗り込められた、驚くべき犯罪計画が動き始める…。
芦藁第一中学三年に進級した、杏里、美穂、一真、久邦。高校受験を前に四人はそれぞれの進路に想いを巡らせていた。一真は絵の道を志すが、何故か思ように描けない。杏里と美穂も出会った四人が離ればなれになる不安に襲われる。それぞれが十五歳の岐路に出した答えは…?新たな人生を歩き始める少年少女の勇気を描く、あさのあつこの傑作!小学校高学年から。
石屈日和は文具メーカーで働く三十歳。創業者の孫ということもあり、職場では恵まれた立場だ。親戚から格安で借りた高級マンションに住み、好意を寄せてくれる男性もいる。秘かな楽しみは、刺激を求めて始めた毒舌ブログの更新だ。そんな彼女の運命が、俄に狂い始める。次々と起こるトラブル。こじれてゆく人間関係。誰かが私を陥れようとしてる?傑作サスペンス。
小岩井一水と夕希子は、平凡ながら幸せな家庭を築いていた。新築一戸建の家、可愛い6歳の娘、お腹の中に宿る新しい命。そんな一家をいつも気にかけてくるのが、隣家の未亡人・森梓だった。完璧な美貌の持ち主で優しく親切な素晴らしい隣人。だが彼女は、心の奥に暗く歪な欲望を隠していた。一水が梓からの甘美な誘惑に身をゆだねたとき、戦慄の悲劇が幕を開ける。
本庁捜査一課で腕を磨いた剣持直樹ひきいる極秘捜査班の面々は、倒産したITベンチャー企業の元社長が惨殺された事件を追っていた。被害者は多額の負債を抱えており、暴力団や裏社会とも関係があった。地道な聞き込み捜査は空振りが続き混迷を深めたが、やがて高学歴の美女ばかりが失踪する不可解な事件にぶちあたった…。大好評の書下ろしシリーズ第三弾。